水俣病を今なお続く食中毒事件として行政に調査させるため、岡山大大学院の津田敏秀教授(環境疫学)らが6日、食品衛生法に基づき確認した被害を食中毒として、天草市の県天草保健所に届け出た。
食品衛生法に基づき「メチル水銀中毒症」を届け出る津田敏秀教授(左)=天草市の県天草保健所
水俣病で過去、行政は同法を適用したことがない。同法は、食中毒を確認した医師の保健所への届け出と、保健所の調査を義務付けている。津田教授らは2001年にも同様に届け出たが、保健所は「原因究明や被害防止が既に済んでいる」などとし、食中毒として取り扱わなかった。
今回は、水俣病特別措置法の未認定患者救済が進む中で、同法の対象地域外にも被害者がいるとして、再び届け出た。対象地域から外れている上天草市姫戸町で、70代と60代の男性を診察。汚染された魚介類を多食した経歴や、感覚障害などの症状を確認した。
その後、津田教授らは天草市の県天草保健所に「メチル水銀中毒症(水俣病)」を届け出。対応した担当者は「書類は預かります」と述べた。県健康危機管理課の末廣正男課長は「調査を始めるかどうか検討し始めた段階で、まだ結論は出ていない」としている。
水俣病に対する食品衛生法の適用をめぐっては1957年、同法に基づく水俣湾の漁獲禁止の可否を熊本県が照会。厚生省(当時)は「水俣湾の魚介類すべてが有毒化しているという明らかな根拠がない」と回答し、県が適用を見送った経緯がある。(石貫謹也)
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