新しい年をむかえるにあたって、今年は、「つつしむ」=身の程をわきまえて(新明解7版)という言葉がとりわけ身にしみます。

原発という人間に制御不能な科学を、身の程もしらずに身近な生活圏に置いてしまった中曽根・田中角栄という政治家ばかり責めるわけにはいかないでしょう。それは私たちの支持してきた政治家たちだからです。

原爆といい、原発事故といい、日本はまるで人類の人体実験場のようです。世界一安全なはずの国が、あっという間に、周囲の海を原発で取り囲んでしまったいまや世界一危険な国になってしまいました。

かつて、「世界はこんなに美しくない」という遺書を残して自殺した資生堂のカメラマンがいたことを思い出します。彼は身をつつしんだのです。

その通り、世界はそんなに美しくありません。しかし、それでも私たちは夢と希望がなければ生きていけない。

決して恐れず萎縮せずに、現実を直視し、夢と希望を「つつしんで」語る大人でありたいと思います。