観光庁の「外国人1万人無料招待」の企画案が、2012年度予算で1円も認められなかった。東日本大震災で落ち込んだ来日客数を回復させようというねらいだったが、財務省の壁は厚かった。海外メディアは「Dream Over(夢、終わる)」と伝えた。
企画案によると、外国人に無料航空券を渡し、日本を旅行してもらう。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに書き込んでもらい、「口コミ」で日本の安全を世界に発信しようというもくろみだった。
観光庁は、必要な費用として11億円を予算要求。「1万人が国内に滞在する経済効果は13.1億円、経済波及効果は31億円」と強調した。だが、財務省は、「本当に外国人客が増えるのか疑問」「予算のばらまきになる」などとして、企画案を却下。米紙ウォールストリート・ジャーナル日本版は、「多くの人が夢見た日本訪問が、夢のまま終わることが決まった」と伝えた。
観光庁の担当者は「外国の期待が高かったので残念」と話す。ただ、東北・北関東に外国人を誘致する別の事業費約6億円のなかで、外国人にブログやSNSを使った情報発信を呼びかけ、震災イメージを払拭(ふっしょく)したいとしている。(南日慶子)