来年10月、NHKが現行の受信料になってから初の値下げに踏み切る。とはいえ、下げ幅は口座振替やクレジットカード払いの利用者が月額120円、振り込み利用者で同70円引きと、かなり控えめだ。
受信料の不払いが問題視されるなか、NHKは昨年度の受信料収入が6598億円と過去最高を記録。繰越金残高も1262億円となっている。それならば、もう少し値引きしてもいいのではと思われるが、実はNHKには簡単に値引きできない理由があった。それが高額な「人件費」だ。
平成22年度の決算書によると、NHKの事業支出は6801億円(事業収入は6839億円)。その内、職員の「給与」が1236億円と約18%を占めている。今年度のNHKの職員数は1万542人なので、単純に頭数で割った場合の平均年収は約1172万円。一般企業と比較するとかなり高額だが、民放の代表格、フジテレビの平均年収は1442万円、日本テレビは1330万円なので、テレビ放送局としては少し低い額ともいえる。
だが、ここにはカラクリが隠されている。2005年に現職でありながらNHKを内部告発したジャーナリスト・立花孝志氏がこう指摘する。
「だまされてはいけません。NHKが手厚いのは福利厚生費。私が在職中も特別なことをしていないのに、訳のわからない手当がついていた。いわゆる給与に厚生費等を加えれば、職員ひとりを雇うのに年間1700万円以上もかかることになる。しかも、民放と違ってすべて受信料から支払われているのですよ。おかしいと思いませんか?」
事業支出の「事業運営費」のなかには、「給与」とは別に「退職手当・厚生費」が約565億円も計上されている。これらを足して従業員数で割れば、立花氏が指摘するようにひとり当たりの人件費は年間約1708万円にも上るのだ。作家の三橋貴明氏もこう頷(うなず)く。
「とにかく、人件費が高すぎるのは間違いない。完全に民放各社よりも高いですし、平均給与が658万円という国家公務員と比べるまでもありません。よく、公務員の人件費をカットしろという声があります。私自身はそのような意見に一度も与(くみ)したことがないですが、NHKだけは絶対になんらかのメスを入れるべきだと思います」
人件費を見直すか、1708万円という超高年収に値(あたい)する番組制作をするか。少なくとも今のままではNHKに対する不信感は高まるばかりだ。
(取材/コバタカヒト)
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