北川研究室 Q. & A.
よくある質問
北川研究室、核内情報研究分野の研究概要を教えてください。
研究方針は「炎症とエネルギー代謝の接点としての核内エピゲノミクス解析」を中心に展開しています。代表的な標的分子はグルココルチコイドレセプター・アンドロゲンレセプター等の核内受容体をはじめとする核内因子です。核内受容体は主にホルモンなどの受容体として機能する転写因子なのですが、リガンドというスイッチがあるので、非常に扱いやすい因子であり、また、生理的にも様々な作用を有しているので興味深い因子です。
北川研究室の特色を教えてください。
生体調節研究所は群馬大学の中の医学部に隣接した場所に存在する研究所ですが、医学部とは独立して運営されています。しかし昔は「内分泌研」と呼ばれていたように、臨床医学に比較的近い研究を展開できる、という利点を有していたと思われます。現在は、その名も「生体調節研究所」となり、「生活習慣病」という疾患の研究に向けての大きな流れの中ですべての研究室が研究を進めています。我々はその中で主に細胞の「核の中」に焦点を当てて研究を進めています。この部分を研究している研究室は研究所内には存在しないので、かなり特徴的な部分だと思います。加えて、既知の因子の解析をおこなうのではなく、主に生化学的な手法を用いて未知のエピゲノム制御因子を同定する、ということを目標に仕事を展開しようとしており、かなり基礎的な研究に近い、「メカニズム解析」を中心としているところも特徴といえると思われます。当研究室の教授・スタッフはそれぞれ医・農・理学部の出身であることからも、研究に対する視点や背景が多様ですが、ラボとしては、メカニズム解析と生理現象解析(主にマウスを用いて)を連動された研究をすることにしており、ラボ全体として一つにまとまった研究スタイルをとっているところも特徴といえるかも知れません。
北川教授およびスタッフのバックグラウンドは何ですか?
北川教授は医学部出身で、実際に3年半臨床内科医として臨床の場にいたのですが、その後疾患の原因探求、新治療法探求の観点から哺乳類由来の培養細胞を使い、核内因子の生化学的解析を進めてきました。これまでは脂溶性ビタミン・ホルモン分野の転写制御メカニズム研究を行ってきました。グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体もこれまでに扱ってきましたが、特にビタミンD受容体の転写研究と遺伝病のウィリアムス症候群の研究の話は有名です。准教授は農学部出身で、これまで一貫してノックアウトマウスを使った高次機能解析を進めてきました。特に大学院時代は、世界に先駆けて、アンドロゲン受容体ノックアウトマウスを作製しました。沢津橋助教は理学部出身で、ホルモンによる核内の転写制御とクロマチン構造調節に興味を持ち、ショウジョウバエを用いた分子遺伝学的手法と生化学的手法を組み合わせ、核内因子の解析を進めてきました。「目で見るクロマチン構造変化」を探求してきましたが、最近白血病に関係するヒストンシャペロンタンパクの研究を完成させました。
研究室では1日何時間、実験を行うのですか?休みやレクリエーションはありますか?
コアタイムとして平日10時から18時は原則的に研究室で実験をする時間となっています。それ以外の時間は、個人の状況に合わせて各自実験しています。また、教授からは、土日のいずれかは休みをとり、リフレッシュすることが奨励されています。また、夏休みや冬休みの長期休暇は1週間以上の連続した休みを取ることが推奨されています。「やる時はしっかりやる、休む時はしっかり休む」が理念です。所内のスポーツイベント(フットサル・バドミントン)や忘年会は教授も積極的に参加します。研究室内ではなく、外との交流も非常に大切だと考えています。研究所を超えて多くの他のラボとの合同のスポーツ企画や飲み会などもたくさんありますが、スキーや温泉、登山など、行楽地でのレクリエーションもみんなで楽しめるように、年に一度は研究室旅行も企画することにしています。
研究テーマはどのように決められるのですか?
北川研究室はラボの方針としてまず大きなコンセプトが決まっていますので、その方針の中で一番面白いテーマをまずは提示することになると思います。手法については、その人の希望などを十分に話した上での選択をすることになりますので、まずはじっくり話し合うところから始まることになります。手法としては、高次機能解析、哺乳類培養細胞を利用したタンパク質精製および生化学的機能解析、ショウジョウバエをモデル生物とした分子遺伝学的機能解析が施行可能なので、いろいろなことをやってみることができると思われます。ある程度の試行錯誤の後に最終的には教授やスタッフとの話し合いの上で決まる、と思っていただいて結構です。
他の研究室や学内外との交流を活発に行うことは可能ですか?
私たちもこれについては特に重要視しています。研究所内は特色のある研究室ばかりでお互いの交流も盛んですが、それだけでは十分ではありません。他の研究者広く交流し協力関係をもつことは個々の研究の進展の一助となる他、自分の研究の位置づけや価値を新たに発見する機会でもあります。教授は臨床医学者、製薬会社などとも多くの交流があり、そのような機会はたくさんあります。また、外国人研究者との交流も必須であると考えられ、我々は積極的に国際学会にも参加いたしますし、その一方で、群馬に著名が外国人研究者をお招きすることも頻繁にありますので、英語によるコミュニケーション能力も身につくと思われます。
ラボ内での日々の生活はどんな感じでしょうか?
基本的にPh.D.のラボのスタイルをとっていますが、一部の外国のラボのスタイルとは異なり、ラボ内では自由に何でも相談できる形になっていますし、みんなそれぞれが個別のテーマを持ちながら協力し合える形をとっています。各人の実験の進行状況はラボセミナーにて報告しあい、問題点を解決していきます。また、雑誌会を通して各分野の最先端の知識なども共有し合う形となっています。 コアタイムの中でも基本的には教授も含めて全員でランチタイムを過ごすことにしており、その間にでも日々のできことを相談しあえる環境を整えていますので、それ以外は各人の希望に合わせた生活が可能となります。 ラボのスポーツ行事や年中行事などは基本的に全員参加で「何でも一生懸命やる」、という形をとっていますので、研究漬けの生活、というわけではありません。一方で、ラボが生活の場所として入り浸る場所となることは避ける方向でいます。 なお、休日に来ることを強要する、などということはありませんが、各人の希望によって休日もスタッフと相談したりして対応することは可能です。スタッフは土日も顔を出していますし、連絡可能状態になっています。
卒業後の進路や就職にはどのような選択肢があるのでしょうか?
教授は非常に多くの分野に知り合いがいますので、基本的に各人の希望に合わせた形で進路を考えていけると考えています。各人のバックグラウンドは多岐にわたり、また希望も多岐にわたると思われますので、教授やスタッフと長く接することによって、希望や適性はお互いの理解によってわかっていくものではないか、と考えています。