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空売り益「ほんの470億円」 公聴会でゴールドマン側

2010年4月29日17時0分

写真27日、米上院の公聴会で証言するゴールドマン・サックスのブランクファイン最高経営責任者(CEO)=尾形写す

 【ワシントン=尾形聡彦】米証券取引委員会(SEC)が、米金融界を代表する存在であるゴールドマン・サックスを「詐欺を働いた」として提訴した問題で、米上院が27日、公聴会を開いた。同社のブランクファイン最高経営責任者(CEO)らは、SECの提訴には対決姿勢を示す一方、金融危機では責任の一端があったと認めるなど、怒りを強める米国民に歩み寄ろうとする姿勢もみせた。

 「あなたが書いた電子メールに、住宅ローン関連商品で『我々も損を出した。その後、空売りのおかげでそれ以上にもうけを出した』とある。一体いくらもうけたのか」

 27日、米上院の国土安全保障・政府問題委員会の調査小委員会が開いた公聴会。ブランクファイン氏にこう問いただしたのは、2008年の米大統領選でオバマ氏に敗れたマケイン上院議員(共和党)だった。

 ブランクファイン氏は「住宅(ローン関連証券)市場では、07年では5億ドル(約470億円)に満たない程度」と答えた。

 米国では、07年に住宅相場が下落。特にサブプライム(低所得者向けの)住宅ローン関連証券市場が大きく値下がりし、その後の08年秋の金融危機につながった。サブプライム商品の相場が下がっていた時に、ゴールドマンは値下がりに賭け、空売りで利益を上げていただけに、米議会では「危機拡大に加担していた」との批判が強い。

 空売りに議員らの批判は集中した。ゴールドマン側はこの日、「07年の空売りは、その前に関連商品の持ち高を大きく増やしていたことの反動だ」「(07年の空売りのもうけである)5億ドルは全体の収益に比べれば、ほんの一部だ」との主張を展開。一方で、上院議員からは「米国民が住宅価格の下落に苦しんでいるのと比べれば、5億ドルは大変な金額だ」と、両者の主張は真っ向から対立した。

 SECの提訴問題でも、ゴールドマンへの批判が集まった。ゴールドマンは07年春に債務担保証券(CDO)と呼ばれる金融商品を、値上がり益目当ての投資家に販売した。ところがCDOに組み込む商品を選ぶ際に、CDOの価格下落を狙うヘッジファンドの関与をゴールドマンが許しながら、その事実を、投資家に開示していなかった。

 公聴会では、議員から「自らも商品の値下がりに加担しているときには、投資家にそれを伝えるべきだ」との意見が相次いだ。一方で、06〜08年にゴールドマンの住宅部門責任者だったスパークス氏は「(現在は)その義務はない」と説明した。

 上院議員らが強く迫ったのは「金融危機の拡大に加担したとは思わないのか」という点だった。ゴールドマンの住宅ローン関連商品を投資家に販売していた担当者たちは「何も悪いことはしていない」と返答。

 だが、ブランクファイン氏は責任は「ある」との認識を示した。同社が公的資金の投入を受けて救済されたことを「恥ずかしい」とも表明。米金融街への米国民の怒りが拡大し、「ゴールドマンたたき」が強まるなかで、イメージ向上に腐心しているとの見方もある。

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