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野村資本市場クォータリー 2010年夏号
米国における金融制度改革法の成立−ドッド=フランク法の概要−
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小立 敬
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- 米国のオバマ大統領は2010年7月21日、1930年代以来の米国の包括的な金融制度改革を図る「ドッド=フランク・ウォールストリート改革及び消費者保護法に署名し、同法は成立した。オバマ政権が誕生してから本格的な検討が始まった米国の金融制度改革法は、1年以上をかけて実現に至ったことになる。
- 多岐にわたる課題の中で、ドッド=フランク法が大きな重点を置いているのが、今回の金融危機を踏まえて如何にシステミック・リスクに対処するかという課題である。システミック・リスクを把握するための新たなレギュレーターを設け、システミック・リスクを予防するためにシステム上重要な金融会社にはより厳格なプルーデンス規制を課し、システミック・リスクが生じた場合の対応として秩序だった破綻処理の枠組みを導入するというのが、ドッド=フランク法によって導入される危機再発防止のための米国の政策対応である。
- 具体的には、(1)システミック・リスク・レギュレーターとして「金融安定監督カウンシル」を設置、(2)FRBはシステム上重要なノンバンク金融会社、総資産500億ドル以上の銀行持株会社に対して厳格なプルーデンス規制を賦課、(3)FDICによる大規模金融会社に対する秩序だった破綻処理の導入、(4)ボルカー・ルールの適用が手当てされている。
- ドッド=フランク法のその他の課題としては、(1)店頭デリバティブ市場の改革、(2)ヘッジファンド規制の導入、(3)銀行・保険規制システムの改善、(4)格付機関規制の強化、(5)証券化市場規制の導入、(6)役員報酬、コーポレート・ガバナンスの改善、(7)消費者保護の強化が図られている。
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