観測方法
やってはいけないこと
太陽はたいへん強い光と熱を出しています。金環日食や部分日食では、太陽の一部は月によって隠されていますが、光や熱が強いことに変わりはありません。正しい方法で観察しないと、目を痛めたり、最悪の場合失明したりする危険性があります。
以下のようなことは、目を痛めますので絶対にやってはいけません。
- 肉眼で直接太陽を見る(数秒でも危険です)
- 望遠鏡や双眼鏡を使う(※1)
- 色つき下敷きやCDを使う(※2)
- フィルムの切れ端を使う(※3)
- すすを付けたガラス板を使う
- サングラスやゴーグルを使う
- 日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡を覗く
- ※1 専門家によって適切な減光を施された双眼鏡や望遠鏡は、日食観察に用いることができます。
- ※2 太陽観察に対応した下敷きも発売されています。[2011年10月17日追記]
- ※3 専門家によって、銀塩の白黒フィルムを適切に露光・現像して作られたネガは、日食観察に用いることができます。
肉眼で直接太陽を見ると、たとえ短い時間であっても目を痛めてしまいます。
また、下敷きやCD、フィルムの切れ端、すすをつけたガラス板、サングラスやゴーグルなどを使って太陽を見るのもいけません。見た目ではあまりまぶしく感じなくても、光の遮断が不十分なものや、目に有害な波長の光を通しやすいものがあり、気づかないうちに網膜を損傷してしまう危険性があります。ただし、下敷きについては、安全に太陽観察をすることができる製品もあります。
望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を集めて強くするため、肉眼で太陽を見る以上に危険です。
詳しい知識がないまま中途半端な方法で太陽を観察すると、目を痛めたり、最悪の場合失明したりする危険性があります。詳しくわからない場合には、自己流の方法を試したりせず、必ず専門家の指導に従ってください。
※ 写真は、目を痛めないよう、実際には太陽を見ないようにして撮影したものです。
安全な観測方法
ピンホールを利用する
厚紙など、光を通さない薄いシートに小さな穴を開けて、日食中の太陽の光を当てます。すると、穴を通って影の中に映った太陽の光が、欠けた太陽の形になっています。これは、ピンホールカメラの原理です。
ピンホールを利用した日食観察の例
また、下記の図のようなものを作れば、特別な道具なしに、安全に日食を観察することができます。
木漏れ日を見る
木もれ日も、ピンホールと同じ原理で、葉の間を通ったそれぞれの光が太陽の形になります。
手鏡で映す
大きさが10センチ程度までの鏡で太陽の光を反射させ、反射させた光を建物の壁などに映してみましょう。壁からは、鏡の大きさの約200倍以上離れてください。(鏡の大きさが10cmでしたら、壁からは20m以上離れる必要があります。)壁から十分に離れると、鏡がどんな形をしていても、壁に映った太陽の光が丸く見えるようになります。この丸い形が、太陽の形です。日食のときには、欠けた太陽の形が壁に映ります。
この方法も、ピンホールの原理を使ったものです。
小さな鏡が用意できない場合には、小さな穴を開けた厚紙で鏡を覆い、小さな鏡の代わりとして使うこともできます。
- 反射した光をのぞき込まないようにしましょう。反射した光をのぞき込むと、太陽を肉眼で直接見たときと同じように、目を痛めてしまう危険性があります。
- 反射した光が他の人に当たらないように注意しましょう。反射した光が目に当たると、光をのぞき込んだときと同じように、目を痛めてしまう危険性があります。
日食専用のグラスや遮光板を使う
日食専用として、さまざまなグラスや遮光板が販売されています。そのような製品を使えば、欠けた太陽を見ることができます。(必ず日食専用のものをお使いください。一般のサングラスなどは、どんなに濃いように見えても、太陽の強い光や熱に対しては無力です。)
それぞれの製品の説明書に書かれた使用上の注意をよくお読みになって、安全に観察するよう心がけてください。特に、グラスや遮光板を使っているときには、しっかりと目に当てて、太陽の光がグラスや遮光板のまわりから目に入らないよう注意してください。また、顔を太陽の方向を向けている間は、わずかな時間でもグラスや遮光板を目から外さないようにしましょう。太陽を観察している時間はなるべく短くし、長時間連続して観察を続けないようにすることも大切です。
望遠鏡を使って太陽投影板に投影する
望遠鏡に取り付けた「太陽投影板」に太陽を投影します。望遠鏡が1台あれば、大勢の人が一度に観察できるのも、この方法のよい点です。
天体望遠鏡には太陽観察に適さないタイプのものもあります。望遠鏡の詳しい使い方については、それぞれの望遠鏡の取扱説明書などをご覧ください。
日食を安全に観察する方法は、このページに書かれているものがすべてではありません。また、このページで「やってはいけない」としている観察方法でも、適切な減光と組み合わせたり、使用する材料を適切に選んだりするなど、やり方によっては安全に日食を観察することができる場合があります。しかし、詳しい知識がないまま中途半端な方法で太陽を観察すると、目を痛めたり、最悪の場合失明したりする危険性があります。詳しくわからない場合には、自己流の方法を試したりせず、必ず専門家の指導に従ってください。