福島県は5日、2012年産のコメについて秋から出荷段階で全袋を対象に、JAなどを通じ、放射性物質の検査を行う方針を明らかにした。自主検査に、新たな機器を導入して全袋を調べる。この流通経路の検査は県産のコメのほとんどが対象になるという。
東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県で昨年収穫されたコメから国の暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが相次いで見つかった。県はサンプル調査や、一定の地区について農家の全戸調査を行っているが、消費者の信頼確保に向け全袋検査が必要と判断した。
現在は、サンプルをゲルマニウム半導体検出器などで調べている。この方法では、週約8千袋(1袋30キロ)の検査が限界で、年間生産量35万6千トンの県産のコメを全袋調べると仮定すると約30年かかる計算だ。
県は、生産者側の要望も受け、県による検査ではなく、JAや独自の販路を持つ流通業者などによる自主検査を通じた全袋検査を検討。ベルトコンベヤーに玄米の入った袋を流し、短時間に袋ごと検査できる機器を導入する考えだ。機器は複数のメーカーが開発中で、1分間に3〜4袋以上の性能を想定している。
県が機器購入費を補助。秋までに百数十台導入し、全袋検査を数カ月で終える態勢を整える意向だ。
また、県は、生産者名や住所、使った肥料などを盛り込んだデータベースを作成。放射性物質の検査結果を加え、30キロ袋に「QRコード」のような形で表示することを検討している。ただ、消費者には、精米後に小分けして販売されるため、小売り段階の袋にどう表示するか、今後検討していく。(木村俊介)