阿部守一知事は4日の年頭会見で、道州制論議に関連し、「今の長野県域だけで一つの州になることも選択肢」と述べた。南北に長く、結び付きの深い隣接県が地域ごとに異なる長野県の地理的な事情から、「道州が位置付けられた時に、(どのブロックに入るのが適当か)難しい問題がある」と指摘。「受け身でなく、県として主体的に道州制に向き合っていく必要がある」とした。
ただ、道州制そのものには「具体的な形が明らかでないので単純に賛成、反対とは言えない」と、従来通りの慎重な姿勢を維持。地方分権の推進に関しては「問題は都道府県制にあるのではなく、国が権限、財源を手放さないことにある」とし、まず現在の都道府県の枠組みで分権を図るよう求めた。
橋下徹大阪市長が「大阪都」構想で、道府県と政令市が重複した業務をする「二重行政」の解消を目指している点に触れ、「県と市町村の関係にも同じ(二重行政の)問題がある」と指摘。国、県、市町村が財源を出し合って行う事業などを挙げ、「責任を明確にする必要がある」として、県と市町村の関係を議論する必要性を強調した。
知事はまた、消費税率の引き上げを柱とした社会保障と税の一体改革大綱素案の「政府案」について、「消費税収から一定割合を地方に配分することが位置付けられたことは評価する」と表明。「社会保障制度を安定させていく上での増税は避けて通れない。ただ、本当に安心できる万全な施策にはなりきれていない」とし、制度改革に向けて議論を深めるよう求めた。