米国と対決してきた北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が最後に乗ったのは米国車だった――。金総書記の葬儀でひつぎをのせた車が話題だ。40年ほど前に生産された「リンカーン」とみられ、米メディアは「北の人々はまだ1970年代を生きている」とやゆしている。
葬儀では、この車が総書記のひつぎや巨大な肖像画をのせて平壌を1周。17年前の父の金日成(キム・イルソン)主席の葬儀のときと同じ型だった。米ニューヨーク・タイムズ紙は「まるで冷戦時代のハリウッド映画だ」。USAトゥデー紙も「米国なら6代前のフォード元大統領までさかのぼらないといけない」と皮肉った。
葬儀の車列には、90年代以降の生産とみられるベンツやフォルクスワーゲンなどのドイツ車も参加。韓国紙は「総書記はベンツマニアだったが、ベンツではない車で旅立った」などと伝えた。(ソウル=広島敦史)