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政治
CO2、25%削減撤回へ 政府、現実的な目標提示
政府は、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減するとした現在の目標を下方修正する作業に本格的に着手する。東京電力福島第1原子力発電所事故を受けたエネルギー政策の見直しで、発電中に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の推進が困難になったためで、現実的な目標を提示する方針だ。
昨年末の国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)では、12年に期限を迎える京都議定書の延長が決まったが、日本は削減義務を負うことを拒否する方針。自主的な削減努力を進めると同時に、今後本格化する延長後の「ポスト京都」の枠組み議論で主導的な役割を果たす上でも、目標の撤回が不可欠と判断した。
日本は、09年に鳩山由紀夫元首相が国連での演説で25%削減目標を表明し国際公約とした。しかし昨年3月の福島第1原発事故を受け、政府は「脱原発依存」へと方針を転換し、目標達成の大前提が崩れた。政府は今月30日に開く中央環境審議会地球環境部会で、削減目標の妥当性についての議論を本格化させる。適正な電源構成などを示すエネルギー基本計画の見直しと並行して進め、来夏に策定する「革新的エネルギー・環境戦略」に反映させる。
新目標とともに30年時点の排出量の見通しも示すほか、目標達成のための方策も示す考えだ。
脱原発依存に伴う火力発電の増加による排出量の増大を、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの上積みや節電推進などでカバーし、どれだけ排出量を削減できるかが焦点となる。
日本は13年以降、延長された京都議定書に基づく削減義務を拒否するが、「画餅」となった目標を掲げたままでは、自主的な削減努力の障害になりかねない。25%削減には産業界の反発も根強く、官民一体の取り組みを進めるためにも見直しが急務となっている。
また、新たな枠組みについて議論する作業部会も6月までに設置される予定。
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