うつ病からの職場復帰は「農作業」で 創業2年目ベンチャーの挑戦
オルタナ 2011年10月18日(火)12時9分配信
鬱病に一度かかった人が半年以内に再発する割合は40%といわれ、職場復帰をした患者が再度休職してしまう、といった事例は珍しくない。鬱病を原因とする自殺の割合は、全体の3割にものぼり、年々増加傾向にある。
リヴァが提供するサービスの特徴は、患者一人ひとりに合わせた復帰支援プログラムの構築と、最長2年間にわたるアフターケアだ。患者はグループワークなどを通じ、同じくうつ病の患者同士でコミュニケーションを図りながら職場復帰を目指していく。その内容は農業体験やビジネスゲームなど幅広い。また、医師や企業の人事などと連携し、患者の状態を数値化して共有することで、復帰する職場とのギャップが発生しないようアフターケアも欠かさない。
同社の伊藤崇代表は、この事業立ち上げについて、自身の経験が大きな理由だと語る。
伊藤さんは大学卒業後、大手企業のシステム開発をする会社に就職した。しかし、「自分が本当にやりたいこととは何なのか」と疑問を持ち、2年目で退職。大学時代の仲間と障がい者雇用支援の会社(現:ウィングル)の立ち上げに参加し、ゼロからサービスを作り上げたという経験を持つ。
このとき、営業担当だった伊藤さんが目の当りにしたのは、企業がうつ病にかかった社員への対応に困っている現状だった。うつ病に関しては、社会的な支援の仕組みもなく、復職しても再発を繰り返す、といった負の循環が生まれていることも分かった。そこで、「うつにならない組織をつくる」という目的でサービスを提供できないかと思い立ち、会社を設立するに至ったという。
今後の展開として伊藤さんは「企業へのサービスを拡充していきたい。そのためには、社員への教育・研修も含めた仕組みが必要になる」と意欲をみせる。
厚生労働省が7月、脳卒中や糖尿病などの4大疾患に、精神疾患を追加した「5大疾患」を発表したことも記憶に新しいが、このような支援の仕組みが、より一層広がることが求められている。(オルタナS 高橋遼)
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最終更新:2011年10月18日(火)12時9分
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