この「顧客への提案活動の実施「2.提案書の考え方と作成のポイント」は、飽和市場の時代に必要となる提案書の考え方と、必要になる機能や構成のポイント、そして作成する上でのポイントをご紹介します。

 

 ● これからの時代の提案書の考え方



 この章では、これからの時代に必要とされる提案書の考え方をご紹介します。
 ストーリー仕立てになっていますので、(1)から順にお読み下さい。

                 (1) 提案書の考え方とは
                 (2) 三ステップ構造で作る提案書                



(1)提案書の考え方とは

 

■提案書はどう作る


 田中主任はとまどっていた。
 「提案書とは何か」は少し分かったような気がしたが、じゃどう作れば良いのか、いっこ
 うに浮かんでこない。

 そもそも提案書の目次はどう作れば良いのか、それすら浮かんで来ない。

 何かヒントになるものはないかと思い本屋に立ち寄った。

 「問題解決の方法」というタイトルの本を取ってみた。
 そこには、大きくこう書いてあった。

  問題とは、目標と現状のギャップである  

 問題とは、目標と現状とのギャップであるとはどういう事か。

 つまり、期待すべき目標に現状は到達出来ていない。その到達
 度合いと目標の差が「
問題」であり、その差が大きいほど問題は
 大きくなる、という事らしい。

 また「課題」とは、現状から目標に到達する為にすべき事と書いてある。

 その本を買って帰社した時に、コンサルタントから 2 通目のメールが来た。

 そのメールの添付資料には、「提案書の作成の考え方」というタイトルがついていた。

 

 

■提案書の作成の考え方


■提案の流れ

 提案とは、利用効果や解決策の明細書と言いました。
 ではその利用効果や解決策とは、何でしょうか。 

 それは、顧客が実現したい効果、解決したい内容の事です。
 つまり、目標の事です。
 まず「
目標」を明確にします。

 しかし、現状はその目標が達成していません。
 その「
現実」を明らかにします。

 そして、現状から目標に達成する為の「課題」を明確にする
 必要があります。
 「
何をすべきか」という事です。
 
 この「目標」「現状」「課題」が整理出来れば、打つ手つまり
 「
提案」内容は決まります。

 その課題解決の「方法や手段」を提案します。
 そして、その方法や手段を実現する、「
製品やサービス」を提
 案します。

 この一連の流れが提案の流れであり、それをまとめたものが
 提案書なのです。

■提案書の構造−三ステップ構造

 上記の提案の流れを分かり易く構造化すると、提案書の概
 要構造となります。
 この構造を
三ステップ構造と呼びます。

 三ステップ構造は下記の表のように、「目的部」「解決案部
 「
実現部」の三ステップになります。

 

提案書の構造

目的部 ・何の為に提案を行うのかという目的
・目標、現状、課題をまとめたもの
解決案部 ・解決方法や手段・仕組みを提案する
 もの
実現部 ・解決策等を実現化する製品やサービス

 

 

 

 


■提案の流れ

提案の流れ

目標を明確にする

現状を明らかにする  
 

課題を設定する

解決方法や手段仕組みを提案する
実現する製品やサービスを提案する


 

 

 

■提案書の構造
      三ステップ構造

 



(2)三ステップ構造で作る提案書

 

■三ステップ構造


■三ステップ構造で作る提案書

 提案書の基本構造は、三ステップ構造で作成します。
 三ステップ構造とは、「目的部」「解決案部」「実現部」の三段
 ステップです。

  • 第一ステップは、目的部」
                  何の為にという目的部

    提案の目的やねらい、提案の大きなテーマ、またはそのテーマが何故必要なのかという業界動向や、世の中の動きをまとめた内容です。

  • 第二ステップは、「解決案部」
                 必要になる仕組みや機能

    第一ステップの目的を実現する為の仕組みや機能の概要をまとめます。
    ここでは、具体的な製品名などではなく、顧客が必要とする仕組みや機能の概要をまとめ、どのようなものが必要であるか提示します。

  • 第三ステップは、「実現部」
                  実現する製品やサービス
    ここでは、第二ステップの必要になる仕組みや機能を実現する具体的な製品やサービスの提案を行います。
    その特長や具体的な機能、価格、サービス内容をまとめます。

■階層によって割合が違う三ステップ構造

 この三ステップ構造は、提案・プレゼンする顧客の階層によって各ステップの割合が違って来ます。

  • 顧客トップ層や幹部層への提案・プレゼン
    トップ層や幹部層の興味は、「何のために=目的=効果」が中心です。
    そこで、トップ層や幹部層への提案では、何の為にという「目的部」が一番重要になり、このステップを重点に表現します。
    そして、「解決案部」を分かり易くまとめます。
    実現部」はあまり詳細に書かず、概要で止めます。

トップ層向け提案書

目的部 解決案部 実現部

 

  • 顧客担当者層への提案・プレゼン
    担当者層の興味は、「どんなものか」という実現部が中心です。
    そこで、担当者層への提案では、何の為にという「目的部」は少な目にして、「解決案部」を少し詳しくまとめ、
    実現部」は詳細に書き、ここを中心とした提案書にします。

担当者向け提案書

目的部 解決案部 実現部

 

 


 

■三ステップ構造提案書作成でのポイント

第一ステップは、「目的部」


・今回の提案の目的やテーマをまとめる
・何故必要なのかを業界動向や世の中
 の動向、競合の動向からまとめる
・達成すべき目標や方向性をまとめる
・現状の問題点や今後の課題もここで
 整理する

第二ステップは、「解決案部」


・上記の目的を実現する仕組みや機能の
 概要をまとめる
・課題解決の為に必要になる仕組みや
 機能をまとめる
・解決案の将来構想や実施ステップ案
 などをまとめる

第三ステップは、「実現部」


・提案する具体的な製品やサービス内容
 の詳細をまとめる
・製品、サービスの特長や性能・機能を
 まとめる
・必要になる価格や費用体系などをまと
 める
・具体的な支援体制やアフターフォローを
 まとめる

 

 

■三ステップ構造による提案書の目次


■提案書の目次

 この三ステップ構造を整理すると、提案書の目次となります。
 
 提案書の目次概要は、次のような例となります。

 
  1. 今回のご提案のねらい・目的

    • 達成すべき目標・効果の概要

    • 現状の状況

    • 今後の行うべき課題

  2. 課題解決の方法や仕組みのご提案

    • 解決策のご提案

    • 解決ステップのご提案

  3. ご提案する製品・サービス

    • ご提案内容

    • ご提案費用等
       


 この三ステップ構造の目次概要を、基本の流れとして提案書
 を作成します。

 

 


 

 




 
最終更新日 2001 年 10 月 12 日