- [PR]
国際
【主張】金正恩体制 変わらぬ北に強い姿勢を
北朝鮮の金正日総書記死亡を受けて三男の金正恩氏が軍最高司令官となった後継体制は、総書記が推進した軍事優先の「先軍政治」と核・ミサイル開発を継承する方針を新年共同社説などで重ねて強調した。
これからも、危険な冒険主義の国であり続けるということだ。引き続き厳重な防衛と警戒が必要なことは言うまでもない。
さらに、朝鮮中央通信は日本政府が弔意を示さなかったことなどを非難したうえ、拉致問題について「もはや存在もせず、においもしない」と存在すら否定した。拉致被害者とその家族にとって、許しがたい論評である。
野田佳彦首相は4日の年頭会見で、朝鮮半島情勢について「関係国と連携し、危機管理に万全の体制をとっていく」と述べるにとどめたが、これでは不十分だ。
首相は拉致問題が未解決のまま存在し、今も横田めぐみさんら多くの被害者が北朝鮮で救出を待っている現実を、世界に向けて明確かつ繰り返し発信すべきだ。
金正恩新体制が金正日前政権と何ら変わらないことが明白になった以上、北朝鮮に対してこれまで以上に強い対応が必要だ。
拉致問題で北は2008年夏、めぐみさんらの再調査を約束しながら、先送りしたままである。政府は制裁強化を視野に、約束の履行を迫るべきだ。核問題では、北がウラン濃縮を停止しない限り、6カ国協議に応じないという姿勢を崩してはならない。
間違っても、以前のコメ支援のような正常化に向けた融和策を取るべきではない。コメ支援は拉致・核問題の解決に全く役立たず、ただ取りされただけだ。
昨年暮れ、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬責任副議長らが金総書記の葬儀に出席するため、制裁で禁じられている訪朝後の再入国を特例で認めるよう政府に要請してきた。政府は禁止措置を変更せず、即日、不許可とした。当然である。
キャンベル米国務次官補が総書記死亡後の対応などの協議で中国、韓国、日本の順に訪問中だ。同次官補は米中対話強化を求めたが、中国側に「さらに時間が必要だ」と拒否されたという。中国には責任ある対応を求めたい。
中国とロシアの動きを警戒しつつ、日米韓3カ国のさらなる緊密な連携が不可欠である。
- [PR]
- [PR]