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官邸の5日間(連載第4回)

 
朝日新聞朝刊に連載中の「プロメテウスの罠」の本日(2012年1月6日)掲載分を以下に引用します。
 
 
■官邸の5日間:4
 
「残っていただきたい」
 
 
 東京電力社長の清水正孝(67)が経済産業相の海江田万里(62)に連絡を取ろうと携帯電話を握り締めていた時間帯は2度ある。
 
 
 1度目の時間帯は14日午後7時からの約2時間。2号機の燃料棒が全部露出して圧力容器が「空だき」になった事態を、東京電力が経産省などに通報したころに当たる。
 
 午後10時50分、2号機の原子炉格納容器内の圧力が設計上の限界を超えた。2度目の時間帯は、その後の日付が変わるころ。格納容器の圧力を逃す、最後の弁操作も失敗したころだった。
 
 どちらの時間帯も、清水は海江田の秘書官に電話し続けた。携帯電話の発信ボタンを何度も何度も押し、数秒間隔でかける時間帯さえあった。そうまでしても海江田にはなかなかつながらなかった。
 
 1度目にやっと電話がつながったときの清水の言葉を海江田はこう記憶している。
 
 「第一原発の作業員を第二原発に退避させたい。なんとかなりませんか」。海江田は「残っていただきたい」と清水の求めを拒んだ。
 
 その時刻は午後8時ごろとみられるが、関係者によって食い違う。
 
 首相補佐官の寺田学(35)はこんな光景を記憶している。
 
 午後8時過ぎ。官邸5階の官房長官執務室に行くと、官房長官の枝野幸男(47)が海江田と話していた。
 
 海江田の秘書官が入ってきて「東電からお電話です」と告げた。海江田は「もういいよ、それは。断った話だから」と答えた。
 
 「何の話ですか」。寺田が尋ねると、海江田は「東電が原発から撤退したいといってるんだ」
 寺田は驚いた。「大臣、そんな大事な電話ならちゃんと断った方がいいんじゃないですか」
 
 海江田が電話に出た。相手は清水だった。海江田はいった。
 
 「残っていただきたい」
 
 枝野は、日付が15日に変わるころ、自分にも同じ内容の電話が清水からあったと振り返る。枝野は「そんな簡単に『はい』といえる話じゃありません」といい、電話を切った。
 
 官房副長官の福山哲郎(49)は、東電が首相補佐官の細野豪志(40)にも同じ様な電話をしてきた、という。細野は電話に出ること自体を断った。
 
 発信の頻度を見ると、清水がいかに必死だったかが分かる。(木村英昭)
 
(引用終わり)


「福島第一原発の作業員を退避させたい」という、事故処理放棄とも取れる発言を、清水前東電社長がしたということは有名ですが、何でこんな人に退職金が出ているのか理解に苦しみます。

 
いずれ、刑事責任を追及されるのではないでしょうか。
 
この件については、これ以上私の側で書くことはありません。

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