◇新日本プロレス レッスル・キングダム
鈴木みのる(下)にハイフライフローを繰り出す棚橋弘至=東京ドームで
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棚橋弘至(35)が鈴木みのる(43)を破り、IWGPヘビー級王座連続11度防衛の新記録を達成した。ハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)からそのままフォール。過去4度戴冠している棚橋は、通算防衛回数でも橋本真也(故人)の持つ最多記録20に並んだ。また、IWGPタッグ選手権では復活した天山広吉(40)&小島聡(41)のテンコジタッグが勝ち、第58代王座に就いた。
昨年の1・4東京ドーム大会でIWGPヘビー級王座を獲得してちょうど1年。昨年、10度防衛に成功した棚橋が、王者2年目最初の試合で新記録を達成。しかも、通算防衛回数でも橋本真也に並んだ。
鈴木は昨年5月に新日本に現れて以来、主力をことごとくマットに沈めてきた。技らしい技といえば、パイルドライバーと裸絞めと卍固めくらい。殴って、蹴って、極めて、絞める。ひたすら昭和臭いスタイルで相手をたたきつぶし、毒舌を吐く。ロン毛とマッチョな肉体を誇示し、試合後にエアギターをかき鳴らし、リングの真ん中で愛を叫ぶ「平成プロレスの申し子」棚橋とは、対極にいる挑戦者だった。
試合中盤、棚橋は裸絞めで半失神状態になり、張り手19連発を浴びて口から血を滴らせた。だが、新日本侵略を堂々と口にする相手に屈しなかった。「人は何かを守りたいと思ったときに力が出る」。それが新日本愛だった。その気持ちが通じたのか、試合後のインタビュー時、後藤洋央紀らライバルや外国人選手たちがこぞって周囲を囲み、ビールかけでV11を祝った。過去10度の防衛戦にはなかった光景だった。
岐阜県生まれの棚橋は、同郷の橋本真也を常に意識している。その大先輩の記録にもついに追いつき「本当に光栄なこと。(墓前に)報告に行きたい」と喜んだ。試合内容の濃さが評価され、昨年末に行われたプロレス大賞の選考会では、マスコミ各社から絶賛されて年間MVPに選ばれた。2012年も、プロレス界は棚橋を中心に回る。 (大西洋和)
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