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今年もシニアとジュニアのトップ選手が相まみえた。シニアでは母の死という悲しみの中の浅田真央、ベテラン鈴木明子、GPファイナルに参加できず国内で備えた村上佳菜子、疲労骨折からの回復が遅く、練習拠点を海外に移したが調整遅れ気味の今井遥、全日本に合わせてきた西野友毬。ジュニア勢では、昨年から大注目の庄司理沙、5種類の3回転+3回転ジャンプを持ちスピンも速い宮原知子、目覚ましい成長を見せる佐藤未生、ジャンプが高い友滝佳子、プログラムの素晴らしい村元姉妹らが出場した。
浅田のSPは会場中がかたずを飲み、「真央ちゃん!頑張って」という激励と雰囲気に包まれていた。「シェヘラザード」の曲が始まり、最初のダブルアクセルは余裕があり落ち着いてこなした。3回転フリップ+2回転ループのコンビネションジャンプも、3つ目の単独3回転ループも慎重にやれた。ややスピードに欠ける感じはあったが、その分スケートが少し上手くなったように感じた。スピンもすべてがレベル4で体の柔らかさと曲想を意識して、らしいポジショニングを見せてくれた。ストレートステップも少し緩急がなかったが、ターン、ステップ、フリースケーティングムーブメントとタラソワ・コーチの得意分野が氷上に現れていた。ちょっと沈んだ浅田の演技が出てしまったが、2位で発進した。
迎えたフリー。2シーズン使っているプログラム「愛の夢」。少し、大人びた浅田に合った振り付けのような気がする、トリプルを回避したダブルアクセルは、余裕がありのびやかであった。完全に3回転と認められたのはフリップだけで、ジャンプの復調が望まれる。スピンは独創性のある形で音楽と調和した。もう少し回転の速さと、動きの機敏さが必要と感じられた。その他のムーブメントに関しては歳月をかけた自信から、動作がプログラムを生かしていた。母を亡くすという不幸な出来事があり、練習もままならない状況の中、精神的にもつらい4分間。彼女の脳裏に色々な思いが錯綜しながらフリーを終えたことだろう。会心の演技とは言い切れなかったが2位。総合1位で優勝した。演技中、母との思い出がよみがえる事もあったはずだ。どこの親も同じであろうが、掛け値なしで、うれしい時は共に喜び、悲しい時には共に悲しむ。そんな情が母子には必ずある。浅田の母も、少しでも娘を見つめていたかっただろう…。共に生きたかっただろう…。母の一生懸命さと、その笑顔が目に浮かぶ。私も、もう一度話をしたかった。
鈴木のSPのジャンプコンビネーションは3回転フリップを変更して、3回転トーループ+3回転トーループを予定していた。しかし、3回転トーループの後ろが1回転トーループ扱いで減点3とミスをしてしまった。続く、単独の3回転ルッツにも間違ったエッジの「e」マークがついてしまった。公式練習からいつもの調子が出ない状態だった。やはり、全日本というタイトルの重さか? 今シーズン、どんどん前へ進んできた姿はどこへ? 3つのうち2つのジャンプ要素でミスという形になった。3回転ルッツの方はアウトエッジ踏切に直していたはず。甘かったぁー? と思う感じがしないでもない。スピンのレベルは全て4。そこは鈴木流が健在。ストレートステップシークエンスでも「ハンガリアン・ラプソディ」の曲に乗り切り、アンジェリカ・クリロワの振り付けをいかんなく発揮し観客を楽しませてくれたが、序盤のジャンプミスの影響で3位。
フリーは最終グループの1番バッター。気負いがなくて自分の実力が素直に出せる滑走順だと思った。しかし、ジャンプが安定していなかった。アクセルが1回転半になったり、ジャンプシークエンスの最後のジャンプのダウングレード。ルッツの間違ったエッジの踏切など、鈴木のジャンプの切れの良さが中々と出てこなかった。スピンもすべてレベルが4とはいかなかったが、きちっとしたポジションと熟知した回転の速さとそれぞれのスピンの要素をしっかり自分流にアレンジ。観客、ジャッジに見せてしまうマジックも心得ていて、大人になったなぁーと感じた。スケートの上手さは年を追うごとにシャープになり、強さと弱さとの調和を曲想の中で表現。コツコツ実力を付けてきた。緊張の中で1位、総合2位で世界選手権への切符を手に入れるた。その時の調子や状態、体の具合などつじつまを合わせ勝っていくことが出来る。それが本当の大人のトップのスケーターといえるのだろう。
期待の若手の星・村上は今季、3回転フリップ+3回転トーループのグレードアップで挑んだが低迷が続き、悩んだ末、全日本に向け確実に出来るものを選んできた。昨年の3回転トーループ+3回転トーループだ。これでSPを乗り切ることに切り替えた。序盤3回転トーループ+3回転トーループは勢いがあり、高さ、飛距離も申し分なし。特に2つ目のジャンプの高さは素晴らしい出来で、技術評価点は高評価。3回転フリップもダブルアクセルも高く、スピードがあり非常に気持ちが良いジャンプで、評価も上々であった。スピンも全てがレベル4で勢いがスピンの回転を速く見せ、ポジションもオリジナリティがあった。ステップも工夫され良い方向に進んでいる。会心の出来で1位。
フリーは最終グループの最終滑走者。舞台はそろった。伊藤みどりの時も最終滑走での優勝は何度もあった。その順番を引いた時、「優勝出来る」とチームは確信してきたものだ。同じ山田満知子コーチだ。やれるなら本物だ、と思いつつ目を凝らして氷上を見つめた。曲は「ヴァイオリン協奏曲」。元気よく氷上に飛び出していった。序盤の3回転ルッツは成功したかに見えたが、「e」マークがついた。3回転ループは1回転扱い。結果的には、ジャンプシークエンスやジャンプコンビネーションで第1ジャンプのダウングレード、第2ジャンプのダウングレードなど回転不足が目立った。しかし、力いっぱい跳び、流れもあり頼もしく思えた。スピンは少し焦り気味な感じもあったが、最後のコンビネーションはポジションも素敵で最後を締めくくった。いつも前向きで、気持ちで滑る姿は好感が持てる。だが、ストレートステップシークエンスの転倒は、想定外の出来事。最終滑走での演技は重荷だったのかもしれない。フリー6位と一瞬、凍り付いたが、総合3位で4大陸選手権、世界選手権の切符を手にした。これからもっと頑張ろう!
今季中盤に日本を飛び出した今井。昨季も期待されながら大事な全日本で12位と、思うような結果が出なかった事もあっただろう。ところが今季、思わぬ疲労骨折で十分な練習も出来ずシーズン突入しながら、GP2大会に参戦出来たのはラッキーだっただろう。プログラムは佐藤有香コーチに振り付けてもらった。新しい境地を切り開くという思いで有香コーチに、ついて行った。足の状態が万全ではなく、ジャンプが最高の組み合わせとはいかなかったようだ。少し、スケートの質を上げてきたSPは3回転フリップ+2回転トーループから始まり単独は3回転ループ、ダブルアクセルとリズム的には中々良いが、もう少し強さと緩急が必要に思えた。レベル4のスピンも落ち着いてやれば、ポジションと回転数がきちっと取れただろう。とても素敵なポジショニングを持っているのに常に使えないもどかしさが残念だ。サーキュラーステップも滑りは良くなってきているが、緩急に欠けている。曲想は今井にとても似合っていた。5位発進。
フリーは浅田と村上にサンドイッチとなる23番滑走。昨年の惨敗状況が彼女をかなり神経質にしていたようだった。ジャズ「マイフェア・レディ」の曲に乗って、序盤の3回転トーループ+3回転トーループはリズムと曲とのタイミングも合い、米国仕込みの成果が少しは上がったのかと思うほど洗練されていた。3回転ルッツの間違ったエッジの踏切の「e」マークはまだまだと思うが、3回転フリップ、3連続の3回転サルコーは無難。ただ、最後のジャンプのダブルアクセルのダウングレードは残念だった。ストレートステップもレベル3には仕立てているはずだ。もう少しスピードと緩急が出来てきたら、素敵な出来上がりになるはずだ。本格的に練習が出来てきたのは、最近2週間だったそう。まだ時間はかかると思うが、コーチとのユニゾンが上手く作用した今井を見たいものだ。フリー5位、総合4位で4大陸選手権に選ばれた。
(2012年1月4日16時05分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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