版元からすれば、百度文庫だけに対処すれば問題が解決するわけではない。YouTube、Facebook、twitterなど世界的人気サイトが登場すれば、中国ではそれにそっくりな中国語対応サイトが無数に登場する。
最近では共同購入クーポンサイトのGROUPON(日本ではQ:pod)にそっくりなサイトが半年少しで数十から1200サイト超まで増殖したことが明らかになっている。このようにサイトシステムやサイトデザインをそのまま模倣することは日常茶飯事だ。
文書共有サイトについても、百度文庫だけでなく、米ナスダック上場のポータルサイト新浪(Sina)が提供する「愛問知識人」や「豆丁」などすでに複数存在し、多数のファイルがアップされている。今後も雨後の竹の子のように同種のサイトは増えていくだろう。
日本ではようやく出版社が電子書籍市場に乗り出そうとしているところである。著者・販売サイトとの契約方法のモデル作りなどを検討していた矢先に、これまでの議論をすべて台無しにするようなシステムが中国でリリースされてしまったわけだ。
「海外サイトだから見る日本人は限られているだろう」とたかをくくってはならない。検索すれば百度の音楽ファイル検索サービスを利用して海賊版の音楽を聴く事例や、「優酷(YOUKU)」「土豆(TUDOU)」をはじめとしたYouTubeのような中国の動画共有サイトで日本の海賊版アニメや番組動画を視聴する事例、あるいは日本の一部の小学生の間で中国サイトが提供する海賊版ゲームがやりとりされている事例などいくらでも確認できる。分別のある大人はおろか、小学生にまで中国の提供サイト・サービスが海賊版コンテンツ入手を目的に利用されている。性善説は通用しない。