日本側が支払った“補償金”、受け取れた被害者は半数のみ…中国

2011年10月19日 13時19分
 第二次世界大戦時に、花岡鉱山(秋田県)で多数の中国人を強制労働させたとして、鹿島建設が拠出した5億円の使途について疑惑が出ている。鹿島建設は5億円を「花岡平和友好基金」として中国紅十字会(中国赤十字)に信託した。当初予定では被害者986人が事実上の補償金を受け取るとされていたが、現在までに受け取ったのは半数をやや上回る500人程度という。中国赤十字に対する不信が改めて高まった。千龍網が報じた。

 「花岡平和友好基金」は、「日中友好の観点に立ち、花岡鉱山現場受難者の慰霊および追悼、受難者および遺族らの生活支援、日中の歴史研究その他の活動経費に充てる」と定められている。

 花岡事件と同事件にまつわる日本企業と中国人団体の争いと和解を描いた著作「尊厳」の著者である李旻氏によると、中国赤十字は「花岡平和友好基金」の使用状況を監視する責任を持つだけで、用途を決めたり、被害者への支払いについて手数料など費用を徴収することは認められていない。

 花岡事件について和解が成立したのは2000年で、鹿島建設は「基金5億円」の積み立てを始めた。しかし中国赤十字は現在に至っても基金の残高や用途について発表していない。李氏は「でたらめに使っているとしか思えない」と主張した。

 李氏によると、鹿島建設は被害者数を986人として、本人または家族・遺族に被害者1人当たり50万円が渡るように計算した。1990年代の中国の物価水準や為替レートなども考え合わせた結果だった。

 しかし、実際に受け取った被害者(含、家族・遺族)は500人程度で、しかも受取額は25万円相当という。李氏は「中間で、巨額の資金が消えた。金はどこに行ったのか。だれも知らない」と指摘した。

 中国赤十字側は、「基金管理委員会と協力して、被害者探しのために大量の作業をこなした。その結果、現在までに520人が判明した」と、被害者を確定することには困難が伴うと説明した。

 ひとり当たりの受取額が基金の総額を被害者人数で割った場合の単純計算した金額より大幅に低いことについては「日本の現地におもむいての慰霊活動や、中国国内で開催した同事件の展覧会や会議に用いている。これらの活動は、多くの人に歴史を知ってもらい、日中両国の世代を通じた友好のために貢献している」と主張した。

 中国では、赤十字が「5億円の基金の半額に相当する2億5000万円を自らの手数料として差し引いた」との見方がある。

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