中国赤十字が否定…日本による強制労働、和解金流用の疑いに

2011年7月15日 19時24分
 中国紅十字会(中国赤十字)は15日、鹿島建設が「花岡事件」についての和解金として支払った5億円のうち2億5000万円を「費用」などの名目で内部留保しているとの見方を否定した。「花岡事件」は第二次世界大戦中に鹿島建設(当時は鹿島組)が中国人を秋田県内の花岡鉱山で強制労働させ、反抗した者を弾圧して死亡させるケースも多かった問題だ。

 中国人被害者である耿諄氏が1989年、同事件について鹿島建設に謝罪と補償を要求した。両者は1990年に、◆(花岡事件は)閣義決定に基づく強制連行・強制労働に起因する歴史的事実であり、鹿島建設もこれを認める◆中国人生存者・遺族が送った公開書簡に対して鹿島建設は、双方が話し合いで解決せねばならない問題であることを認める◆双方は早期解決を目指す――などの内容の共同発表を行った。

 しかし、鹿島建設がその後◆当社に実質的に責任はない。謝罪はしない◆日中共同声明で中国側の賠償請求権は放棄されている。したがって賠償は行わない◆供養料として1億円以下を支払うことはありえる――との考えを示したとして、耿諄氏ら11人は交渉による事態打開は困難と判断し、1995年に提訴した。個人による賠償請求について中国政府が「阻止も干渉もしない」と容認姿勢をみせたことが、提訴に踏み切った大きな理由だったという。

 一審の東京地裁は20年以上が経過しているとして時効として原告を退けた。二審の東京高裁の勧告により両者は2000年に和解した。

 和解条件により、鹿島建設は利害関係人である中国赤十字に5億円を信託、同信託金は花岡平和友好基金として、「花岡鉱山現場受難者の慰霊及び追悼、受難者及び遺族らの生活支援、日中の歴史研究その他の活動経費」に充てられることになった。

 中国のインターネットでは最近になり、自国赤十字が花岡平和友好基金の半額に当たる2億5000万円を「費用」などの名目で内部留保して、本来の目的に役立てていないなどの声が広まった。

 中国赤十字は15日、「花岡平和友好基金についての説明」と題する文章を発表。「インターネットで広まった2億5000万円を費用として内部留保したとの噂は事実ではないとお答えする」と表明し、基金は「中国赤十字は国家の財務規定と中国赤十字自身の財務規定、花岡平和友好基金管理委員会の求めに従って使用している。国家による会計監査も受けており、2億5000万円を内部で留保していることは、まったくない」と説明した。

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