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'12/1/5

碑文に塗料 被爆者らに憤り



 4日未明、広島市中区の平和記念公園の原爆慰霊碑に塗料が吹き付けられた事件。心ない行為に、平和な世の実現を年頭にも誓った被爆者や市民に憤りが広がった。一方で、同様の事件は繰り返し起きており、警備の難しさも浮き彫りになった。

 広島県被団協の坪井直理事長(86)は「怒りではらわたが煮えくりかえる思いだ。証言活動をするわれわれも奮い立たなければならない」と声を震わせた。

 もう一つの広島県被団協の金子一士理事長(86)も「絶対に許せない。原爆は二度と使われてはならないという世論をもっと盛り上げる必要を痛感している」。被爆直後に水を求めながら亡くなった人たちを思い、原爆慰霊碑などに「献水」する活動を続ける被爆者の宇根利枝さん(93)=南区=は「寝たきりだが、原爆慰霊碑まで今すぐ飛んで行きたいほど悔しい」とショックを受けていた。

 広島県の湯崎英彦知事は中国新聞の取材に「怒り以外の感情が浮かばない。被爆して亡くなった方の尊厳を傷つける行為だ」と厳しく非難した。

 悪質な行為が後を絶たない現実。原爆慰霊碑を囲む平和の池の清掃奉仕に毎年参加する中区の西山和義さん(63)は「またかと思った。市の警備体制に甘さがあるのではないか」と指摘する。

 市は、防犯体制を強化してきた。2002年3月、碑文にペンキをかけられた事件が契機となった。原爆慰霊碑の管理を所管する市平和推進課によると、現在、慰霊碑の四方にセンサーを設置。何者かが区画内に立ち入ると、警報が現場と守衛室で鳴る仕組みだ。

 公園内の原爆資料館の本館と東館には、慰霊碑に向けた防犯カメラ各1台があり、夜間は警備員2人が交代で映像を監視。さらに、2時間ごとに公園内を巡回しているという。

 今回は警報が作動し、警備員が現場に駆け付けたが、ビデオ映像に写った男は立ち去った後。30秒ほど慰霊碑内に侵入した形跡があるという。

 同課は「防犯カメラの映像をチェックしており、当面は現状の警備体制を続ける。フェンスを設けるなどしなければ完全には防げない」とし、対策の難しさを打ち明ける。

【写真説明】碑文に吹き付けられた塗料を取り除く広島平和文化センター職員(4日午前6時45分、広島市中区の平和記念公園)




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