和歌山県立医大:前教授が民間2病院から290万円受領

2012年1月5日 2時30分 更新:1月5日 7時37分

 和歌山県立医大(和歌山市)の腎臓内科・血液浄化センター(医局)の教授(64)=当時=が02~05年、和歌山市や堺市の二つの民間病院から計290万円の現金を受け取っていたことが分かった。2病院は正規の寄付金とは別に、病院幹部が盆暮れのあいさつで教授に直接、現金を渡していた。教授をトップとする医局は、関連病院への医師派遣などで強い権限を持っており、金銭が絡む不透明な関係が問題になりそうだ。

 教授は99~05年まで同医大教授を務め、現在は東京都内の私立大教授で日本透析医学会理事長。取材に対し、事実関係を認め「(現金を)持って帰らせるわけにはいかなかったので、医局への寄付金として処理した」と釈明。私的流用については否定した。

 医大や病院関係者によると、2病院は透析施設を運営。和歌山市の病院は医局から非常勤で医師派遣を受けている。堺市の病院は、透析施設の開設時に医局の協力を得るなどした。

 内部資料によると、和歌山市の病院は02~05年、夏と冬の年2回、1回10万円を前教授に持参。堺市の病院は1回30万~40万円を渡していた。教授はこれを医局費会計に「寄付金」として繰り入れていた。

 医局費会計は、所属する医師が月1万円支払う医局費が主な収入源で、懇親会費やお茶代などに充てる互助会的なもの。医大の公式な会計とは異なる。

 一方、医大の寄付金処理簿によると、2病院はこの時期、290万円とは別に正規の寄付金も医局に納めていた。当時、寄付金は医大内の財団法人「和歌山県医学振興会」を通じて各医局に配分する仕組み。和歌山市の病院は03、04年度に計40万円、堺市の病院は02~05年度に計80万円を納めた。県立医大が06年度に独立行政法人に移行するまで、教授らは公務員だった。

 和歌山市の病院の理事長は取材に「医師を派遣してもらっているので、協力金を支払うという関係が以前はあった。今は正規の寄付金しか払っていない」と話した。一方、堺市の病院幹部は「医局費として出したと思う」と答え、詳しい説明を拒んだ。【藤田剛、酒井祥宏、近藤希実】

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