【ニューヨーク=杉本貴司】金融危機後に大きく落ち込んだ米新車販売市場が2011年、危機前の8割程度の規模に回復し、販売台数は前年比10.3%増の1277万8171台となった。韓国・現代自動車がシェアを伸ばしランキング6位に浮上。トヨタ自動車など日本勢は東日本大震災やタイ洪水の影響で苦戦が目立ち、勢力図の変化が鮮明になった。上位メーカーのシェア格差は縮まりつつあり、経済情勢が不透明な中で12年は消耗戦を強いられる可能性もある。
米調査会社オートデータが4日まとめた調べによると販売台数は2年連続で2ケタ増。リーマン・ショックの影響で大きく落ち込んだ09年から2割強伸び、危機前の07年と比べれば8割の水準。危機時の買い控えで米国民の車の保有年数が延び、買い替え需要が発生しているほか、失業率が改善傾向にあることから「店舗への来客が増え順調な販売が続いている」(米フォード・モーター幹部)。
ただ、今年の動向について米ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタは1350万~1400万台と成長率が1ケタ台に低下するとの見通しを示す。マツダは5年後に米市場がピークだった10年前(1700万台強)の規模に回復するとみていたが「遅れる可能性が大きく計画の練り直しが必要」(山内孝社長)と分析している。
回復のピッチが鈍化する一方、メーカー各社の勢力図はこの10年で大きく変わった。上位7社のシェア格差は01年には24.8ポイントあったが、11年には11.4ポイントにまで縮まった。首位は一貫してGMだがシェアは28.1%から19.6%に低下。01年には3.3%だった現代自動車が8.9%に躍進した。
現代自は主力車の「ソナタ」や「エラントラ」の販売が好調。11年は傘下の起亜自動車も含め販売台数を26.5%伸ばした。日本勢の中では好調だったといえる日産自動車も上回り、6位に浮上。前年の4位から5位に落ちたホンダにも約1万6000台差に肉薄した。1月には米韓自由貿易協定(FTA)が発効。韓国から米国への乗用車輸出の関税は5年目に0%に下がる。輸出拡大を見込んで今後も米国で販売網を広げる考えだ。
トヨタは震災の影響でシェアが急落。トヨタは2000年代に入り米販売シェアを一貫して伸ばしてきたが、04年の水準にまで「逆戻り」した。今後は12年内に19の新モデルを投入。最大の強みであるハイブリッド車の品ぞろえも強化して巻き返しをかける。12年の販売台数は15%増の190万台を目指す。
大幅な需要の伸びが見込みにくい12年以降は、シェアを落とした日本勢やさらなる浮上を狙う現代自動車が販売攻勢をかける構図になる。足元の米市場は回復基調を受けて新車の平均販売価格が3万ドル(約230万円)強と過去最高水準にあり、販売奨励金(インセンティブ)の水準も低下しているが「乱売合戦」に陥る可能性もある。
トヨタ自動車、エラントラ、ゼネラル・モーターズ、ソナタ、現代自動車、山内孝、マツダ、ホンダ、FTA、日産自動車、起亜自動車
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