東京都心がビルの開発ラッシュにわいている。今年のオフィスの供給は、バブル期以降で3番目の多さ。建設業界は活況だが、空室が増えるため、不動産業界は「2012年問題」と呼んで頭を抱える。百貨店業界も同じ状況で、過剰な出店(オーバーストア)に苦しんでいる。
ビジネスの中心地、東京・大手町。大型タワークレーン3台が、空に向かって伸びる。東京建物と大成建設が進める「大手町1―6計画」だ。みずほ銀行大手町本部ビル(旧富士銀行本店)と大手町フィナンシャルセンターを建て替える。地上38階建て、高さ200メートルの超高層ビル。オフィス、ホテル、商業施設が入り、14年に完成する。
ほかにも東京駅周辺は、ビル建設が目白押しだ。JR東日本による東京駅丸の内駅舎の復元事業に、三菱地所の「丸の内1―4計画」「大手町1丁目第2地区再開発事業」など。「事業費数百億円の大規模再開発がごろごろしている」(業界関係者)。
森ビルによると、今年、東京23区で完成するビルの延べ床面積は、前年比12%増の154万平方メートル。不動産調査会社「三鬼商事」によると、すでに都心主要区の昨年11月の空室率は約9%に上っており、好不況の目安である5%を大きく上回る。