2010年10月12日
オメガ3サプリの抜き打ち検査
アメリカにConsumerLab.comというサプリを抜き打ち検査する会社があります(こちら)。
市販されているサプリを市場から購入し、分析します。そしてラベル表示通りの成分が含有されているかどうかをチェックし、その結果を公表する、という仕事をしています。
分析するブランドを選び、サンプルは必ず市場から購入します。メーカーから直接は受け取りません。メーカーが自主的に検査を希望してきた場合は、区別して報告書に含めます。この場合もサンプルは市場で調達します。
また分析するときは、どのメーカーのものかわからないように別の容器に詰め替え、ブラインド化します。もしも不合格という結果が出ると、別のラボで再試験して間違いないことを確認します。
この方法でこれまでたくさんの製品を分析してきましたが、今回はオメガ3製品が対象になりました。市場で調達した24製品と、自主的に検査を申し出てきた15製品を分析したところ、7製品に問題がありました。
オメガ3の含量が表示より少なかったのは次の3ブランドでした:
Natural Factors(83%しか含有してなかった)、NOW Foods(77―79%)、St. Hill Pharmaceutical(88%)。
オメガ3は酸化により品質が劣化しやすい性質を持っています。次のブランドは品質が劣化していると見なされました:
Great American Products、NOW Foods、Wellements。
魚臭を軽減するため、胃では溶けずに腸で溶けるように製造した、とうたう商品があります。しかし次のブランドは腸溶加工がうまくいっておらず、さっさと溶解してしまいました:
US Nutrition。
魚油は水銀やPCBなどによる汚染も気になります。次のペット用製品のブランドは汚染の問題がありました:
1-800-PetMeds(ダイオキシン様PCBが検出)。(ただし汚染の程度は軽度で、大部分の魚より下でした)
この報告書は会員でないと読むことができませんが、会費は年30ドルとさほど高くありません。
日本より規制の整っているアメリカで品質レベルはこうですから、日本の健康食品はどんなだろうと気になります。ConsumerLabは2005年ごろに日本で少し活動を始めましたが、いま探しても見当たりません。いつのまにか撤退したのでしょうか。
日本でもこういう活動が必要だと思うのですが、何より先に、日本の健康食品は成分含量を明らかにする義務がありません。残念ながらまだ市場も行政も未成熟なようです。
(last updated 10/12/2010 H)