福島県在住 30代 専業主婦 女性 の方からいただいたご質問
いつも回答ありがとうございます。こちらで色々拝見しまして、現在の空間放射線量(毎時0.1~0.2マイクロシーベルト程度)で過剰に警戒する必要がないことが分かり、少しは安心しています。ただひとつ気がかりがあり、相談させていただきました。 「内部被ばく」について、放射性物質を体内に取り込んだときの被ばく量については思ったほどでもないのだな、と読ませていただいて感じたのですが、物質そのものが体に与える影響については大丈夫なのでしょうか。セシウムは、骨に吸収され、良くない働きをすると何かで見かけたことがある気がしたのですが。線量は許容範囲であっても物質その物が体に毒なのではないかと思い、気になっております。子供がまだ小さく、周辺の砂など取り込んでしまう可能性が高いので大変心配です。セシウム以外の物質も拡散しているかもしれないし。一通り読ませていただいたのですが過去に同じ話題がありましたら申し訳ありません。悩める母にアドバイスいただけると幸いです。よろしくお願いします。
セシウムは筋肉に集積しやすく、ストロンチウムは骨に集積しやすいです。セシウムの毒性は化学形と量に依存します(参考1, 2)。例えば、塩化ナトリウム(食塩)もたくさん摂取すれば、無毒とは言えません。しかしセシウム137、10000 Bqの重量は、わずか0.003μg程度です。人体には、元々、数mgのセシウムが含まれており(参考3)、この程度の量のセシウム137では“化学的毒性”は認められないと考えられます。
お子様が砂等を食べてしまっても質問995の回答にあるように、放射線の影響は小さく、化学的毒性の影響もほとんどありません。セシウム以外にも現在はストロンチウムが拡散していると報告されています。このストロンチウムも化学的毒性は確認されていません。
参考1
フルウチ化学、製品安全データシート(MSDS)セシウム
http://www.furuchi.co.jp/info/MSDS_pdf/Cs_1.pdf
参考2
高純度化学研究所、製品安全データシート、沃化セシウム
http://www.kojundo.com/msds/CSH04XBjp.pdf
参考3
John Emsley, “Nature’s Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements,” Oxford University Press(2011): 山﨑 昶 訳, 「元素の百科事典」, 丸善(2003), pp.265-270
参考4
放射性セシウムの人体への影響への質問 http://radi-info.com/q-994/
参考5
砂を食べてしまった時の体への放射線の影響への質問http://radi-info.com/q-995/