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除染補助 活用進まず 仮置き場確保などネック
 | 支援事業を活用して実施された除染作業。住民が側溝の泥や落ち葉を除去した=2011年12月17日、二本松市長折の日ノ道地区 |
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福島第1原発事故に伴う除染作業で、福島県が市町村を通じて自治会などに助成金を出す「線量低減化活動支援事業」の活用が進んでいない。補助を申請して除染するためには、原則として除去した土砂などの仮置き場が必要なためだ。特に都市部では場所の確保が難しく、除染の高いハードルになっている。 地元処理が原則 福島県二本松市長折の日ノ道地区で昨年12月17日、支援事業を活用した自治会による除染が実施された。補助金でスコップなどの道具をそろえ、約10人が毎時約3マイクロシーベルトの放射線量を計測した側溝から泥や落ち葉をかき出した。 地区内には毎時1〜2マイクロシーベルトの地点が多い。自治会副会長の井川吉一さん(63)は「子どもたちの通学路もある。除染をしなければ前に進めない」と話した。 二本松市は除染作業に伴う土砂などの「地元処理」を原則とし、近くに仮置き場がなければ支援事業の補助申請を受け付けていない。 日ノ道地区は山あいで、近くの市有地を仮置き場として確保できた。市内約360の自治会のうち、支援事業で除染ができるようになったのは100程度で、大半はやはり山間部の旧岩代町や旧東和町に集中している。 市街地は支援事業の活用が難しく、市中心部の自治会の会長(70)は「隣同士の自治会で連携して仮置き場を設置しようとしても、少しでも反対意見があったら無理だ」と嘆く。 限定される作業 福島市や南相馬市、郡山市などでは、支援事業の補助申請の際に仮置き場の確保を条件にしていないが、南相馬市などは仮置き場がない場合、福島市は原則として、表土のはぎ取りなどをしないよう呼び掛けている。 作業は路面洗浄や草刈りなどに限られる。「土砂を取らないと除染の効果は上がらない」という声もあり、地域住民による除染活動は広がっていないのが現状だ。 各市によると、支援事業の補助申請が見込まれている自治会などのうち、昨年12月27日までに申請したのは福島市で3分の1程度の約340にすぎず、南相馬市でも半分に達していないという。
[線量低減化活動支援事業] 昨年7月の国の第2次補正予算成立に伴い、福島県が36億円を予算化した。公園、通学路などの公共空間で除染活動に当たる自治会やPTAに対し、最高で50万円を助成する。各自治体が申請を受け付け、認めるかどうかを判断するが、仮置き場の確保などで自治体の判断が分かれている。
2012年01月04日水曜日
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