民主党の小沢一郎元代表は3日、地元岩手県の東日本大震災の被災地を視察した。元代表は昨年3月、同県庁を訪れたが、沿岸部の被災地視察は発生から10カ月近く過ぎた今回が初めて。視察先では、遅くなったことへの直接的な釈明はなかった。
元代表は陸前高田市で記者団に「野田(佳彦)首相には我々が掲げた初心を思い起こしてほしい」と述べ、首相の消費増税方針を批判した。大船渡市でのあいさつでも「トップが官僚の壁にたじろいでいる。政権交代の意味がない」と首相批判を展開した。小沢グループは一部が離党して新党結成に動いており、消費増税問題をテコに首相への揺さぶりを強める構えだ。
しかし、元代表は自らの政治資金規正法違反事件の裁判で10、11日に被告人質問を控えており、政治的な行動は縛られがち。さらに、首相が衆院解散・総選挙に踏み切れば、選挙基盤の弱い新人衆院議員が多い小沢グループは激減する可能性もある。
今回の視察は昨年末に上京した達増拓也岩手県知事の要請を受けたもの。年内にも想定される次期衆院選に向け、グループ内を引き締める意味もあるが、それだけ元代表が危機感を抱いていることの裏返しともいえる。代表は2日夜、久慈市のすし店で達増知事と会談した際、「今年は大変な年になる」と語った。
視察は岩手県北部の久慈市から南部の陸前高田市まで沿岸部を車で縦断。達増知事、小沢グループの黄川田徹、畑浩治、菊池長右エ門衆院議員、藤原良信参院議員が同行した。【葛西大博、宮崎隆】
毎日新聞 2012年1月3日 21時11分(最終更新 1月4日 0時53分)