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民主党が、消費税率を2段階で上げる案をまとめた。14年4月から8%に、15年10月には10%にする。「年内」に引き上げ時期と税率を示す約束をしていた野田首相は、なんとか[記事全文]
平壌で金正日総書記の告別式と追悼大会があった。各界代表が新たな指導者として三男の金正恩氏を押し立て、「革命偉業の継承を」と訴えた。これから北朝鮮はどう進むのか。世界が注[記事全文]
民主党が、消費税率を2段階で上げる案をまとめた。14年4月から8%に、15年10月には10%にする。
「年内」に引き上げ時期と税率を示す約束をしていた野田首相は、なんとか面目を保った。反対派に配慮して、党税制調査会の役員会案から、それぞれ半年ずつ遅らせたが、案を固めたことは率直に評価する。
これで、ひとまず社会保障と税の一体改革のスタート台には立てた。
首相はおととい、議論を決着させる党の会議で「政治家としての集大成」という言葉を使った。その覚悟を本当に形にしてほしい。
なにしろ、ここまでの首相の態度は煮え切らなかった。
さきの臨時国会では、国家公務員給与や議員定数の削減をできず、みずから身を削る姿勢をまったく示せなかった。
それなのに来年度から八ツ場ダムの本体工事や、整備新幹線の三つの新規区間の着工、東京外郭環状道路の建設再開を決めた。大震災の復興費用がかさむなか、あえて大型公共事業の復活に道を開いた。
これでは、税率引き上げに反対する理由を、わざわざばらまいたようなものだ。あまりの戦略性のなさは、政権の命取りにさえ見えた。
一方で、党内の増税反対派の動きも理解しがたかった。
8月の党代表選で、野田氏が勝った時点で、増税方針は決着したのではなかったのか。
むろん、デフレ脱却が先だ、もっと行革をすべきだ、といった意見はあり得る。だが、ならば、そのための政策を論じ、実現するのが与党議員の務めではないか。
残念ながら、反対派の言動からにじんだのは、次の選挙が心配という個別事情だ。
その極めつきが、議論が終わる前に、党を捨てて、離党した議員たちだ。
首相には自民党など野党との協議、国会での法案審議、そして採決と、より高いハードルが待ち受ける。与党内からも、法案に反対する議員が出るのは避けられそうにない。
だが、この一体改革はもはや後戻りはもちろん、立ち止まることさえ許されない。
首相はおととい、「来年は国民のための正念場の年だ。『君子は豹変(ひょうへん)す』という立場で行革にも臨む」と訴えた。
言葉どおり、無駄の削減を実現しなければ、改革への世論の支持は広がらず、政権の命運も尽きる。首相は厳しい現実をみつめ、突き進むしかない。
平壌で金正日総書記の告別式と追悼大会があった。各界代表が新たな指導者として三男の金正恩氏を押し立て、「革命偉業の継承を」と訴えた。
これから北朝鮮はどう進むのか。世界が注視するなかで、「金正恩体制」の始動である。
正恩氏をたたえる北朝鮮からの報道が増えている。
いわく、総書記死去に伴って軍事演習中断の命令を出し、弔問の外交団への応対を続けた。韓国の故金大中大統領の夫人らの弔問も受けて面会した。
呼称も、これでもかと言わんばかりだ。「最高領導者」「唯一の後継者」、さらに「21世紀の太陽」「軍最高司令官」という表現まで現れた。
後継者としての正統性と、順調な滑り出しを強調したいようだ。裏を返せば、短い準備期間で自立を迫られたことへの焦りのようにも見える。
なにしろ、正恩氏は30歳に満たない。統治の経験もなく、指導力やカリスマ性に疑問符がつく。すぐには大胆な新機軸は打ち出しにくいだろう。
当面は、脇を固める側近に頼らざるをえまい。ただ、その陣容も、たとえば核問題や米国との交渉の顔ぶれは20年近く実質的に変わってはいない。
しかし、旧態依然とした特権階級に囲まれた新体制が、変化を遠ざけ、独裁体制をただ踏襲していくだけでは困る。
それは、日米韓はもちろん、北朝鮮の後ろ盾として新体制をいち早く支持した中国も望むところではないはずだ。
きのう、最高指導機関の国防委員会が、韓国の李明博大統領を名指しで非難して、「我々に対するいかなる変化も望むな」と宣言した。
まずは、こうした態度を改めることだ。
そして真っ当なメンバーとして国際社会に加わる。それによって経済の再生に取り組み、住民の生活の改善を図っていく。
体制の移行期を、北朝鮮みずからが、核やミサイル、拉致などの問題の包括的な解決に生かすように動くことで、米朝や日朝の国交正常化、韓国との平和共存をめざす。そんな展開を望まずにいられない。
北朝鮮は来年、故金日成主席の生誕100年の節目を迎える。現実的な政策への転換と国際協調なしには、将来の展望が開けないことを自覚しなければならない。
私たちも北朝鮮の「瀬戸際外交」の手口からは、多くを学んでいる。核やミサイルの実験で状況を変えようとしても、もう通じない。