アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは、アフガニスタンの和平に向けてアメリカと交渉を行う事務所を中東のカタールに開設することで、アメリカ・カタール両政府と基本合意したと発表しました。
アフガニスタンでは、反政府武装勢力タリバンがテロや攻撃を続けていますが、アメリカのオバマ政権は、アメリカ軍の撤退を進めるためにはタリバンとの間で政治的な解決が重要だとして、水面下で対話を進めてきました。こうしたなか、タリバンは3日「アメリカと協議した結果、国際社会と交渉をするための政治事務所を開設することで、アメリカやカタールの政府と基本合意した」とする声明を発表しました。事務所の開設は、タリバンとの和平交渉を進めたいアフガニスタンのカルザイ政権もすでに了承しており、実際に開設されれば、これまで停滞していたタリバンとの対話が進み、和平交渉につながる可能性もあります。しかし、タリバンは今回の声明で、アメリカに対してグアンタナモ収容所に収容しているタリバンのメンバーの釈放を強く求めているほか、「アフガニスタンで続く戦闘の当事者は自分たちとアメリカだ」と主張して、アフガニスタン政府が主導する和平交渉には応じない構えも示しています。声明は、タリバン政権復活を目指し、硬軟織り交ぜてアメリカを揺さぶろうというねらいをうかがわせており、和平の前進に向けてはう余曲折が予想されます。タリバンの声明を受けて、カブールのアメリカ大使館は「アメリカ政府は、アフガニスタン政府が主導する和平交渉プロセスを支援する」という声明を発表し、アフガニスタン政府を交渉の相手としない構えを見せるタリバンをけん制しました。