九州電力玄海原子力発電所のある佐賀県玄海町の岸本英雄町長が、就任以来5年余の間に町長交際費から10回計約40万円を経済産業省職員らとの会食などに使っていたことが分かった。岸本町長は取材に対し、「相手と仲良くすることは業務のスムーズさを考えれば必要。町のため町民のためにやっている」と、事実関係を認めた。
2000年施行の国家公務員倫理法は、国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないと定めている。同法に基づく倫理規程は、利害関係者から金銭や物品、供応接待を受けることを禁止。利害関係者でなくても、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待や財産上の利益供与を受けることを禁じている。
町関係者によると、交際費の使途の中には、昨年5月、東京都内の洋食店での経産省資源エネルギー庁職員2人と町長ら4人との会食、同7月、玄海町を訪れた同庁職員2人と唐津市内のホテルでの町長ら3人との会食などが含まれている。また、09年に同町を訪れた内閣府原子力委員会委員長にも昼食の接待をしたという。
玄海町は岸本町長の就任以来、当初予算に町長交際費180万円を計上している。資源エネルギー庁職員との会食に同席したある町幹部は「原子力に関する情報交換や町の物産紹介などのために会食した。金額も常識の範囲で、町監査委員から『不適切』という指摘もない」と話している。