2011年11月7日 19時45分
内閣府が7日発表した9月の景気動向指数は、景気の水準を示すCI(05年=100)の一致指数が前月比1.4ポイント低下の88.9だった。欧米経済の減速を受けた生産の減少が響いた。CIは、東日本大震災後のピークを付けた7月の90.4から2カ月連続で低下し、震災前の2月の水準(94.3)になお届かない。景気の回復力が力強さを欠いていることが浮き彫りとなった。
内閣府は9月の指数から新基準を採用。従来の基準では、指数の大幅な落ち込みは例外扱いとし、カウントしていなかった。ところが、大きなショックが過小評価されると、その後の景気の評価の上ぶれにつながり、「景気の落ち込みが正確に反映されていない」との批判が強かった。
新基準では、算出方法を過去にさかのぼって改定。基準改定前に107.4だった8月のCIは90.3に下方修正されるなど、リーマン・ショック後のCIが軒並み低下した。
CIはリーマン後の09年3月に71.6にまで低下。震災前の2月に94.3まで回復したが、震災が起きた3月には86.3に急落。サプライチェーン(部品供給網)の急回復で6月に90.4まで改善したが、その後は伸び悩んでいる。景気の基調判断も、ただし書き付きで「改善」としていた3~5月を「下方への局面変化」に、6~8月を「改善」から「下げ止まり」にした。9月の判断は前月から据え置いた。
半年ほど先の見通しを示す先行指数も、前月比2.2ポイント低下の91.6と2カ月連続で悪化。内閣府は「歴史的な円高やタイの洪水被害など、景気の下ぶれリスクが高まっている」と先行きに警戒感を強めている。【赤間清広】