上図「色覚のタイプによる色の見え方の違い」のように、色弱者の色の見え方のシミュレーションソフトが何種類か登場しています。製品や施設の写真をこれらのソフトを使って処理すれば、一般色覚者でも色弱者の色の見え方を疑似体験でき、既存の配色の問題点を調べたり新しいデザインを考えたりするために極めて有効なツールとなっています。
しかしシミュレーションは万能ではありません。まず、シミュレーションにはどうしても限界があり、色弱者の見え方を完全には再現できないという問題があります。また、色によっては一般色覚者が似たような色だと感じるものを、色弱者は全然違う色だと感じることもあります。同系色の明度や彩度に関しては、色弱者のほうが一般色覚者よりもわずかな差に敏感です。このため、一般色覚者には気にならないわずかな色の差が色弱者を混乱させる原因になったり、一般色覚者が「この配色はとても見づらいだろう」と想像するものが、色弱者には意外に見分けやすかったりすることがあります。これらはシミュレーション画像を見ても、一般色覚者には知覚できません。
また、色の見え方は照明によって大きく変わります。視認性・判読性・デザイン性の評価は、コンピューター画面ではなく、実際にその表示が用いられる現場の照明条件で、現物を用いてモニター評価することが非常に重要です。
また、カラーユニバーサルデザインは単に色を調整するのではなく、色と同時に形の違いや線種・塗り分けパターンを工夫したり、美観を損なわない形で文字や色名等を表記したりしてデザインを総合的に創ってゆく、クリエイティブな作業です。単にコンピューターで紛らわしい色を探して他の色に置き換えるだけでは、色のバランスも美しくなく、見やすさもそれほど向上しない中途半端なものになりかねません。
そこでカラーユニバーサルデザインを達成するには、どうしても実際に色弱者の目を用いてモニター作業を行ない、デザイナーや設計者と対話しながら案を練ってゆく作業が不可欠になります。しかし同じ色弱者でも、P型とD型では色の見え方がかなり違います。P型の人が全く不便を感じない色づかいでもD型の人には非常に見えづらかったり、その逆が起こりえます。モニター作業では1 人の色弱者だけでなく、P型強度・P型弱度・D型強度・D型弱度の4 タイプに、一般のC型を加えた、5タイプの色覚で検証することが大切です。
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