平田容疑者:逃亡17年、出頭…長官狙撃「自分じゃない」

2012年1月3日 2時30分

平田信容疑者
平田信容疑者

 元オウム真理教幹部で特別手配されていた平田信容疑者(46)が12月31日夜、警視庁丸の内署に出頭し、同庁捜査1課は1日未明、公証役場事務長だった仮谷清志さん(当時68歳)に対する逮捕監禁致死容疑で平田容疑者を逮捕した。平田容疑者は「事件から年月がたったので区切りを付けたかった」と出頭の理由を説明。逃亡生活は17年近くに及んだ。

 ◇「区切り付けたかった」

 「平田信です。出頭してきました」。平田容疑者が皇居に近い丸の内署の入り口に立っていた署員に告げたのは、大みそかの午後11時50分ごろだった。警視庁が地下鉄駅の防犯カメラの分析や回収した切符を調べたところ、平田容疑者は午後11時過ぎ、東京都内の駅から東京メトロに乗り、乗り換えなしで霞ケ関駅に到着していたことが判明。警視庁本庁に寄った後、署までは歩いてきたとみられる。

 「手配写真そのままという印象だ」と捜査幹部は語る。全国に張り巡らされたポスターの通り、身長183センチの長身。肩に届くほどの茶色っぽい長髪。服装は黒のダウンジャケットにジーンズ姿で、スニーカーをはいていた。整形したり、変装したような形跡もなかった。

 署員は平田容疑者をエレベーターに乗せ、5階にある刑事組織犯罪対策課に連れて行った。左首筋にはポスターと同じ5ミリぐらいのホクロがあった。取調室で採った指紋も一致。1日午前3時前に本人と確認された。

 逮捕時間は午前5時ごろ。調べに対し、平田容疑者は「(警察庁長官)狙撃事件の犯人のような扱いをされているのを報道で知り、自分じゃないので恐ろしくて逃げ続けた」と供述したという。警視庁は同事件には教団が関与したとみているが、平田容疑者は「自分は関係ない」と関与を否定した。

 取り調べには落ち着いて応じているといい、仮谷さん拉致事件については「井上嘉浩死刑囚の指示を受けて車を運転しただけだ」と容疑を一部否認しつつも、「仮谷さんには申し訳ないと思う。俺は逮捕されて当然だ」と述べた。一方で、「いろんな支障が出たら困る」と、潜伏先については語らず、支援者の存在をほのめかしている。

 平田容疑者が持っていたリュックサックに入っていたのは、着替え、試供品のシャンプー、くし……。身分を示すものや携帯電話はなく、現金約10万円を持っていた。捜査幹部は「ひげも伸びておらず、汚れた印象もなかった」と話し、警視庁は逃走を支援する人物がいたとみて追及する方針。2日、平田容疑者の身柄を送検した。

 一連のオウム真理教事件では、平田容疑者のほか、高橋克也(53)と菊地直子(40)の両容疑者も特別手配されている。松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚を含め起訴された189人の判決は昨年12月に全て確定していた。【内橋寿明、村上尊一、松本惇】

 ◇仮谷さん拉致で11人目

 ◇平田信容疑者の逮捕容疑◇

 95年2月28日午後4時半ごろ、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(56)らと共謀し、東京都品川区上大崎3の路上で、目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68歳)をレンタカーに監禁。山梨県上九一色村(当時)にあった教団施設に連れて行って薬物を注射し、同年3月1日、気管閉塞(へいそく)などで死亡させたとしている。仮谷さん拉致事件での逮捕者は11人目。

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