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ガスタービンに春到来の予感

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2011/3/7 7:00
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 設備投資の安さも魅力だ。受注額は明らかにしていないが、170万キロワットの原発の受注額が数千億円なのに対し、出力がさほど変わらないGTCCは数百億円。1桁の違いがある。規制電力のドミニオンは建設費用を電力料金に上乗せできるとはいえ、原発の投資負担が重いのは事実だ。工期も短い。GTCCは2014年末には稼働を開始できるが、原発は建設に7年はかかる。ドミニオンはさらに数基のGTCCの建設を計画しており、三菱重工は追加受注に期待を膨らませる。

三井物産が参画する米アナダルコが進めるプロジェクトのシェールガス掘削作業。シェールガスは技術革新をテコに商業化が進んでいる(米ペンシルベニア州)=三井物産提供
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三井物産が参画する米アナダルコが進めるプロジェクトのシェールガス掘削作業。シェールガスは技術革新をテコに商業化が進んでいる(米ペンシルベニア州)=三井物産提供

 意外なようだが、風車や太陽光など再生エネルギーの普及もガスタービンには追い風だ。風車や太陽光は天気任せ。気象変化によって出力が変動し、電力系統を不安定にする。電力業界では「しわ」と呼ばれる現象だ。再生エネルギーに出力を自在に調整できるガスタービンを組み合わせ、しわを取って電力系統を安定させる新たなニーズも高まっている。出力調整が難しい原発にはできない芸当だ。

 こうした「しわ取り」用途に適したガスタービンに力を入れているのが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)だ。スイッチを入れればすぐに立ち上がり、出力調整も自在な機動力を武器に、高効率・大出力路線の三菱重工とは違った市場開拓を着々と進めている。

 米国では老朽化した石炭火力発電所の建て替えが課題になっているが、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えつつ、低コストで発電できる発電手段としては、ガスタービンを上回る解決策が見当たらない。

 石炭火力もCO2の排出を抑えた「クリーンコール」技術が登場している。埋蔵量が豊富な石炭をガス化してから燃やす石炭ガス化複合発電(IGCC)は有望技術だが、現状では設備の価格が高すぎてペイしない。CO2を地下に封じ込める回収・炭素貯留(CCS)もコスト面に課題が残る。

 米国は金融危機の影響で電力需要が伸び悩んでおり、足元の受注環境は良いとはいえない。だが、米国景気の回復が本格化し、発電設備への投資が戻ってくれば、ガスタービンの商談が活発になりそうだ。

(産業部 鈴木壮太郎)

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