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12年は農業再生のターニングポイント
日本を取り巻く国際社会がEPA(=経済連携協定)、FTA(=自由貿易協定)などの高度経済連携協定を進める中、農業の競争力強化は待ったなしの状況となっている。
日本の農業の体質強化を考える際、真っ先に挙げられる問題点は、山間地が多い日本の土地条件に由来する生産効率の低さと、後継者不足により深刻化している就農人口の高齢化である。農水省によると、就農者の平均年齢は現在、66歳を超えている。
先月、閣議決定した12年度予算案のうち、農業関連予算は約2兆3000億円で、このうち半分近い約1兆円を、農業の体質強化を目指して去年10月に政府が策定した「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」の実行のための政策に充てている。
予算案では、農地の集積を図るため、これまで規模拡大をした農家にだけ支払われていた奨励金を、農地を手放す側の農家にも支払う制度を新設した。この制度との相乗効果で今後5年以内に平均20ヘクタール以上の大規模農家が農地の8割以上を耕作することで、日本の農業全体の経営効率向上を目指す。
若者の農業離れ対策には、45歳未満の新規就農者に年間150万円を最大5年間給付する制度を設けた。これで、毎年2万人が新たに農業に参入することを目指す。
日本の農業の体質強化は、大規模化と新規就農政策を軸に、生産にとどまらず、農家が自ら農産品の加工・流通を行うことを奨励する「農業の6次産業化」と、海外での潜在需要の開拓を図り、輸出拡大を促進することなどで、農業が「産業」として成立するかがカギとなるとみられる。
12年は、日本の農業が再生を果たすことができるのか、ジリ貧となるのか、今後の行方を占う重要なターニングポイントとなる。
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