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[31006] 【一発ネタ】BLADE ARTS/Zero 【Fate/Zero×装甲悪鬼村正】
Name: ぐるぐる◆c7b9deb2 ID:8b114d6a
Date: 2011/12/30 08:28
 衛宮切嗣は妻であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンを伴って聖杯戦争の召喚の儀を行うつもりだった。しかし万が一召喚に応じた英霊が切嗣やアイリスフィールを害する可能性もあると考えていた。騎士王アーサー・ペンドラゴンはそんなことをするはずがないと切嗣は信じなかった。
 そもそも切嗣は英雄というものを信じていなかった。英雄などただの悪鬼である。そう思っていた。そんな見知らぬ悪鬼の前に愛する妻を自身の面接なしで預けるつもりはなかった。
 
 切嗣は英霊の召還のための呪文を唱えた。確かな手ごたえを感じて切嗣は英霊を召喚した。
 切嗣は召喚の前に呼び出された騎士王をどう使い切るか考えていた。高潔な騎士道の精神を持つ騎士の王と世界平和を目指すテロリストあるいは殺し屋ではどうあっても手段の面で戦いに齟齬が生じる。だが目の前に召喚されたものはそんな心配は杞憂であると知れた。
 真紅の鎧武者がいた。厳しい面の鉄面。真紅の甲冑は鎧というよりは重装甲のロボットのようだった。どう考えても騎士王アーサー・ペンドラゴンではなかった。

「……」 

「……」
 
 沈黙が切嗣と鎧武者の間を通り抜ける。
 切嗣は召喚されたものに最大級の警戒心を抱いた。目の前にいるものはなんなのか。強力な武威を感じた。呼び出したのが騎士王ならばそれを感じて当然だろう。だがこの真紅の鎧武者から感じるのは騎士王が持つ高潔さなど微塵も感じさせなかった。禍々しい災いとしか言いようのないもの。しいていうならそれは天災と表現できる。

「お前が俺(私)のマスターか」
 
 鎧武者からから発せられた声は男の声と女の声が入り混じっていた。

「そうだ、僕がお前のマスターだ」
 
 当初切嗣はサーヴァントと会話するつもりがなかった。騎士王とは反目するのはわかっていたし、道具として使い切るのに情が入り込まないようにする必要があった。指示はアイリスフィールを通して行うつもりだった。
 が、その考えは破綻した。今目の前にいる存在がどういうものなのか知らないで戦い挑むのは無謀の極みだった。故に人間性を知るために目の前の存在とコミュニケーションが必要だった。
 皮肉であった。清廉な騎士王が召喚されていればいらないコミュニケーションが、騎士王とは真逆の悪鬼とも魔王とも呼べる存在が呼ばれて相手との意思疎通が必要になるのだから。

「お前は何者でその望みはなんだ」
 
 切嗣は腕に宿る令呪の一角を使い質問した。三角ある令呪の一角を使い令呪が一角消えた。奇跡に近い行いさえ可能にする令呪を消費しても問うておかなくてはならないことだった。その目的如何によっては切嗣の聖杯戦争の戦術を変えなければならないし、最悪この場でのサーヴァントの自害も考えていた。

「セイヴァーのサーヴァント三世勢洲千子右衛門尉村正。目的は天下を平らにすること」
 
 こともあろうに目の前の存在は切嗣と同じ世界平和を目的に聖杯の召喚に応じていた。
 切嗣は鉄面皮を貫いていたが僅かに眉根が歪んだ。自分と同じ願望を持ち、架空の血の臭いが嗅げてしまいそうな村正と名乗る鎧武者。力の面では英雄とは呼ばれて良いだろう存在感を放っている。だが人々には決して賞賛されぬだろうと切嗣は感じた。
 サーヴァントは自身に似た者が呼ばれることがある。ではこの武者は切嗣に似ているから呼ばれたのか。そう考えて若干の不快感が切嗣の背筋に走った。自身も似たような存在かもしれないが、この目の前にいる奴ほど化け物ではない。
 ――だが、良いだろう。ぼくはこの怪物を使い切って世界を平和にしてみせる。
 切嗣は決意を言葉を心中で宣誓した。
 
 
 
 
 遠坂時臣は英雄王ギルガメッシュの召還には是非にと言峰璃正と言峰綺礼の同席を申し出た。
 しかしそれに対して常に師に従順である綺礼が時臣に批判的な進言をした。ギルガメッシュは国を滅ぼした暴君で、そのようなものをサーヴァントとして呼び出すのは危険ではないかと。
 この発言は時臣にギルガメッシュを制御しきれないと暗に言っていた。その進言は時臣を不愉快にしたが無視できないものであることも認めた。
 時臣はギルガメッシュを制御しきる自信があった。英雄王とまで称された人物であるし、どこかであったこともない英雄王ギルガメッシュを信じてもいた。だが、よくよく考えれば強力であれば良いと考えてギルガメッシュの召喚を考えたが、綺礼の言うようにギルガメッシュの危険性に対してはうっかり忘れていた。
 聖杯戦争はじきに始まる。まさか触媒なしで英霊を召還する気になれない。触媒にできそうなものは遠坂家の秘蔵の宝石くらいのものだった。それでは呼べたとしても遠坂に縁がある英霊だろう。そんな異端の英霊では正規の英霊にはとてもかなわない。
 結局時臣はギルガメッシュを召喚することにした。ギルガメッシュの召喚時に戯れに璃正と綺礼が害される可能性もあると思い、故に召喚の儀には璃正と綺礼を呼ぶことはなかった。 
 
 英霊の召喚の終えて時臣は困惑した。
 召喚の文言や自身の魔力がピーク達する時間を選んだ。そこにミスはない。
 だが時臣は常に優雅であれという遠坂の家訓を現状は守りきれていなかった。が、それは無理ならぬことだった。聖杯戦争に勝つために事前の根回しを完璧にこなしてきた。触媒に英雄王ギルガメッシュを召喚するために最古の蛇の抜けがらを手にいれ、聖杯戦争の監督役を引き込み、マスターの一人を自分の弟子にして味方にする。さらにそのマスターをマスター殺しのアサシン召還させて自身の暗殺を回避し、かつアサシンの技能を使い敵のマスターとサーヴァントのぞ情報収集をする。完璧であった。目の前に召喚されたのが英雄王であったなら。
 召喚陣から召還されたのは時臣が想像した英雄の原点たる、時臣がマスターとサーヴァントの関係を逆転させて仮初にも忠義を捧げる存在ではなかった。

「貴様は何者か」
 
 時臣は鋭く目の前の存在に問うた。

「アサシンのサーヴァント湊斗景明。一身上の都合で天下に武の法を敷くものです」


 蟲倉の一室に設けたサーヴァント召喚の陣には女と巨大な鋼鉄の真紅の蜘蛛がいた。
 黒い制服をマントのように羽織り、身体は女としての魅力を見せつけるように熟れていた。目を引く美しさだが見惚れることを許さない機械のような厳しい気配を女は出している。
 女の顔立ちは美しいというよりは凛々しく、英雄に相応しい風格があった。若干暗い影が面をよぎらせているが、目に宿った意思の強さと気迫を間桐雁夜は感じた。故にその傍らにある鉄の蜘蛛の存在が際立っていた。その蜘蛛は不吉であり、邪悪であり、禍々しかった。雁夜の神経を犯し正気を半ばを失わせた雁夜の蟲の秘術より遥かに邪悪であった。
 
「あんたが、あたしのマスターか」

 短く確認だけを女の英雄がした。傍らの蜘蛛は沈黙を通している。

「ああ、俺がお前のマスターだ。お前は何者だ」

「セイバーのサーヴァント。綾弥一条だ。七面倒くさいから本題から言わせてもらう。あたしはあんたの桜って子を助けたいって願いに応じて召喚された。でもあたしはあたしの正義に反することはできない。その桜って子を助けるためにあたしの正義に反することをするならあたしは戦えない。そして桜を助けるためにあたしを使って誰かを犠牲にしたらあんたには死んでもらう」
 
 セイバーの語る言葉は雁夜を首肯に促すことはできなかった。蟲に正気を奪われた雁夜は容易に激昂した。

「ふざけるな! それじゃあ戦いにならないだろう!」
 
 雁夜はセイバーに食ってかかった。相手は令呪があるとはいえ英雄である。セイバーがその気になれば雁夜の命はたやすく消え去る。

「ああ、戦いにならないだろうな。だから嫌ならやめておけ。貫く正義がないなら、自分を犠牲にできないならやめておけ。マスターの権利の令呪を放棄しろ。そうすればあたしは消える」
 
 雁夜はセイバーの言い分に激発寸前だったが、残っている蟲に殺された理性を総動員して怒りを納める。
 雁夜は桜を救い出し遠坂時臣を殺害して、昔の輝かしい思い出を取り戻さなくてはならない。
 ――桜ちゃんが凛ちゃんと葵さんと再開して、四人でまたあの公園で過ごした日々を。そのためには聖杯戦争を勝たなければならない。自分からマスター権を放棄することはできない。なんのために一年を自身を蟲の内側から食い荒らされ余命を一年たらずにしたのか。全ては聖杯戦争に勝利するためだ。
 雁夜は手の甲に宿った令呪を使おうとした。命令内容は一切の思考を捨てマスターの命じるまま聖杯戦争を戦えと。木偶になれという命令だ。
 が、雁夜の機先を制したのは蜘蛛だった。目の前のセイバーではなく傍らの蜘蛛だったのが雁夜には意外であり、それが雁夜の行動に歯止めをかけた。

「無駄よ。例え令呪を使おうとあなたは善悪相殺の掟から逃れられない」

 雁夜はこの蜘蛛は喋れたのかと思った。
 蜘蛛の女の声は理性的で人間のようだった。どうやって人語を発しているのかと一瞬脳裏をよぎったが、そんなことよりも確認しなければならないことがあった。

「善悪相殺?」

「そう、善悪相殺」

 雁夜は善悪相殺の理を蜘蛛から話され、セイバーからは自分と戦う覚悟があるのかを問われることになる。
 
 


 ウェイバーは数年がかりで書いた論文をポイ捨てされ、切れて一級講師が召喚するはずだったサーヴァントの触媒を盗んで代わりに召喚した。しかし召喚に応じたのは征服王イスカンダルではなく、巨大な白銀の大蟻を傍らに置いた少女だった。

「バーサーカのサーヴァント湊斗光ここに推参!」
 
 バーサーカーは見得を切っていた。
 ウェイバーは呆然とさせられた。バーサーカーを召喚するつもりがなかったのにバーサーカーが召喚されてしまったり。本来バーサーカーは理性を剥奪されているはずなのになんで理性があるのだとか。
 
 ウェイバー・ベルベットはため息をついて部屋のベットで横になった。
 現在マッケンジー邸にいるのはウェイバー一人でマッケンジー夫妻もバーサーカーもいなかった。
 バーサーカーはウェイバーに一言もなく街に出かけていた。言うことを全く聞かないという意味ではバーサーカーであった。
 ウェイバーの命令を一切聞かないが、サーヴァントとしての実力は確かなものだった。ステータス値は耐久以外が高く、狂化のスキルを理性を失わず使用できた。スキルも戦いに有利に運べるものを備えていた。宝具の二世村正も強力でサーヴァントとしては破格に強かった。おまけに魔力供給はほとんど必要がなくマスターの負担がなかった。
 ウェイバーはバーサーカーのことを考えた。バーサーカーの話ではウェイバー知る歴史とは異なる歴史から呼び出された並行世界の英霊であるということだった。そう聞かされても信じることがにわかにできなかった。しかし宝具の二世村正の力やバーサーカーの言動に嘘が感じられず一応信じることにした。召喚に応じた理由は強い相手と戦えるからで、召喚に応じるとき覇王の相の男を蹴り飛ばして強引に召還に割り込んだらしい。
 そしてバーサーカーは死んでいないということだった。死んでいないからバーサーカーは魔力供給も必要ないし、霊体化できないとのことだった。
 地下に埋められて巨大な何かに遭遇してそれから聖杯に召喚されたらしい。

「わけがわからないよ」
 
 自身のサーヴァントに対する感想が現状それだった。




 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは不機嫌であった。
ケイネスは常に不機嫌の徒ではないがそれでも不機嫌になるだけの理由があった。まず第一に聖杯戦争で召還するための触媒を自分の教え子の小僧に奪われたこと。第二に急遽手に入れた触媒で召喚したはずのディルムッド・オディナがライダーのサーヴァント――楠木正秀という日本人の英霊が呼び出されてしまったこと。そしてケイネスの婚約者であるソラウ・ヌァザレ・ソフィアリがやけにライダーの肩を持つことだった。

「どうした主」
 
 そうケイネスに言葉を掛けたのはライダーであった。かつて大和で南朝で主将をしていた男である。何気ない言葉にも無骨であるが品があった。

「なんでもない。主の意もなしに霊体化を解くな」

「承知した」

 ライダーは言葉短く言った。

「彼はケイネスあなたを案じて声をかけたのよ。そう無碍にすることもないでしょ」
 
 そう言ったのはソラウであった。若干熱を帯びた視線をライダーの向けている。ライダー面構えは優男とは程遠い厳しさを持っているが整った顔立ちは美男子であった。
「心遣いかたじけないソラウ殿」
 
 そう言ってライダーは頭を下げてその姿を霊体化させて消え去った。
 ライダーはあくまでマスターであるケイネスに忠実であろうとした。それはマスターとサーヴァントとの関係というよりは生粋の武人であるが故の礼節だった。故に魔力供給をライダーにしているソラウに対してもマスターの婚約者であるということ差し引いても袖にすることはできなかった。仮にそれがマスターの機嫌を損ねると知っていても。
 ケイネスはちらりと霊体化した己のサーヴァントを見て舌打ちをしたくなった。それはソラウとライダーの今のやり取り見てだけの思いではない。単純にライダーをサーヴァントとして用いたときの運用にたいしてのものだった。
 ライダーのサーヴァントとしてのステータスは悪くなかった。
 ライダーは日本生まれのサーヴァントなので知名度によるステータス補正があった。宝具の二世勢洲千子右衛門尉村正も強力であった。だがそれらの有利を覆して余りある不利がライダーにはある。二世村正と契約したものにかせられる善悪相殺という呪いである。一人の敵をを殺せば、一人の敵も殺すという内容だ。しかもこの呪いは解除できる類のものではない。
このことを聞いたケイネスは激昂してライダーに雑言を吐いた。
 幸いライダーと契約したケイネスやソラウには善悪相殺の呪いが支配していない。つまりケイネスは自身のサーヴァントで相手のサーヴァントを牽制して自己の力でサーヴァントかそのマスターを撃破するしかなかった。あるいはできうる限り追い込んで降伏させるかである。この戦法には大きな穴があった。一つは、サーヴァントをケイネスが打ち破ることである。マスター同士の戦いになればケイネスは自身の敗北はないと思っている。しかしサーヴァント相手に戦って勝てるとは思っていない。ライダーのそばで敵のサーヴァントを倒さぬようにライダーに指示し、ケイネスがサーヴァントに止めをさす。あるいはマスターを倒す。
無謀の極みであった。そんな戦い方は命がいくつあっても足りないとケイネスは思った。
次にマスター降伏させる方法だが、サーヴァントを撃破しない限りマスターの降伏などはありえないだろう。つまりこれからの戦いはケイネス自身によるサーヴァントの撃破が常について回るのだ。鼻で笑いたくなる戦法だがそれしかなかった。
 万が一ライダーが戦いに勝利して敵を殺したならばソラウかケイネスがあるいはその両方が死なねばならなかった。

「馬鹿馬鹿しい」
 
 ケイネスは吐き捨てた。

 


 雨竜龍之介はテンションが上がっていた。趣味の殺人を行っていて、思いつきで魔方陣を書いて悪魔を召喚しようとしたら本当に悪魔が召喚されたのだ。
その悪魔は龍之介が差し出した子供の四肢をためらいなく切断し殺した。
龍之介は悪魔が愛を持って人を殺していると感じていた。悪魔の殺害手段は龍之介には目新しさはなかったが悪魔が殺す行為にはインスピレーションがもたらされ新たな殺人の楽しみを見出せる気がした。しかも悪魔の力は龍之介から見て法外のもので警察や国がどうにかできるものではないと思った。だからといって龍之介自身が悪魔を頼って破壊活動をしたり、正義の味方になるつもりもなかった。龍之介は少し悪魔の力を借りて殺人を楽しみ、その証拠隠匿が楽になりそうだな程度に思っていた。

「そういえば旦那の名前ってなんていうの」
 
 龍之介がそう言う。
悪魔が召還されて子供を貢物として差し出し、悪魔が子供を殺害してから結構時間がたっているのに名前を聞くのを忘れていたことに龍之介は少し照れた。

「我はアヴェンジャーのサーヴァント足利義持である」
 
 そう言った男は魔王の風体であった。詩でも吟じることが趣味でもあるような過去の宮廷人のような面構えであるが目に宿った狂気は尋常なものではなかった。
 男の傍らには鋼鉄の甲虫が鎮座する。

「旦那いっちょ頼むよ」
 
 龍之介は気軽にそういってアヴェンジャーに話しかけた。

「村正よ!」
 
 アヴェンジャーがそう言うと甲虫は鋼鉄の声を響かせる

「輪廻転生(いのち・めぐる」
 
 鋼鉄の声が響くと龍之介とアヴェンジャーの眼前で死に掛けていた幼児は生き返った。その効果すさまじくアヴェンジャーにより切り落とされた四肢が復元し、停止した心臓が鼓動を打ち、壊死しかけている脳が回復した。

「すっげー! いや本当すっげー! 殺しても生き返るって、どんなに無茶やっても死なないって、やりたい放題だよな」

「言っておくぞマスター。その子供が村正の陰義の蘇生力を超えて我を用いて殺せば命がないぞ」

「その方がスリルがあって超クールだよ」

「狂人か。我のマスターに相応しいな」
 
 龍之介がはしゃぎ、それをアヴェンジャーは見守り、傍らの甲虫は沈黙している。
 訳が分からず頭を混乱しているのはアヴェンジャーに殺害され蘇生した子供だった。
 子供は確かにアヴェンジャーに殺された実感があった。恐怖と絶望に包まれながら死んだ。にもかかわらず生きていた。幼児である子供にも分かる理屈がある。死んだら生き返ることはできない。なのにその死が幾度ももたらされた。死んで生き返ってを繰り返させられている。
 子供は素直に復活を喜べない。目の前にいる甲虫は自分に無関心だか龍之介はさらに恐ろしいことを自分になすだろうし。死んでも目の前のアヴェンジャーが生き返らせるだろう。
 子供は凄惨な未来を感じ取ってただ震えるだけだった。


 

 言峰綺礼が召喚したサーヴァントはランサーであった。真名を真田信繁と言った。日本由来のサーヴァントであった。
 アサシンのサーヴァントハサンを呼び出そうとしてランサーが呼ばれた。イレギュラーであった。
 だが綺礼にはそんなことはどうでもよく、特に慨嘆を抱かなかった。
 ランサーから宝具である村正伝大千鳥の劒冑の話を聞いて、信繁が自分の知る歴史上の人物ではないと気づいた。機械仕掛けの鎧を着込んで戦っている歴史など綺麗は聞いたことがない。歴史が綺礼の知る通りではないとしてもランサーの語る宝具やそれにまつわる日本の歴史、ランサーが言うところの大和の歴史などは綺礼の常識を超えていた。ランサーは平行世界の英雄という結論を取りあえず下した。

「師に報告の必要があるな」

 綺礼はそう言うと召喚陣を敷いた一室を出た。

 


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