※FateとTOAの無茶な感じのクロスです。
Fateのアーチャーを不憫な感じでアビス世界に突っ込んで見ました。
続きません。
この作品はにじファンでも投稿しています。
広い心で見てやってください。
落っこちてきた剣アーチャーさんの話
それは深淵に一振りの剣が降り立った日。
空が赤く染まり夕日がよく見えていた。
渡り鳥は虹色に染まった雲をくぐりぬけ、すでに姿は遥か遠く空は赤々と染まっていた。
落ちていく夕焼けを背にルークは大きな木の上でぼんやりと空を眺めていた。
そこは屋敷の裏庭で一番目立たない、人通りの少ない場所で煩わしいことから逃げ出すにはもってこいの場所だった。
どこからか聞き覚えの無い声が聞こえた気がして、きょろきょろと周りを見渡していたところで、何かが髪をかすって落っこちていった。
驚いて危うく木の枝から落ちそうになり、あわてて体勢を立て直して下を見ると一振りの剣が庭に突き刺さっていた。
どこからともなく「身体は剣でできている」と何度も何度も繰り返しつぶやいているのが聞こえて、
「とうとう頭がおかしくなっちゃったのかなー」
などと思わずつぶやいたのだった。
それはとても不思議な剣だった。
「召喚したのは君か」とか「どうしてこんな姿で」とか「幸運に恵まれなさ過ぎる」などよくわからないことをベラベラと喋りたてて、ルークを困惑させた。
それでも彼(?)に自身の境遇を話せば、「この通り手も足も無いが、話し相手ぐらいにはなろう」と気持ちよく承諾してくれた。
奇妙なことに、どんなに力をこめてもその剣を土の中から引き抜くことはできなかった。それでも話すだけであれば何の問題も無く、ルークは毎日のように彼に会いに行き、そこでいろいろな話をしていた。
もっと不思議なことは、その剣をルーク以外は見ることができないようなのだ。誰も彼もがその剣を無いものとしていて、無視しているのだった。
そして、ルークも剣の話をしようとしても、何故か言葉にすることができなくて、結局のところ彼一人の秘密として胸にしまうしかなかった。
それから何年もたって、その剣は退屈な日々を送るルークにとっては無くてはならないものになっていた。
その日もいろいろな話をしていたが、屋敷の人間に呼ばれて剣のそばを離れてしばらく経ったとき、聞き覚えの無い歌が聞こえてきた。
そのあとしばらくルークが現れることは無かった。
屋敷内での騒ぎから、ルークがどこかへ言ってしまったということはわかったが、剣はそれこそ手も足も出ずそこに突き刺さっているしかなかった。
それから幾重もの朝と夜が過ぎて、ルークが帰ってきた。
鮮烈な赤のイメージを纏う懐かしい女性を伴って。
その女性、凜はその剣を見て「あーはは、アーチャーが剣!あはは」「剣でできてるどころか剣!」「なにそれーおなかが捩れそう!」などと指差して笑ってたが、そこは優秀な魔術師であるから、あっさりと封印を解いてしまった。
何故、剣の状態なのかは結局のところわからなかったが、剣はなんだかんだでルークの旅に付き合うことになった。
そしてアクゼリュスにて、ルークが尊敬する師匠の姦計にかかって、その内に秘める力で1つの街を滅ぼそうとしたその瞬間。
「――――――――問おう。君が私のマスターか」
白い髪と浅黒い肌の赤い外套を羽織った騎士がそこに降臨した。
それから先は蛇足な話。
正義の味方が現れたあとは平和になるのを待つばかり。
それきっとハッピーエンド。
あとがき
ごめんなさい。
たぶんこの後はアーチャー無双と凜の魔術(含むうっかり)でどうにかなると思います。