私が勤めているベルスメディカル社は、医療用機器メーカーだ。 今日は経理部長の指示で、別棟にある開発研究部へと来ていた。 厳重な入館チェックの後に、そこへ足を踏み入れる。 そして私は、霧島雄二という男性社員に会うために『霧島研究室』へと向かった。 この会社は、大学の研究室のように、担当開発者ぞれぞれが予算と部屋をもらえるシステムになっているのだ。 今回の問題は、その『予算』に関してなのだが……。 私の持っている封筒の中には、経理部長から渡された領収証が入っている。 すべて、その霧島雄二が経費として申請してきたものだ。 その領収証の内容は酷いものだった。 様々な風俗店、アダルトビデオの制作会社、果てはSMクラブというものまである。 『これに関して問い詰めてくるように』という指示だったが、なんだかセクハラのように思えて、嫌な気分だった。 「まったく。なんで女性社員に、こんな領収書を持たせて行かせるのよ」 私は結婚していて娘も一人いるが、一応まだ二十代の若い女なのだ。 「さっさと済ませよう……えーっと、ここかしら」 ノックをすると返事があったので、入室する。 そこには白衣を着た、四十代くらいの男性がいた。 首からさげたIDカードには『霧島雄二』とある。 「経理の桐生と言います。霧島さんの申請した領収証の件で来ました」 「あっ、それはわざわざご苦労様です。ちょうどよかった」 何がちょうどよかった、というのだろう。 彼の落ち着き払った様子を見て、私は不思議に思った。 そもそも、あんな領収証を会社の経費で落とそうなんて、普通は考えるものだろうか? 経理から怒られるだけの結果になることなど、誰にだって分かるはずだ。 「私の現在の研究成果について、説明したかったので」 「研究成果? それが関係あるんですか?」 医療系の会社であれば、性に関する事柄も仕事として扱うことはある。 例えば身近なものでいえば生理用品がある。あとは性病の検査、不妊治療、等々。 そうした性に関する何かの研究をしていて、ああした風俗店などの領収書が発生したのだろうか? あまり納得できそうにないが、それを説明するというのなら、一応は聞くべきだろう。 「まずは、こちらの装置を見てください」 そこには、スポーツジムにある酸素カプセルのような装置があった。 「えーっと、実際にやってもらったほうが早いかな。桐生さん、その装置の中に入っていただけますか?」 「えっ、なんで私がそんなことをしなくちゃいけないんですか?」 すると彼は、近くの机の上の書類を、目で指し示した。 「口頭で説明するとなると、そこにある書類を読んでいただきつつ、かなり技術的な解説をしないといけないので……」 その書類の束を見て、私はため息をついた。 かなり難解そうな数式なども書いてあるし、そうなれば何時間もかかりそうだ。 「そのままの格好で結構ですので。ただ中に入って横になるだけです」 「これは、安全なんでしょうね?」 「大丈夫ですよ、私も何度か入ってますし。酸素タンクのような形状ですが、中は外気と同じ状態です。あ、閉所恐怖症だったりしますか?」 「別にそんなことはないですけど」 私はすこし迷ってから、結局、装置の中に入ることにした。 早くこの仕事を終わらせたかったというのもある。 服を脱いだり着替えたりするのだったらためらわれるが、着衣のままで、ただ入るだけなら……。 靴だけ脱いで、装置の中に入る。横たわったところで、蓋の部分が閉じられた。 狭くはあったが、顔の上のところには大きめの窓があるし、気持ち的な圧迫感はない。 「それで、どうするんですか?」 「とりあえず、コーヒーでもどうぞ」 そう言われて、私は紙コップに入ったコーヒーを飲んだ。 かなり苦いコーヒーが、唇から口内、そして喉を通っていく。 「美味しかったですか?」 私は肩をすくめた。 「これ、会社備え付けのコーヒーメーカーのやつでしょう? 無料とはいえ、お世辞にも美味しいとは言えないわね」 でも、何故いま、そんなことを訊くのだろう? 「はは、そうでしたか。実は桐生さんは、コーヒーなんて飲んでないんですけどね」 「えっ? 何を言ってるの? 私は熱いコーヒーを……」 いま飲んだではないか。はっきりとその味も覚えている。 「じゃあ、そのコーヒーはどこにあります?」 「あれ…?」 コーヒーは、どこへいったのだろう? 『コーヒーでもどうぞ』と彼に言われたが、実際に手渡され……なかったような。 いや、そもそも装置の中にいるのに、どうやってコーヒーを受け取るというのか。 紙コップを手にして飲んだはずだが、手には空の紙コップも無い。 「それが、この装置の機能なんですよ。たった今、桐生さんの脳内に『コーヒーを飲んだ記憶』を再構築したんです。ビデオの再生みたいにね」 「なに言ってるんですか。そんなコト、出来るわけが……んんっ!?」 私は再び、紙コップを手に持って、コーヒーを飲んでいた。 注意して見ると、紙コップを持っている手は、男性のものだった。 今度は、横たわっている自分の存在を認識することができた。 だけどそれも、集中したらかろうじて分かる、くらいの感じだ。 飲み終えたところで、唐突に本来の状態に戻った。 私はその体験に驚き、呆然としてしまう。 「記憶を、って……ほ、本当に…!?」 「記憶というのは、脳内のニューロン同士がシナプスによって結合したときに生まれます。それを記録して、そのまま他者の脳内に構築してやればいいんですよ」 ニューロンやらシナプスとかの単語くらいは聞いたことがあるが、そんな説明をされても私には分からない。 「このタンクのほうは再構築するための装置で、かなり大きくなってしまいましたが、『記憶』を記録する装置のほうは、持ち運びできるくらいは小さいですよ」 記憶を記録して、他人の頭の中に再構築する? 「そんなことが……」 半信半疑のまま、何度も瞬きした。そして、唇を舌で舐める。 私は紙コップに入ったコーヒーを飲んで、その味もした。 まるで狐に包まれたような話だが、信じざるを得ない。 「すごいけれど、これってどういう目的の医療機器なんですか?」 「いまのは味覚でしたが、例えば先天的に目が見えない人であっても、どこかの場所を見た記憶を共有すれば、その人はその景色を『見る』ことができるわけです」 私はハッと目を見開いた。 なるほど。そうした活用方法には気が付かなかった。 「同じように、耳が聴こえない人も『聴く』ことができるでしょう」 私は思わず身震いした。 驚異的……人類史を変えると言ってもいいほどの、ものすごい発明だ。 他人の目や耳を通して、その記憶を共有することで、それらの人たちは見たり聴いたりできるようになるだろう。 私がさっきコーヒーの味を感じたように、味覚障害などにも効果はあるはずだ。 「すごい……すごいわ! 素晴らしい発明ですね!」 「分かっていただけましたか。まぁ、そのへんは建て前というやつなんですけどね」 「え?」 「いえいえ、なんでもありません。ところで、この機械では記憶の再構築はできるんですけど、残念ながら改変はできなくて」 「改変?」 「例えば、さっきの『コーヒーを飲んだ記憶』は、私が飲んだときのものなのですが、それを『オレンジジュースを飲んだ』などと変えることは出来ないんです」 私は、その言葉に違和感を感じた。 そんな機能が必要なのだろうか? 現在のものだけでも十分過ぎる気がする。 「記憶の改変なんていうと、まるで洗脳みたいで嫌な感じですね。会社のイメージにも傷がつきそうだし。まぁ、そもそも出来ないのなら別にいいとは思いますけど」 とりあえず、研究の成果はよく分かった。 「えっと……じゃあそろそろ、装置の蓋を開けて欲しいんですけど……」 「そうそう。経費の件について、まだ説明してませんでしたね」 「あっ、そうだわ! この発明は素晴らしいと思うけど、あの領収証は一体どういうことなのか、説明してもらわないと」 私は、ここに来た目的を思い出した。 いくら画期的な発明をしたからといって、それとこれとは別だ。 「いやぁ、あれは風俗嬢とかの『記憶』を保存するために使いまして」 「ふ、風俗嬢の……って」 「ええ、私とセックスをしている最中の女性の『記憶』が欲しかったんです」 「はぁぁぁっ!?」 彼のトンデモナイ発言に、私は思わず大きな声をあげてしまった。 「そんな『記憶』、何に使うんですかっ!!」 「そりゃあもちろん、こう使うんですよ」 彼がそう言った、次の瞬間。 ……私は、彼と裸で抱き合っていた。 「ふえっ!? な、なに? あっ、あ! ああっ!」 いや、抱き合うだけでなく、思いっきりセックスをしている。 彼のモノが、私の膣内にしっかりと挿入されていた。 そしてソレで、いつのまにかぐちょぐちょに濡れているアソコを擦られている。 「あっ、あっあっ、くぅぅぅ〜っ! あ、うっ、うっ! はうっ!」 違う、と頭の片隅では理解していた。 コレは彼が言っていた風俗嬢の『記憶』なのだろう。 それを今、私の脳内に再構築しているのだ。 実際には私は装置の中に服を着て横になっているし、彼は離れたところに立っているはずだ。 だけど同時に、私の脳内では……二人でセックスをしているのだ。 ねっとりと舌を絡めあい、しっかり抱きしめられ、モノを出し入れされる。 それがとても心地ちよくて、膣内をきゅっ、きゅっ、と締め付けてしまう。 彼とキスしている景色が、目の前にある。 ぐちゅぐちゅと粘膜が擦れる音が聴こえる。 男の体温を感じて、汗の匂いまでする。 それらが、いきなり消えて、私は元の状態に戻った。 まるで、テレビのリモコンでチャンネルを切り替えられているような感じだ。 あまりのことに、私は驚き、そして怒りでいっぱいになる。 「なんてコトをするのよっ…!!」 装置の中から霧島雄二を睨みつけると、彼はにこにこと笑っていた。 その笑みが、なんとも不気味に思える。 「い、意味が分からないわ。こんなコトをしてどうなるっていうの!?」 あまり考えたくないことだが、『この場で私をレイプする』というのなら、まだ理解できる。 だけど、私に『記憶』だけを与えて、どうしようというのだ。 彼とセックスをしている『記憶』を。 「実際に……するわけでもないのに」 「いやぁ、自分が気持ちよくなりたいなら、自分の脳内に『記憶』を構築すればいいだけですしね。それに実際にヤルといっても、体力には限界があるから、頑張っても数回くらいじゃないですか」 彼の言葉を耳にしつつ、私はなんとか蓋を開けようとするが……ビクともしない。 「桐生さんの脳内に『記憶』を再構築するぶんには、何回でも、何百回でも、それこそ無限にできるわけで」 私はソレを想像して、ゾッとした。 何百回も、この男に犯される…!? 『記憶』の中での再現とはいえ、脳内に再構築される瞬間には、ソレはリアルな体験なのだ。 ……さっき、コーヒーを『飲んだ』ときのように。 私にとって、彼と実際にセックスをしているのと、なんら変わりがない。 いまさらながら、私はこの装置の恐ろしさを理解した。 医学的に有益な活用法しか提示されていなかったせいで、さっきまでは気が付かなかったのだ。 「それに今の私にとっては、実際のセックスなんかより、この装置を活用することのほうに興味があるものですから」 「だ、出して! ここから出しなさいよっ! セクハラで訴えるわよっ!」 怒鳴りつつも、私の声は震えていた。必死になって、内側から蓋を叩く。 叩いていたのだが……その手は、止まってしまった。 また『記憶』の再構築が始まったのだ。 私は自分から彼に跨って、お尻を振りまくっていた。 風俗嬢の『記憶』だからだろう。自分でも信じられないほどの、いやらしく巧みな腰づかいだった。 そして気持ちよさそうな彼の顔をじっと見つめつつ、一番奥にモノを挿入する。 腰を前後に動かして、自分のクリトリスを刺激し、彼のモノを締めつける。 「ううっ、んはっ! はぁっ、はぁぁぁっ…! くぅぅっ!」 その喘ぎ声は、『記憶』の中の風俗嬢ではなく、私自身が発してしまったものだった。 子宮口付近の多幸感と、オトコを悦ばせているという満足感。 それが快感となって、身体の隅々にまで広がっていく。 ソレに抗い、必死に現実のほうの自分を意識するようにして、私は言った。 「も、もしかして、この『記憶』を繰り返せばっ……うっ、はぐっ! わ、わ、私が好きになったり、情を通じるとでも思ってるのかしらっ!? うっ! それこそ、馬鹿げた妄想よっ…! くっ……んん!」 だけど彼は、落ち着き払った様子で答える。 「えーっとですね。脳内が『記憶』でいっぱいになると壊れちゃうので、そうならないように、人間には『忘れる』という能力が備わっているんですよ」 「えっ? ま、まさか……」 その意図しているところを察して、私は愕然とした。 「これから桐生さんには、ありとあらゆる性行為を経験していただきます。その再構築を止めずに続ければ、記憶が溢れきって、なにもかも忘れちゃうってワケです」 『ありとあらゆる性行為』『なにもかも忘れる』という言葉に、恐怖する。 「ひいっ! や、やめてぇぇぇっ!」 「とりあえず、二穴挿しのセックスなんてどうでしょう」 彼とセックスしている『記憶』が、別のモノに切り替わった。 「はぐぅっ! んは! あ、あ、あっあっ! んあ、あああ」」 声にならないうめきが、私の口からこぼれる。 前の穴と後ろの穴に、挿入されていた。 思いっきり深くまで、熱く太いモノが刺さっている。 「こっ……こ、こんな『記憶』、いったいどこでぇっ! あぐぐっ!!」 私は、あの領収証のことを思い出した。 風俗店のものだけでなく、アダルトビデオの制作会社やSMクラブなどもあった。 さっき『あらゆる性行為』と言ったが、それこそあらゆる所で、そうした『記憶』を保存してきたのだろう。 でも、そんなの経費で落ちるわけがないし、なぜ経理に提出なんかしたのだろう。 脳内で再生されている『記憶』から意識をそらそうと、そんなことを考える。 だが、私のそうした努力も、長くは続かなかった。 前後に入っているモノが、激しく動きだしたのだ。 いままで、尻穴に男性器を挿入された経験などない。 尻穴の圧迫感は、苦しいと言ってもいいほど強烈なものだ。 だけどソレによって、膣内を擦られる快感が増幅されている。 「あっ、あっあっ、あたってるっ! あっ、くはぁ! んんんっ!」 尻穴側からぐっと押されて、アソコに入っているモノは、お腹側の浅い……女の弱い所にピッタリと密着している。 そこを擦られ続けると、お漏らしをしているような、弛緩した快感に陥る。 思わず、顔が緩んでしまうほどに。 それだけではなかった。 前と後ろの出し入れの速度が微妙に違うせいか、子宮口付近を刺激されるタイミングが、普通のセックスと違うのだ。 膣内から直接、そして尻穴側から……ひっきりなしに突かれて、強制的にイカされてしまう。 「あっ、やだ……だめっ、くぅぅ! あ、あ、あっ、あはぁぁ…!」 あっという間に、前後に入れてられている嫌悪感など無くなっていた。 逆に、二本もオトコのモノを与えられている、という悦びだけが……。 「黒人とヤリまくってるギャルの記憶もありますよ」 そしてまた、唐突に切り替わる。 今度は、ものすごい太い黒人のチ×ポで、バックから犯されていた。 いつもより緩い感じのアソコが広がりきって、埋め尽くされている。 子宮を思いっきり押し上げられる感覚に、身震いしてしまう。 尻肉を掴まれてズボズボされて、全身が悦びに塗りつぶされる。 「んはぁ! す、すごいっ…! これっ、すごいぃ〜! きもちいいっ!」 出し入れしているのに、亀頭の先端が奥に当たったままなのだ。 そのせいで、粘膜を擦られる快感と、子宮口付近の快感が、同時に味わえてしまう。 容赦の無い、という言葉がピッタリくるような抽挿だった。 こんなに激しいセックスなんて、普通なら拒絶しているところだ。 だけど、常に亀頭が一番奥に触れているせいで、幸福感に溺れてしまって抗えない。 「はげし、すぎるっ! しっ、しあわせ……すぎるぅ……あう! あっあっ!」 いままで夫としていた行為は、いったいなんだったのかとすら思ってしまう。 それほどの……人生観を変えてしまうほどの、オンナの悦びだった。 「ついでにコレもいっときますか。男が射精するときの『記憶』です。女性の感覚なんかと比べたらヌルイもんでしょうから、連続で百回くらい出す感じで」 ソレは、未知の感覚だった。 それもそのはずだ。私にはついていない器官の『記憶』なのだから。 にっこりと、淫らな笑みを浮かべている女性が、私に跨っている。 そして、私についているモノが、彼女の膣内に挿入されていた。 「うああ……なにこれぇ! ふぁぁぁっ……」 「童貞喪失、おめでとうございます」 温かく包まれ、そしてぬるぬるとした、蕩けるような感覚。 そしてものすごい勢いで、彼女は腰を振っていた。 絡みつき、締めつける膣内が、私のモノをシゴきまくる。 そして、次の瞬間。 ずーっと我慢していたおしっこを、ものすごい勢いで出すような快感が。 あるはずのない玉袋がきゅんと縮まり、お尻の穴もすぼまる。 尿道をカタマリが通り抜ける感覚に、背筋がゾクゾクする。 絶え間ない放出の悦びに、私は腰を突き出してしまう。 そして、ソレを出し尽くして、熱い吐息を漏らそうとしたら……。 私は別の女性に、モノを咥えられていた。 「んひゃぁっ! あうううう!」 ねっとりとした唇で、根元から先端近くまで、しごかれる。 じゅぼじゅぼと、淫らな唾液の音がした。 さらに彼女の舌が、先端の敏感なトコロを刺激してくる。 それに耐え切れずに、またしても熱い塊が腰奥から飛び出そうとしていた。 「あっ、あっ! でるっ、でちゃうっ! くぅぅぅぅ〜っ!」 ところが出る前に、女性が思いっきり吸ってきたのだ。 無理矢理、根元から熱いモノが引っ張り出される感覚に、私は悶絶した。 「そ、そんなっ! そんなに、吸ったらぁぁぁっ! だめぇっ!」 強制的に放出させられ、ガクガクと膝が震える。 しかも、吸われ続けているせいで、なかなか出し終えられないのだ。 根こそぎ持っていかれるような、すごい快感。 それが終わったかと思うと……次の瞬間、私は女性を背後から犯していた。 しかもまた、極まって『出したい』と思う寸前の状態で。 「こ、これ、ひっ、ひゃっかいっ!? む、むりっ! むりよぉっ!」 「無理とか関係ないですから。絶対に止めませんし」 イキ続けるという感覚は、オンナのソレと似ている。 だけどオンナとして私が知っている絶頂とは、かなり違った。 もっと衝動的で、直接的な刺激。 それが、オンナの絶頂のようにいつまでも続くのだから、堪らなかった。 「んひっ! また出るっ! ああああっ! はひっ! あっ、あっあっ!」 私は、様々な女性の膣内に、口内に、そして尻穴にまで出し続けた。 あるときは、強く吸われて搾り取られるように。 あるときは、腰を打ちつけて叩きつけるように。 あるときは、深くつながったまま漏らすように。 「SMクラブのマゾ嬢の、浣腸排便の『記憶』と! これは三十回くらいはリピートしましょうねー!」 「んおおっ! おうっ、んひぃぃ〜っ! 漏れてるっ! 出てるっ!」 ものすごい勢いの排便の感覚が、尻穴を刺激しまくる。 我慢しまくって、ようやく出せるウンコの、ものすごい快感。 しかもリピートしているためか、普通の排便と違って、終わらない。 ……出っ放しなのだ。 もしかしたら、本当に装置の中で漏らしてしまっているかもしれない。 そうだったとしても、今の私にはどうにもできないだろう。 「ひぃぃぃぃ〜っ! とめてっ! だめ! とめてぇぇっ!」 「苦しいですか? でも大丈夫だと思いますよ。一応、どれも絶頂前後の部分だけを再生してますから」 その言葉の通りだった。 信じられないことに、さっきから私は、どんなときでもイッているのだ。 浣腸排便をしている、この瞬間であっても。 そしてコレは、『多くの男たちの前で縛られている』記憶でもあるらしい。 男たちの視線が、私の開ききった尻穴に集中する。 下品な音をたてて排便する、私の肛門に。 強烈な羞恥心に、打ちのめされる。 なのに肌は火照り、ヨダレを垂らすくらい興奮してしまっている。 「おっと、これを忘れちゃいけなかった。これはすごいですよ! 獣姦専門のAV女優の『記憶』! 犬豚馬と連続でいきますね!」 「じ、じゅうかん……そ、そ、そんなっ…!?」 それらの獣とセックスをさせられたとしても、イッてしまうのだろうか。 いや、その女優がそれでイッている『記憶』なら、きっと……。 「うん、だいぶ元の『記憶』は塗りつぶされてきたかな」 一応、今までの彼女の『記憶』は保存してあるから、すべて『忘れて』しまった後に、戻すこともできる。 セックスしてる『記憶』だけになってしまったら、まともに生きていくコトもできなくなるし、それだとさすがにマズイからだ。 もちろん、私にとって都合の悪い『記憶』は再構築しない。 「あっ、そうだ。子供を産んだ後とかの、旦那とのセックスの『記憶』は戻さないでおいて、セックスレスって感じには出来るかな」 そんな風に、さらに色々な装置の活用法を考える。 そして、あるていど元に戻したとしても、あらゆる変態行為をやりまくった『記憶』は残るわけで……。 「それがどう影響するかが、楽しみだなぁ」 セックスと変態行為まみれの『記憶』。 でも、それらをするに至った経緯に関しては、欠落しているのだ。 彼女は、具体的には思い出せないまま、絶頂の悦びだけを覚えていることになる。 二穴挿入で、黒人のチ×ポで、排便で、獣姦で……そしてなぜか射精でイク悦びを。 そうした行為が大好きな、淫乱女になってくれることを期待しよう。 「上手くいかなかったら、またやり直せばいいさ」 それに、もし彼女が壊れたりしても、代わりはいくらでもいるのだ。 「そのときは、経理部長にどんな女性を送ってもらうことにしようかな……」 < 終 >
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