聖なる夜の憑神事変
みなさま、メリークリスマス!
独りだろうが、何だろうが、お構い無しに。
今回はクリスマス記念作ということで、
ツイッターで仲良くさせてもらっている
彗嵐さんの美影さんをお借りしました。
彗嵐さんのサイト『彗嵐のでんのぅおもちゃばこ』
にて展開されている、憑神事変を書かせていただきました。
偶然にも、彗嵐さんの誕生日にプレゼントできました。
それではどうぞ。
『聖なる夜の憑神事変』
独りだろうが、何だろうが、お構い無しに。
今回はクリスマス記念作ということで、
ツイッターで仲良くさせてもらっている
彗嵐さんの美影さんをお借りしました。
彗嵐さんのサイト『彗嵐のでんのぅおもちゃばこ』
にて展開されている、憑神事変を書かせていただきました。
偶然にも、彗嵐さんの誕生日にプレゼントできました。
それではどうぞ。
『聖なる夜の憑神事変』
ガタタン….ガタタン…..
「ふぅ・・・」
電車の中、1人の少女が流れる風景を見ながらため息1つ。ふと、その視線を向かいの席に向ける。そこには、スーツ姿の1人の男性。
(仕事やなかったら、な・・・)
ぼんやりとその男の寝顔を見つめてしまう。そんな自分に恥ずかしくなったのか、視線を窓の外に戻す。
季節は冬。年の瀬も押し迫った、恋人たちの特別な日。
「こんな日に、なんでうちは・・・。」
そんな言葉を途中で飲み込む。目の前の男が、目を覚ましたのだ。
「ん、もうすぐか・・・。すまん、昨日の仕事が押してな・・・。」
「ええよ。うちも少しうとうとしてたし・・・。」
見とれていたなどとは言えない、少女の意地がそこにはあった。
「で、事件のこと詳しく教えてくれへん?行けばわかる言うてたけど?」
「ん、ああ・・・。」
少女の名は鈴華美影。鏡都を中心に活動する、冠西一の凄腕の美少女退魔士(自称)。どんな事件も持ち前の度胸と愛嬌で解決する、女子高生で巫女な退魔士。
男の名は大神直斗。鏡都府警の魔・憑神対策課、通称『対魔神課』の敏腕刑事。対魔神課の発足に伴い着任し、美影とともに数々の難事件を解決してきた。
「…..事件の起こりは三週間くらい前。1人の少女が行方不明になったのが始まりだった。当初はただの失踪だと思われていたんだ。」
「急に失踪者が増えたんか?」
「ああ。ここ数日で急にな。それまでの不明者の何割かも、餌食になっている可能性もある。」
「せやな・・・。けど、それにしてはうちのトコに話が来るのが遅いような・・・?」
その言葉に渋い表情を見せる直斗。
「それはな、核は判ってるんだが・・・。」
「想像以上に強敵やったと。」
「うっ・・・。ま、まあそんなところだな。駅に着いたらすぐ戦闘になるかもしれん。心しておいてくれ。」
「りょーかい!」
被害者の人数が特定できていないが、おそらくタイムリミットが近いのだろう。これ以上は問題が大きくなる、そこで美影にお鉢が回ってきたのだ。
「何も、こんな日に・・・。」
神社の娘ではあるが、年頃の少女らしくクリスマスに淡い期待がないわけではない。
「ま、しゃーないか・・・。」
電車が駅のホームに滑り込む。扉が開く。
「封鎖は出来るん・・・?」
「ああ。美影、どうし・・・?」
二人の視線がある物で止まる。
「直斗はん、これって・・・?」
「だな・・・。」
そこにあったのは、大きなプレゼントボックス。赤と緑に彩られた、クリスマスらしい包装。大きなリボンがチャーミングだ。
「・・・あー、襲ってきたらぶちのめす。襲ってこんでもぶちのめす。それがイヤなら、おとなしく擬態を解くんや。」
錫杖を構え、その周囲と不釣合いな箱に凄む美影。その箱はがたがたと震えだし、次の瞬間には1人の少女の姿になっていた。
「やっぱりか。で、何の用だ?トイミミックの応援が来るとは聞いていないが・・・?」
直斗も懐に伸ばした手を戻しながら、疑問を口にする。
「あ、あのね・・・おねがいしにきたのー!みんなをたすけてあげてほしいのー!」
その瞳に涙を浮かべながら懇願するトイミミックの少女。
「どういうことや?え~と・・・」
「あ、アユミですー。みんな、おもちゃとかほーせきとかになっちゃってるの・・・。」
「被害者たちのことか・・・。こっちで把握してるよりも多いのかも知れないな。」
「せやな・・・。」
美影は直斗の言葉に頷きながら、周囲の魔力の気配を探ってみる。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「でかっ?!ちかっ!?」
「言っただろう、場所はわかってるって・・・。さ、行くぞ。」
改札を出る三人。その目の前に聳え立つ、大きなクリスマスツリー。色とりどりの装飾が、目に眩しい。
「あぁ、そうゆうことか・・・。」
美影は一人納得する。大きな魔力は、明らかに目の前のクリスマスツリーから溢れているものだ。
「封鎖は済んでいる。あとは、アレをどうにかするだけだ。」
直斗の表情が一段と引き締まる。
「ん。ま、なんとかなるじゃろ。うちと直斗はんが一緒なら、な?」
「だと、いいがな。・・・時間が無い、行くぞ!」
走り出そうとする直斗。
「あ、ちょっと待って。アユミ、頼みがあんねやけど・・・ええかな?」
「なにー?」
「あんなー・・・(ゴニョゴニョ)・・・なんやけど、頼んでええ?」
「わかったー♪」
アユミに何やら耳打ちして、美影が直斗の横に戻る。
「何だったんだ?」
「ちとお願いを、な。」
直斗の顔にクエスチョンマークが浮かぶ。
「さ、行くで!ぼけっとしとったら、置いてくで!」
「・・・ああ?おい、待て!」
巨大なクリスマスツリーが聳え立つ駅前公園に足を踏み入れる。一瞬、違和感のようなものを感じる。
「封鎖結界・・・。」
「ああ、部下が必死になって張ったものだ。無駄には出来ん。・・・来るぞ!」
その声の先に見たもの。それはトナカイのぬいぐるみが引くそりに乗った、サンタクロースのぬいぐるみの部隊。
「あれは、人・・・やないな。ぬいぐるみを操っとるだけや。なら、遠慮はいらんなぁ!」
「本体がどこかに居るはず・・・。な?!」
サンタぐるみ軍団は、おもちゃの大砲をぶっ放す。それを必死によけながら、本体の居場所を探る。
「めんどいから、全部ぶちのめす!!」
美影は錫杖に力を込め、右から左に薙ぎ払う。ホームランよろしく吹っ飛んでいく、ぬいぐるみたち。
「フギュウウウウウウ!?」
そのうちの1つに手ごたえ。当たった瞬間、悲鳴とともに煙に包まれる。そこには1人の、気を失った少女が居るだけだった。
「まず一人目ー!」
「全く無茶しやがる・・・、いつものことか。」
立て続けに襲い来る、宝石やイルミネーションの子憑神。戦隊ロボットや美少女フィギュアに加え、トイミミックに似たプレゼントボックスの憑神も確認した。それら全てを、端から叩いていく美影と直斗。
「案外、手ごたえないな・・・。」
「何言ってやがる。カバーするこっちの身にもなれ・・・。第一、本命はこれからだ。」
「わかっとるって・・・。」
あらかた片付いたところで、巨大なクリスマスツリーに向き直る二人。その頂点にある星飾りに、憑神の核・勾玉が見て取れる。
「アレか・・・。厄介なトコにあんなぁ・・・。」
「ああ・・・。まずいな、装飾が増えてやがる・・・。」
「魔力が上がってるとか?」
「前回よりは、な。時間が惜しい。とっとと蹴りを付けるぞ。」
その言葉を聞いていたのか、頭上に輝く装飾の数々が襲い掛かってくる。
「ちっ・・・。美影、行けっ!援護する!!」
「まかしとき!でやああああぁぁぁぁ!!」
漆黒の翼を広げ、攻撃をかわしながら上昇していく美影。『深淵翼』の力を解放して、触れたものを蹴散らしながら進んでいく。
「うおおおお・・・・!?」
すると、下のほうから聞こえる直斗の叫び。
「直斗はん!?うわっ!?」
集中が解けた一瞬、飾られていたぬいぐるみの一撃を喰らう。
「俺のことはいい!さっさと・・・」
「直斗はん!く、うああああ!!」
振り切るように核のところまで辿り着く。その体の一部が、変化しつつあるのに構わず。
「ナンデジャマスルノ?ワタシハミンナノエガオヲミタイダケナノニ!」
「こんなやり方、誰も望んでへん!悪いけど、浄化させてもらうで!!」
力を振り絞り、憑神の核・星型の装飾の中央にある勾玉に渾身の一撃をぶつける。
「イヤァァアァァァ!?」
「これで、終わりや・・・。往生し・・・。」
力を使い果たし、落ちていく美影。同様に核を浄化された被害者の少女が、その姿を取り戻しながらツリーの下に落ちていく。
「あかん・・・。」
少女を抱きかかえるように、落ちていく美影。地面に着いたとき、少女に怪我はなかった。そこには、二つのぬいぐるみが落ちているだけだった・・・。
BADEND?
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「あら?猫乃、寝てないの?」
「あ、おかぁさま・・・。おねぇさま、帰ってこなくて・・・」
「そう・・・。帰ってきたらお仕置きかしら。」
鏡都府夜宵市、鈴華神社。美影の帰りを待つ妹、猫乃と二人の母、沙雪。テーブルの上にはクリスマスのケーキや料理、シャンパンなどが手付かずで置かれていた。
ぴんぽーん!
「おねぇさま!?」
「落ち着きなさい猫乃。美影さんならインターホン鳴らさないでしょ?」
あわてて飛び出す猫乃を諌めながら、いそいそと玄関に向かう母。
「おねぇさま!!」
「わ~い♪♪≧O≦」
げしっ!
「ふみゅうううう・・・(ばたり」
「うちの娘に何するつもりかしらん?」
沙雪さんのチョップが、トイミミックの脳天に直撃していた。
「あれ、何か持ってる・・・?わー、おねぇさまにそっくりなぬいぐるみだー!」
「まったく、美影さんは毎度毎度・・・」
「・・・?!こっちは、いらない・・・(怒」
げしっ!
「いったぁ・・・(涙」
もう1つのぬいぐるみを破いてしまおうとした猫乃に、容赦なく繰り出される母の一撃。
「もう、貸しなさい・・・。とっとと起きなさい!!」
どごっ!ばこっ!
「うがっ?!・・・ちっとは手加減してーなー、お母はん・・・」
「ぐふぅ?!・・・お、お手数をおかけしました・・・。」
母の容赦の無い拳が、美影と直斗を元に戻す。
「さて、話を聞かせてもらおうかしら・・・(ゴゴゴ」
「つまり、最悪のときはこの娘に頼んでおいたと・・・?」
気を失っていたトイミミックのアユミは、ケーキをおいしそうに頬張っている。
「そ、そうや・・・。」
「あ、あのときの耳打ちはこれか・・・。」
すでに一時間以上、二人は沙雪の前で正座して説明を続けていた。いや、釈明といったほうが良いかもしれない。
「せ、せやから、何もやましいことしてへん!」
娘の朝帰りを問い詰める母親。それが説教の8割を占めていたのは言うまでも無い。
「まあ、いいでしょう。じゃ、この娘に感謝しなくちゃね。」
「にひひ~♪≧o≦」
トイミミック・アユミは、屈託の無い笑顔。その頬には、生クリームが付いていた。
「じゃ、また連絡する。」
「あ、うん・・・。また・・・。」
「どうした?元気ないな?」
「な、何でもあれへんよ??さっさと行きや、みんな心配しとるやろ!」
その表情が恥じらいで紅くなっていることに、鈍感なその男は気付くことはなかった。
「おう。じゃ、いい年を迎えられるよう祈ってる!」
走り去る男。それを見送る少女。
「はぁ・・・。結局、渡せへんかったな・・・」
少女の手には小さな紙包み。少女の淡い想いが詰まったそれは、誰の手に渡ることもなく年を越すことになりそうだった・・・。
聖なる夜の憑神事変 了。
いかがだったでしょうか?
いつもに比べれば短めですね。
今回は美影さんと直斗君の微妙な距離感を出してみました。
二人の関係が劇的に変化するのは、
この後かもしれませんね。
彗嵐さん、美影さん、ありがとうございましたー。
これからもよろしくお願いしますー。
それでは今回はこの辺で。
また次回更新でお会いしましょう。
スポンサーサイト
「ふぅ・・・」
電車の中、1人の少女が流れる風景を見ながらため息1つ。ふと、その視線を向かいの席に向ける。そこには、スーツ姿の1人の男性。
(仕事やなかったら、な・・・)
ぼんやりとその男の寝顔を見つめてしまう。そんな自分に恥ずかしくなったのか、視線を窓の外に戻す。
季節は冬。年の瀬も押し迫った、恋人たちの特別な日。
「こんな日に、なんでうちは・・・。」
そんな言葉を途中で飲み込む。目の前の男が、目を覚ましたのだ。
「ん、もうすぐか・・・。すまん、昨日の仕事が押してな・・・。」
「ええよ。うちも少しうとうとしてたし・・・。」
見とれていたなどとは言えない、少女の意地がそこにはあった。
「で、事件のこと詳しく教えてくれへん?行けばわかる言うてたけど?」
「ん、ああ・・・。」
少女の名は鈴華美影。鏡都を中心に活動する、冠西一の凄腕の美少女退魔士(自称)。どんな事件も持ち前の度胸と愛嬌で解決する、女子高生で巫女な退魔士。
男の名は大神直斗。鏡都府警の魔・憑神対策課、通称『対魔神課』の敏腕刑事。対魔神課の発足に伴い着任し、美影とともに数々の難事件を解決してきた。
「…..事件の起こりは三週間くらい前。1人の少女が行方不明になったのが始まりだった。当初はただの失踪だと思われていたんだ。」
「急に失踪者が増えたんか?」
「ああ。ここ数日で急にな。それまでの不明者の何割かも、餌食になっている可能性もある。」
「せやな・・・。けど、それにしてはうちのトコに話が来るのが遅いような・・・?」
その言葉に渋い表情を見せる直斗。
「それはな、核は判ってるんだが・・・。」
「想像以上に強敵やったと。」
「うっ・・・。ま、まあそんなところだな。駅に着いたらすぐ戦闘になるかもしれん。心しておいてくれ。」
「りょーかい!」
被害者の人数が特定できていないが、おそらくタイムリミットが近いのだろう。これ以上は問題が大きくなる、そこで美影にお鉢が回ってきたのだ。
「何も、こんな日に・・・。」
神社の娘ではあるが、年頃の少女らしくクリスマスに淡い期待がないわけではない。
「ま、しゃーないか・・・。」
電車が駅のホームに滑り込む。扉が開く。
「封鎖は出来るん・・・?」
「ああ。美影、どうし・・・?」
二人の視線がある物で止まる。
「直斗はん、これって・・・?」
「だな・・・。」
そこにあったのは、大きなプレゼントボックス。赤と緑に彩られた、クリスマスらしい包装。大きなリボンがチャーミングだ。
「・・・あー、襲ってきたらぶちのめす。襲ってこんでもぶちのめす。それがイヤなら、おとなしく擬態を解くんや。」
錫杖を構え、その周囲と不釣合いな箱に凄む美影。その箱はがたがたと震えだし、次の瞬間には1人の少女の姿になっていた。
「やっぱりか。で、何の用だ?トイミミックの応援が来るとは聞いていないが・・・?」
直斗も懐に伸ばした手を戻しながら、疑問を口にする。
「あ、あのね・・・おねがいしにきたのー!みんなをたすけてあげてほしいのー!」
その瞳に涙を浮かべながら懇願するトイミミックの少女。
「どういうことや?え~と・・・」
「あ、アユミですー。みんな、おもちゃとかほーせきとかになっちゃってるの・・・。」
「被害者たちのことか・・・。こっちで把握してるよりも多いのかも知れないな。」
「せやな・・・。」
美影は直斗の言葉に頷きながら、周囲の魔力の気配を探ってみる。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「でかっ?!ちかっ!?」
「言っただろう、場所はわかってるって・・・。さ、行くぞ。」
改札を出る三人。その目の前に聳え立つ、大きなクリスマスツリー。色とりどりの装飾が、目に眩しい。
「あぁ、そうゆうことか・・・。」
美影は一人納得する。大きな魔力は、明らかに目の前のクリスマスツリーから溢れているものだ。
「封鎖は済んでいる。あとは、アレをどうにかするだけだ。」
直斗の表情が一段と引き締まる。
「ん。ま、なんとかなるじゃろ。うちと直斗はんが一緒なら、な?」
「だと、いいがな。・・・時間が無い、行くぞ!」
走り出そうとする直斗。
「あ、ちょっと待って。アユミ、頼みがあんねやけど・・・ええかな?」
「なにー?」
「あんなー・・・(ゴニョゴニョ)・・・なんやけど、頼んでええ?」
「わかったー♪」
アユミに何やら耳打ちして、美影が直斗の横に戻る。
「何だったんだ?」
「ちとお願いを、な。」
直斗の顔にクエスチョンマークが浮かぶ。
「さ、行くで!ぼけっとしとったら、置いてくで!」
「・・・ああ?おい、待て!」
巨大なクリスマスツリーが聳え立つ駅前公園に足を踏み入れる。一瞬、違和感のようなものを感じる。
「封鎖結界・・・。」
「ああ、部下が必死になって張ったものだ。無駄には出来ん。・・・来るぞ!」
その声の先に見たもの。それはトナカイのぬいぐるみが引くそりに乗った、サンタクロースのぬいぐるみの部隊。
「あれは、人・・・やないな。ぬいぐるみを操っとるだけや。なら、遠慮はいらんなぁ!」
「本体がどこかに居るはず・・・。な?!」
サンタぐるみ軍団は、おもちゃの大砲をぶっ放す。それを必死によけながら、本体の居場所を探る。
「めんどいから、全部ぶちのめす!!」
美影は錫杖に力を込め、右から左に薙ぎ払う。ホームランよろしく吹っ飛んでいく、ぬいぐるみたち。
「フギュウウウウウウ!?」
そのうちの1つに手ごたえ。当たった瞬間、悲鳴とともに煙に包まれる。そこには1人の、気を失った少女が居るだけだった。
「まず一人目ー!」
「全く無茶しやがる・・・、いつものことか。」
立て続けに襲い来る、宝石やイルミネーションの子憑神。戦隊ロボットや美少女フィギュアに加え、トイミミックに似たプレゼントボックスの憑神も確認した。それら全てを、端から叩いていく美影と直斗。
「案外、手ごたえないな・・・。」
「何言ってやがる。カバーするこっちの身にもなれ・・・。第一、本命はこれからだ。」
「わかっとるって・・・。」
あらかた片付いたところで、巨大なクリスマスツリーに向き直る二人。その頂点にある星飾りに、憑神の核・勾玉が見て取れる。
「アレか・・・。厄介なトコにあんなぁ・・・。」
「ああ・・・。まずいな、装飾が増えてやがる・・・。」
「魔力が上がってるとか?」
「前回よりは、な。時間が惜しい。とっとと蹴りを付けるぞ。」
その言葉を聞いていたのか、頭上に輝く装飾の数々が襲い掛かってくる。
「ちっ・・・。美影、行けっ!援護する!!」
「まかしとき!でやああああぁぁぁぁ!!」
漆黒の翼を広げ、攻撃をかわしながら上昇していく美影。『深淵翼』の力を解放して、触れたものを蹴散らしながら進んでいく。
「うおおおお・・・・!?」
すると、下のほうから聞こえる直斗の叫び。
「直斗はん!?うわっ!?」
集中が解けた一瞬、飾られていたぬいぐるみの一撃を喰らう。
「俺のことはいい!さっさと・・・」
「直斗はん!く、うああああ!!」
振り切るように核のところまで辿り着く。その体の一部が、変化しつつあるのに構わず。
「ナンデジャマスルノ?ワタシハミンナノエガオヲミタイダケナノニ!」
「こんなやり方、誰も望んでへん!悪いけど、浄化させてもらうで!!」
力を振り絞り、憑神の核・星型の装飾の中央にある勾玉に渾身の一撃をぶつける。
「イヤァァアァァァ!?」
「これで、終わりや・・・。往生し・・・。」
力を使い果たし、落ちていく美影。同様に核を浄化された被害者の少女が、その姿を取り戻しながらツリーの下に落ちていく。
「あかん・・・。」
少女を抱きかかえるように、落ちていく美影。地面に着いたとき、少女に怪我はなかった。そこには、二つのぬいぐるみが落ちているだけだった・・・。
BADEND?
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「あら?猫乃、寝てないの?」
「あ、おかぁさま・・・。おねぇさま、帰ってこなくて・・・」
「そう・・・。帰ってきたらお仕置きかしら。」
鏡都府夜宵市、鈴華神社。美影の帰りを待つ妹、猫乃と二人の母、沙雪。テーブルの上にはクリスマスのケーキや料理、シャンパンなどが手付かずで置かれていた。
ぴんぽーん!
「おねぇさま!?」
「落ち着きなさい猫乃。美影さんならインターホン鳴らさないでしょ?」
あわてて飛び出す猫乃を諌めながら、いそいそと玄関に向かう母。
「おねぇさま!!」
「わ~い♪♪≧O≦」
げしっ!
「ふみゅうううう・・・(ばたり」
「うちの娘に何するつもりかしらん?」
沙雪さんのチョップが、トイミミックの脳天に直撃していた。
「あれ、何か持ってる・・・?わー、おねぇさまにそっくりなぬいぐるみだー!」
「まったく、美影さんは毎度毎度・・・」
「・・・?!こっちは、いらない・・・(怒」
げしっ!
「いったぁ・・・(涙」
もう1つのぬいぐるみを破いてしまおうとした猫乃に、容赦なく繰り出される母の一撃。
「もう、貸しなさい・・・。とっとと起きなさい!!」
どごっ!ばこっ!
「うがっ?!・・・ちっとは手加減してーなー、お母はん・・・」
「ぐふぅ?!・・・お、お手数をおかけしました・・・。」
母の容赦の無い拳が、美影と直斗を元に戻す。
「さて、話を聞かせてもらおうかしら・・・(ゴゴゴ」
「つまり、最悪のときはこの娘に頼んでおいたと・・・?」
気を失っていたトイミミックのアユミは、ケーキをおいしそうに頬張っている。
「そ、そうや・・・。」
「あ、あのときの耳打ちはこれか・・・。」
すでに一時間以上、二人は沙雪の前で正座して説明を続けていた。いや、釈明といったほうが良いかもしれない。
「せ、せやから、何もやましいことしてへん!」
娘の朝帰りを問い詰める母親。それが説教の8割を占めていたのは言うまでも無い。
「まあ、いいでしょう。じゃ、この娘に感謝しなくちゃね。」
「にひひ~♪≧o≦」
トイミミック・アユミは、屈託の無い笑顔。その頬には、生クリームが付いていた。
「じゃ、また連絡する。」
「あ、うん・・・。また・・・。」
「どうした?元気ないな?」
「な、何でもあれへんよ??さっさと行きや、みんな心配しとるやろ!」
その表情が恥じらいで紅くなっていることに、鈍感なその男は気付くことはなかった。
「おう。じゃ、いい年を迎えられるよう祈ってる!」
走り去る男。それを見送る少女。
「はぁ・・・。結局、渡せへんかったな・・・」
少女の手には小さな紙包み。少女の淡い想いが詰まったそれは、誰の手に渡ることもなく年を越すことになりそうだった・・・。
聖なる夜の憑神事変 了。
いかがだったでしょうか?
いつもに比べれば短めですね。
今回は美影さんと直斗君の微妙な距離感を出してみました。
二人の関係が劇的に変化するのは、
この後かもしれませんね。
彗嵐さん、美影さん、ありがとうございましたー。
これからもよろしくお願いしますー。
それでは今回はこの辺で。
また次回更新でお会いしましょう。