KOUNAN  編集中記

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2007年3月25日(日)
夫の姓か、妻の姓か

 NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「芋たこなんきん」では、主人公の花岡町子(藤山直美)は、結婚後も姓(名字)を改めずに花岡町子として登場する。結婚前から作家・花岡町子として活動しており、その名のまま作家活動を続けている。
 NHKの朝ドラが始まって以来、結婚した女性主人公が姓を改めないのは、今回が初めてだろう。最近のものでは、「ちゅらさん」「まんてん」「風のハルカ」「純情きらり」など、主人公の女性が結婚した回から、ドラマの中の氏名は当たりまえのように夫の姓を名乗ったいた。
 現実の社会でそのような例が多いからだろうが、妻の姓を名乗る場合や、職場では別姓を通す場合もあるわけでから、そのような例がテレビドラマでも一定割合はなければ不自然だ。
 民放を含めて他のドラマでも妻が夫の姓を名乗るのが当たりまえになっていたが、TBSが「水戸黄門」のオフシーズンのシリーズとして始めた「浅草・ふくまる旅館」では、旅館の主人(西田敏行)は妻の姓で福丸大吉と名乗っている。
 よく、結婚して妻の姓を名乗っている男性について、「養子になった」と表現されることがある。が、婚姻後の姓は、夫の姓か妻の姓かを選択するだけのことだ。妻が夫の姓を名乗っても養子にはならないのと同様に、夫が妻の姓を名乗っても養子にはならない。相手の親と養子縁組をしない限りは、養子ではない。

「芋たこなんきん」は、町子の夫の妹で医師の徳永晴子(田畑智子)と、夫の娘である徳永由利子(徳永みあ)・徳永亜紀(寺田有希)の名は、出演者の役名が当初はフルネームで出ていたが、登場人物がそれぞれ結婚してからは、姓をとって「晴子」「由利子」「亜紀」の名だけで出てくる。結婚して夫の姓に改めたことをにおわせているが、その姓を出さないことが、名前よりは家族としてのつながりを大事にしていることを表現しているように感じる。
 ならば、夫の息子3人が結婚した相手についても、徳永姓をつけずに出してほしかった。

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2007年3月5日(月)
公務員25万人が減ったとしても

 2005年の衆議院選挙で自由民主党の小泉純一郎総裁(首相)は、「郵政民営化」を行えば25万人もの公務員削減ができると演説していた。
 日本郵政公社の職員は、法律によって国家公務員の身分をもつことになっている。公社を株式会社化すれば、名目上は国家公務員25万人が減る。しかし、郵政公社は独立採算の公社であり、郵政省時代も郵政事業も独立採算(特別会計)で、その事業収入で職員の給料を負担してきた。
 公務員が25万人減ったところで、国の税金部門(一般会計)で給料を負担する公務員の数が減るわけではない。行政改革にはならないのだ。そういうことをマスコミはしっかりと説明しなかった。というか、報道の仕事に従事する人たちも、そういったことをよく理解していなかったように感じる。

 郵政事業を株式会社化した場合、印紙税や固定資産税などの負担が増える。これまで国営事業だったために負担が免除されたり軽減されたりしていた税金を、一般の民間企業と同様に払わないといけない。「民営化」の推進論を唱えていた人たちは、これまでの税の優遇は、実際的には国の援助と同じだと言っていた。全国規模で1件1件を低料金で扱うことが義務づけられた国営事業であるからこそ民間の事業と別扱いだった扱いであったわけで、民間と同じ負担をすることになれば、郵便や郵便振替・郵便為替などの料金が高くなる可能性がある。

 そんなことも十分に理解したうえで、国民が「郵政民営化」賛成の人を議員に当選させたのなら、それでいい。いまになって、過疎地で郵便が不便になると懸念している人がいるが、そんなことは選挙のときから分かっていた。選挙の後に成立した「郵政民営化」関係法は、選挙前に否決された法案と内容を比べれば、株式会社化の時期を6カ月遅らせただけで、実質的に同じものだった。
 相当に多くの人が、小泉総裁のマヤカシ演説に踊らされ、事業利用者の感覚をもたない小泉系学者たちの机上プランにごまかされたのではないだろうか。

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2007年2月28日(水)
「弁務官事務所」という訳語の違和感

 2月22日に行われた神奈川県公立高校入試の「社会」に、次のような選択問題があった。
<宗教上や政治上の迫害を受けて、住んでいた土地を離れたり、戦争からのがれるために国を離れた人々>について、<このような人々の保護や救援活動に中心的な役割をはたしている機関として、もっともふさわしいものはどれか>を、次の4つの中から選ぶという設問だ。

1.国連高等難民弁務官事務所  2.国際司法裁判所
3.国連信託統治理事会  4.国際開発協会
(試験の原文では、それぞれに振りがなが付いている)

 この中から選べと言われるのなら、「1」となるだろう。が、そのような役割を果している国際機関の名を書けという設問だったら、どのように答えるか。
「国連高等難民弁務官事務所」ではなく、「国連高等難民弁務官」だろう。

 日本の事務所のサイトをみると、「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は国連総会決議により、1950年12月14日に設立‥」という説明がある。同じサイトの別ページでも、「UNHCR」という略語に対する日本語は「国連難民高等弁務官事務所」となっている。

 しかし、UNHCRは「United Nations High Commissioner for Refugees」の頭文字であり、そのまま日本語的に訳せば「難民に関する国際連合の高等コミッショナー」、これを「国連高等難民弁務官」と呼ぶ約束になっている。
 その弁務官の拠点が日本語で「国連難民高等弁務官事務所」とよばれるが、ジュネーブの本部のサイトをみると、この「事務所」に相当する言葉がほとんど使われていない。その「事務所」が一体になって「UNHCR」としての活動をしている。組織全体をさす言葉としては「UN Refugees Agency」が使われている。

「事務所」では、弁務官の世話をするだけの機関のような印象あたえてしまう。かたちのある組織であることを示すとしたら、「国連難民高等弁務官本部」のほうが適切だろう。

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2007年2月8日(木)
「定形外郵便で送る」は「普通便で送る」でしょう

 インターネットオークションの参加者の間では、品物(落札品)を「定形外郵便で送る」という表現がよく使われていることが分かった。
 日本語としてヘンな表現だ。

「品物を書留で送る」というのなら、ヘンだとは感じない。
「品物を速達で送ってください」でも、ヘンだとは感じない。
 ここでの「書留で」「速達で」を、「配達記録郵便で」「代金引換郵便で」「本人限定受取郵便で」に置き換えてみても、問題はないと感じる。

 しかし、「品物を定形外郵便で送ってください」はヘンだと思う。なぜか。
 書留・速達・配達記録郵便などは希望によって選択・追加するものであり、定形外は意図して選択するものではないからだ。
「郵便物を定形外にする」のではなく、「差し出す郵便物が定形外になる」のである。

 送ろうとする郵便物は、「定形郵便物」の規格を超えれば、一定の限界まで自動的に「定形外郵便物」になる。
 そして、「定形外郵便物」であって「定形外郵便」ではない。「定形」の限界を超えた郵便物そのものをさして「定形外郵便物」と呼んでいるのであって、「定形外郵便」という制度(郵送システム)が存在しているわけではない。
 この語感、わかりますか?

 インターネットオークション参加者が「落札品を定形外郵便で送る」というときは、受け取りのときに受領印が必要な書留や配達記録郵便や一般小包(ゆうパック)という方法は選択しないでほしいという意味があるようだ。
 書留や配達記録などを加えた特殊取扱郵便物(特殊取扱便)は選択しないという意味で、「普通便で送る」「普通郵便物として送る」などのほうが適切だ。

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2007年2月5日(月)
郵便振替は存続するのか?

 書籍を購入するために、近くの郵便局のATMで、窓口時間外に郵便振替の送金をした。
 いまの郵便貯金ATMでは、郵便振替の払い込み書(いわゆる振替用紙)を挿入して、郵貯口座から必要額を払うという方法で送金ができる(現金でも払える)。銀行ATMでの送金とは違って、注文の内容や自分の住所・氏名を払い込み書という書面で書き記すことが可能だ。

 郵便振替の払い込み書の内容は、機械で受けたものも窓口で受けたものも、書面が画像データに変換され、口座を管理する貯金事務センターに即時に送信される。センターでは、記帳をするとともに画像をプリントした入金通知を口座加入者(注文先)に郵送する。(ほかからも入金があれば、まとめて郵送する。お金は、加入者の請求があるまで口座にとどめる)
 以前は、送金を受けた郵便局が払い込み書そのものをセンターに郵送し、それをセンターが加入者に転送した。加入者に届くまで1週間ほどかかったが、画像で送信するようになってからは中1日前後で済むようになった。

 全国の郵便局から送金ができる郵便振替だが、郵貯の民営化の後も存続するのだろうか。不安になってくる。
 郵便振替と同じく郵政の郵貯部門で扱う郵便為替にも、同様の心配がある。
 郵政事業の株式会社化を前に2007年9月30日限りで、郵便貯金法とともに郵便振替法・郵便為替法が廃止されるためだ。

 もっとも当面は、郵貯部門を引き継ぐ株式会社ゆうちょ銀行が、郵便局の窓口ネットワークを管理運営する郵便局株式会社に窓口業務を委託するかたちで、いまの郵便振替・郵便為替と同じシステムの業務を行う。このことは、両社の持ち株会社となる日本郵政株式会社(2006年1月設立)が既に発表している。
 問題は、ゆうちょ銀行が完全民営化されたときだ。

 持ち株会社の日本郵政会社は、その株式の全部を当初は政府が保有し、株式を放出した場合でも常に3分の1を超えて政府が保有する。これにより、郵政事業への政府の経営関与が続くことになる。
 ただし日本郵政会社は、ゆうちょ銀行の全株式を10年以内、2017年9月末日までに売却することが、郵政民営化法によって義務づけられている。

 これによって完全民営化されれば、振替・為替を含む郵貯の業務を変更しようと廃止しようと、ゆうちょ銀行としての裁量の範囲になる。
 当然、郵便局会社に窓口業務を委託するかどうかも、ゆうちょ銀行自身の経営判断だ。委託を続けるにしても、不採算局からは業務用の窓口機械を撤去することもできるだろう。

 いまの簡易保険事業も、日本郵政会社が持ち株会社となって発足する株式会社かんぽ生命保険が引き継ぎ、ゆうちょ銀行と同様に10年以内に完全民営化される。
 一方で郵便局会社は、日本郵政会社の100%子会社のまま存続し、同様に100%子会社として存続する郵便事業株式会社の窓口として全国展開することが義務づけられている。
 両社ともに完全民営化をせずに政府の関与が続くため、過疎地での郵便局廃止も、言われるよりは行われないかもしれない。
 しかし、もし「ゆうちょ」「かんぽ」という大きな手数料収入源がなくなり、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式売却益が底をついたときには、郵便事業と郵便局ネットワークとを維持するためには郵便料金を値上げするしかないだろう。

 利用度の低い高速道路や空港を建設したがる議員諸氏が、なぜ、今回の「郵政民営化」に賛成したのだろうか。不測の事態は起きないように努力するということだろうか。

郵政事業の株式会社化(いわゆる民営化)の関係記事
1月11日/「民営化」という言葉の悪用
1月19日/「民営化」の案にかくれる官僚意識

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2007年2月4日(日)
マニュアル敬語からの脱却

 このサイトの「日本語保守点検」のページでは、耳ざわりで不適切な「新型敬語」表現として、駅の案内放送や掲示広告での「ご乗車できます」「ご利用できます」「お支払いできます」などをとりあげてきた。現時点の日本語の共通語としては、お客の側を立てる尊敬語としての表現は、「ご乗車になれます」「ご利用になれます」「お支払いになれます」のほうが妥当だろう。
 文化審議会が2月2日に文部科学大臣に答申した「敬語の指針」には、「ご利用される」「ご乗車できません」などが現時点では尊敬語として不適切であるという説明も含まれていた。

 この「指針」の全文は、文化庁のサイトに掲載されている。
 敬語の分類に美化語を加え、謙譲語は二分する−−という部分は、読んですぐには理解できなかった。
 しかし、第3章<敬語の具体的な使い方>は、敬語についての考え方や実際の用法について36件の問いに答えるかたちで、「ご乗車できません」などの表現が現時点で適切かどうかを説明しており、実際に役立つ内容になっている。
 もっとも、「ご乗車できます」などの個々の表現については、適切が不適切かを文法で論じる前に、その言葉を見聞きした時点で「ヘン」だと分かる感覚を養っておきたい。

 鉄道の駅に限らず接客の現場では、これまで、客に対する言葉づかいについて不適切なマニュアル(職員向け指導書)が使われていたきらいがある。一説によると、大手の教材制作会社が、適切とはいえない表現を意図的に「適切な表現」の実例として掲載し、マニュアルの浸透ぐあい(シェア)を確かめたという。
 これまでは、教える側も教わる側も十分な知識をもたないために、不適切なマニュアルを信じこんでしまったのだろう。
 今回の「指針」は、それ自体が絶対的な指針となるわけではなく、個々の現場で指針を考えるときの指針、つまり「よりどころのよりどころ」の性格をもつという。

<マニュアルによって敬語の使い方を指導する場合にも,また敬語の使い方を習得する場合にも,そこに示された内容を唯一絶対のものとして扱うことを避ける態度が必要である。マニュアルに掲げたもの以外の言語表現を用いることを許さないような指導や規制,あるいは,いつでも,どんな相手にでもマニュアルに示された言語表現だけで事は足りるとするような受け止め方,これらはどちらも,本指針案の目指す「自己表現」という敬語使用の基本姿勢とは相いれないものである。> (第1章<敬語についての考え方>の第2<留意すべき事項>の3<いわゆる「マニュアル敬語」>から。着色太字部は当サイトによる

−−職場などでマニュアルを作るにあたって、「留意」という以上に実践されないといけない事柄だ。しかし、この部分が、今回の答申についてのマスコミ報道では、しっかりと伝えられていない。マニュアル至上主義の記者にとっては自己を否定する内容だった、というところだろうか。

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2007年2月3日(土)
料金14年目の新型消印

横型和欧文機械印4局

 1月23日から東京中央郵便局で、1月30日からは日本橋郵便局・銀座郵便局・渋谷郵便局で、新型のインクジェット消印が使われている(2月1日付1月26日付で既報)。その4局の消印が手もとにそろった。
 それが写真上で、50円切手をはった横長はがきの右上コーナーでそろえてみた。(このうち下の2枚、銀座局と渋谷局の消印は、それぞれの局での機械使用1日目のもの)
 この4局で、時間帯表示のうち日常的に使われる3種=8−12/12−18/18−24=がそろっている。月・日・時刻の数字は、2ケタ分が枠があり、その数字が1ケタで済むときには上1ケタ分を空きにして表示していることも分かる。

 さらに、現時点では次の違いが見られる。
◇東京中央局‥波線の上から2本目と3本目の間が広い。文字にかすかな横スジ。
◇銀座局‥日本語の局名表示が、左右中央になく、左にずれている。

 手紙80円・はがき50円という現行の郵便料金は、1994年1月24日に実施されたもの。メジロの50円切手は、その値上げのときに発行された。すでに14年目に突入している。今回の消印と1994年来の料金、これから先はどちらが長く続くだろうか。

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2007年2月1日(木)
2008年のカレンダーが確定した

 2月1日付「官報」で国立天文台から2008年の暦要項が発表された。
 国立天文台が毎年2月1日に翌年の暦要項(「れきようこう」と読ませている)を発表することにより、日曜日となる月日や二十四節気・雑節などともに、国民の祝日の月日が公式に確定する。→暦と休日については、2006年12月22日付2006年12月27日付でも掲載。

 2008年の暦で、次のようなことが確定している。お手持ちの手帳や携帯電話のカレンダーがそのとおりになっているか、確かめてみてください。

(1) 2008年は閏年(うるうどし)で、最初の日曜日は1月6日となる。

(2) 春分が3月20日14時48分、秋分が9月23日0時45分。
 国立天文台がこれまで「予想」として発表していたとおり、国民の祝日である「春分の日」が3月20日、「秋分の日」が9月23日となる。

(3) 「国民の祝日に関する法律」にもとづく休日は、「国民の祝日」以外は、5月6日と11月24日の2回。いわゆる振替休日。
 5月4日「みどりの日」が日曜日で、翌5日・月曜日も祝日の「こどもの日」であるため、さらに翌日の火曜日・6日が休日になる。本年1月1日施行の法改正により初めて火曜日が振替休日になる

 いまは「官報」最新版が、その発行所である国立印刷局のサイトで読めるようになっている。国立天文台自身のサイトでも、新しい暦要項を掲載している。昔は、印刷局の直売店や官報販売所の書店に行かないと「官報」が読めなかったし、定期購読の場合だと翌日の到着を待つ必要があった。

 カレンダーや手帳を製造している会社では、毎年2月1日以降、実質的な印刷作業に入るようだ。国立天文台が前もって「予想」として発表している日付で「春分の日」と「秋分の日」を入れておき、2月1日の発表をみて「訂正なし」と確認することになる。

 もっとも、国会が法律を変えれば、祝日や振替休日は変更される。近年の手帳には「法改正により祝日が変更されることがあります」というように注記しているものがある。ただ、そんなに急いだ変更をしないことが、全国民の代表者としての良識というものだろう。

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2007年1月31日(水)
段差に強いインクジェット消印

横型和欧文機械印渋谷局 渋谷局の新型消印

 インクジェット式の消印をそなえた新型の郵便物自動取りそろえ押印機(1月26日付で掲載)は、1月23日から東京中央郵便局で、1月30日からは渋谷郵便局(東京都渋谷区)で使用が始まった注0131A
 渋谷局での使用初日に、切手を意図的に2枚はった郵便物(写真上)を差し出してみた。
 これまでの機械消印より押印面積が広いため、切手を2枚はっても十分な割り印となる注0131B
 と同時に、この新型消印の「段差に強い」という特徴がみえてきた。

 いままでは金属製だった機械消印は、郵便物の上に均一には押されずに、表示内容がよく見えないことがあった。特に、切手と台紙(切手がはってある地の封筒・はがき)との段差に弱く、切手の端の部分で消印の文字や線が目立って途切れた。機械消印とは違って手押し消印にはゴム製のものもあるが、段差で途切れが生じるところは金属印でもゴム印でも同じだった。(写真下)

 インクジェット式、つまりインクを吹きつける方法で押す、というよりはプリントする新型消印では、台紙上の紙の段差が消印に影響しにくい。
 消印の局名も日付も線も、段差で途切れていない。
 と同時に、2枚の切手の間が狭くても、間の台紙部分に消印の線がかかっている。
 写真上の状態で長期間にわたって均一に押印できるのなら、これまでの消印の欠点を適切に解消したことになる。

従来型日付印
[左]従来の機械の金属印‥局名の「東」や「央」と円・波線の一部が切手の縁で途切れている。
[右]手押しゴム印‥局名の「央」や下の時刻欄の数字「8」などが切手の縁で途切れている。
 *左右ともに、同タイプの消印の中では鮮明なものを掲載した。


注0131A 日本郵政公社の報道発表によると、1月30日からは渋谷局とともに日本橋局(東京都中央区)と銀座局(同)でも新型機を使い始めることになっている。2月3日付に押印実例
渋谷局と日本橋局の取り集め区域は、それぞれ自局の配達区域と同じ(郵便番号上3ケタがそれぞれ150、103)。銀座局の取り集め区域は、京橋局(中央区)と芝局(港区)の配達区域(同104、105)。
注0131B 郵便局では、消印は切手と台紙との割り印として押すことにしている。郵送途中で郵便物から切手がはがれ落ちたときでも、切手がはってあった跡がのこるように意図したもの。

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◆ 2007年
3月25日/夫の姓か、妻の姓か
3月5日/公務員25万人が減ったとしても

2月28日/「弁務官事務所」という訳語の違和感
2月8日/「定形外郵便で送る」は「普通便で送る」でしょう
2月5日/郵便振替は存続するのか?
2月4日/マニュアル敬語からの脱却
2月3日/料金14年目の新型消印
2月1日/2008年のカレンダーが確定した 

1月31日/段差に強いインクジェット消印 
1月30日/都心に残った従来型ポスト
1月29日/「報告」という形のニュース番組演出
1月26日/横長郵便物に適した横型消印
1月25日/住所を示す透明バーコード
1月23日/南極観測絵はがき、公社の側にルール無視
1月22日/毎月23日は「ふみの日」ですか?
1月21日/センター入試「現代社会」への疑問
1月20日/「二千零十年代」ではヘンですか?
1月19日/「民営化」の案にかくれる官僚意識
1月18日/早く出すこと以外にもお願いすべきこと
1月17日/元日配達にこだわりすぎ、利用者も郵政も
1月16日/花岡町子への手紙、1970年
1月15日/「賞品」としては見劣りがする
1月14日/お年玉賞品の上限は額面の5000倍
1月13日/パトカーと救急車が同じ車庫に
1月12日/切手を使えなくする方策
1月11日/「民営化」という言葉の悪用
1月8日/「成人の日の記念行事」か、「成人式」か
1月7日/「南房総」という地名の違和感
1月5日/樽ごしに見るか、電線ごしに見るか
1月4日/年始でも遅れない郵便物、年始だから遅れる郵便物
1月2日/電線のむこうにみえる富士の山

◆ 2006年
12月31日/再放送への感じ方
12月28日/年賀はがきが赤い色で印刷されるワケ 
12月27日/休日についての説明が足りない手帳 
12月22日/火曜・水曜でも振替休日に

2006年12月中旬までの掲載分

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2007年1月30日(火)
都心に残った従来型ポスト

7号ポスト新橋

 東京都心のポストは新しいタイプに完全に切り換えられたのかと思っていたが、朱に近い赤い色の従来型ポストも少々残っていた。写真のポストは港区新橋1丁目にある。このほか、千代田区丸の内2丁目のビジネス街にも同じタイプのものが残っている。

 従来型ポストといっても丸形ポスト(1号ポスト)は、「珍しい」と注目される。
 しかし四角の従来型ポストは、あまり注目されないまま新型ポストに切りかえられてきた。
 差し入れ口が2つある従来型ポストには、容積が大きくて脚柱が短い写真上の形の7号ポストと、容積が小さくて脚柱が長い1月12日付掲載の形の8号ポストとがある。郵便物の差し出し数が多い都心部の街頭には7号ポストが多く、駅の中など一部に8号ポストがあったという記憶がある。

 7号と8号のポストにはそれぞれ、差し入れ口やヒサシの形、郵便マークなどの表示の色などにバラエティがある。
 2つの差し入れ口の表示内容も時代とともに変わってきた。1960年代に導入された当初は「他府県/東京都」だったが、1980年代に「その他の地域/東京都」、1990年代に区別方法が変わり「手紙・はがき/その他の郵便」になっている。

 新橋の7号ポストは、差し入れ口の横幅が19cmほどなので、B5判のものを入れた封筒がようやく入る程度。A4判のものを入れた封筒は、まっすぐのままでは入らない。前面には「日本郵政公社」のプレートも付いていない。こんなポストか都会にあると、「本当に使われているポストなのか」と疑問さえ感じてしまう。
 このポストがこのまま残ったら、人々からポストだとも認識されなくなってしまうのだろう。

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2007年1月29日(月)
「報告」という形のニュース番組演出

 NHK総合テレビの29日夜9時台のニュースで、司会者とは別に国会の野党担当キャップという記者がスタジオで出演し、衆議院での野党の代表質問について報告した。
 その報告内容は、記者が登場するまでに議場の映像を流しながらアナウンサーが伝えたことを繰り返して言うものだった。
 大事なことを繰り返すという意味は認めるが、記者として感じたことも、記者として分析したことも、加えない。単に、野党党首がこういう発言をして、内閣の側はこのように答えたということを伝えるだけ、まさに「報告」だった。

 NHKテレビのニュースをよく見ている方なら、お気づきではないだろうか? 記者が登場する「報告」は、すでにアナウンサーが伝えた内容の復唱にすきないことが、きわめて多いことを。

 夜のニュースでは、スタジオではなく官庁や裁判所の前に立って、記者が報告することもある。先日は、雨の中でカサをさしながら報告していた記者もいた。
 夜になって事態の進展がないことは明らかな事柄なのに、いまにでも建物に入って取材するような雰囲気をもたせながら、スタジオのアナウンサーがすでに伝えたことがらを復唱している。ニュース番組としての臨場感を出したいのだろうか、あるいは記者が"出たがり"なのか。

 民放の番組内容捏造(ねつぞう)が問題になっているが、NHKニュースの日常的な無意味な演出は問題ではないのだろうか?

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2007年1月26日(金)
横長郵便物に適した横型消印

横型和欧文機械印東京中央 横長はがきの右上コーナー

 新タイプの消印=写真上=が、東京中央郵便局(東京都千代田区)で1月23日から使われている。ポストから集めた手紙・はがきを高速処理する「自動取りそろえ押印(おういん)機」の新型機による消印で、インクジェット方式で押印する。

 自動取りそろえ押印機は、1966年(昭和41年)に導入が始まった。その従来機には金属製の消印が装着され、これにインクをつけて郵便物に押す。日付や時間帯が変わるときには、手作業で活字を差し替える。インクジェット方式の新型機の消印では、電子制御で表示内容を変更する。
 東京中央郵便局では、同局に加えて麹町(こうじまち)郵便局の郵便区(配達区域)にあるポストからの取り集めを受け持っており、当面は従来機と新型機を併用する。(この取り集め区域は、東京都千代田区のうち郵便番号の上3ケタが100102の範囲)

横型和欧文機械印はがき縦型和欧文機械印はがき横型
機械で消印した横長はがき‥新型機のインクジェット消印と、従来機の金属消印(文字が右だおしに)

 写真の郵便物では、切手を右肩にはり、その左側には消印のための余白をのこし、あて名は下寄りに記している。−−横長郵便物について、郵便利用に関する規定(内国郵便約款など)や国際的な慣習に沿った方法だ。新タイプの消印は、横長郵便物に押したときに文字が正位置となる表示(以下「横型」)になる。

 しかし、日本式の縦長郵便物に横型消印を押せば、文字が横だおしになる(つまり、横型消印の押された写真の横長はがきを左に90度回転させた形になり、文字は左だおしになる)。そんな"横だおし"への苦情も日本郵政公社には届くことになるだろう。
 横型の機械消印は、1919年(大正8年)にも導入されたことがある。米国から輸入した押印機を、欧米式の横長郵便物用の横型消印のまま、表示内容を日本語に差し替えて使ったものだ。実情に合わず、翌年には縦型表示(縦長郵便物に押したときに文字が正位置になる横書き)に変更された。

 私個人としては、横型消印に適した横長郵便物が増えることのほうを期待している。郵政公社も横長の国内郵便用はがきを発行してほしい。(欧米か?)
 日本語を当たりまえに横書きにしているというのに、郵便物は縦書きが原則だというのでは不自然すぎる。
 縦長郵便物に横書きで記載する例も多いが、あて先を書くのに左右幅が狭いという難がある。横書きであるなら、郵便物も横長にしたほうが、オモテ面がバランスよく自然に使える。自分で郵便物を出そうとしてみて分かることだ。実際、郵便局で用意している小包や翌朝郵便のあて名ラベルは横長に作ってある。

 ただし、市販の手紙の書き方の指導書・解説書の多くは、横長郵便物に横書きで記載する方法について、このサイトのあて名の書き方、封筒の使い方」のページで指摘しているとおり、消印スペースを確保しない不適切な手本をのせている。
 上に示した郵便物の写真のほうが、手書きの場合を含めて、オモテ面の配置方法の見本になる。

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2007年1月25日(木)
住所を示す透明バーコード

 年賀状として差し出されるお年玉つき年賀はがきには、基本的に消印が押されない。そのために、次のような話をする人がいる。
「自分あてに届いた年賀状を、まだ使っていない書き損じはがきとして郵便局に持っていけば、新しい切手やハガキと交換できてしまうのではないか?」
「年賀状配達のアルバイト職員が、配達に時間がかかってしまった結果、それをポストから再び差し出しても分からないのではないか?」
 −−どちらも、心配の必要はないだろう。その理由が、下の写真です。

あ.て先バーコード
紫外線に反応するバーコード‥右列は郵便番号を含む受取人住所、左列は郵便物ID。

 ポストから集められた郵便物には、郵便番号を読み取る区分機にかけられ、あて先の住所を示すバーコードが、紫外線に反応する透明インクでプリントされる。このバーコードには、郵便番号7ケタだけでなく丁目・番地・部屋番号までが示されている。
 郵便物の中継局や配達局では、手書きの郵便番号ではなく、バーコードで示された住所を機械で読み取って細分類する。

 日本郵政公社では、郵便局での切手類交換にあたって「必要があると認めるときは、請求者に対し、その提出する切手類について未使用であることの証明を求めることがあります」と定めている。(内国郵便約款第50条第5項)
 お年玉つき年賀はがきに消印が押されていなかったとしても、紫外線ライトをあてて透明バーコードが見えれば、それだけで使用済みはがぎだと"逆証明"されることになる。

編集中記 もくじ
2007年1月23日(火)
南極観測絵はがき、公社の側にルール無視

 日本による南極観測50周年の記念切手が、本日23日に発行された。記念切手は2シートあり、そのうちシール式80円切手10種組み合わせシートは、切手合計額800円よりも200円高く1000円で販売されている。切手シートだけでなく、大型絵はがき5枚と解説つき台紙をセットにしたものだ。

南極絵はがき
解説つき台紙(部分、左半に絵はがき写真説明)と、絵はがきオモテ面(5枚に共通)

 このセットの絵はがきは、それぞれ、アザラシ・ペンギン・氷山などの写真を裏面全体に印刷している。はがきの大きさは、長辺210mm×短辺120mm。国内あてに差し出す場合は、郵便はがきの限界(最大154mm×107mm)は超えているものの定形郵便物の限界(最大235mm×120mm)には収まっているので、今回の80円の記念切手を使うことができるわけだ。
 さっそくシール式の記念切手をはってみようと思ったが、オモテ面をなぜこんなデザインにするのだろう、小さな四角4個による切手位置の目安の枠組みが、切手サイズより大きくてハミ出してしまう。

 公社が制作した絵はがきであるというのに、公社自身が定めた郵便ルールを無視していることにも気がつく。
 切手をはる枠の中には「80円切手をお貼りください」と書いてある。漢字の「貼」が常用漢字表外ではないか−−ということは別として、はがき扱いにならず定形郵便物になるものに「POST CARD」(郵便はがき)と表示する必要はない。[貼る=はる]

 国際郵便であれば、この大きさでも郵便はがき扱いになる。
 外国あて郵便はがきの大きさは、最大235mm×120mm・最小140mm×90mmと国内の定形郵便物と同じで、長辺が「短辺×平方根2」以上という条件が加わっている。[平方根2=約1.4]
 国際郵便はがきには「POST CARD」(英語)または「CARTE POSTALE」(仏語)と表示することが原則だが、絵はがきである場合には表示の必要がないと公社は定めている。
 今回の絵はがきが外国あてにも使える以上、「80円切手をお貼り…」という記載は不適切だ。必要料金は、航空便なら70円、船便なら60円で済む。

 あて先の郵便番号枠は、外国あてに使うときには、単に空きにしておくだけでいい。しかし差出人郵便番号枠は、この絵はがきの印刷位置ではジャマでしかない。
 はがきを外国あてに横長で使う場合、オモテ面の少なくとも右半分は、切手をはるとともに、あて先の記載や「航空」などの種別表示のスペースとして使うように定められている。差出人の住所氏名はオモテ面の右半分には記載しないで、切手位置の左側は種別表示や消印のスペースとして残しておく必要がある。

 消印スペースを残しておくことは国内あてのときも同じで、その範囲は、横長はがきであれば右肩の横70mm×縦35mmとなる。その範囲に差出人郵便番号枠そのものは入っていないが、この番号枠につられて差出人住所・氏名が消印スペースに記載される可能性が高くなる。詳細は「あて名の書き方、封筒の使い方」のページで

 この絵はがきを使おうとする人に配慮するとともに、これが差し出される郵便窓口での混乱を避けるためには、今回の絵はがきのオモテ面は次のようにデザインする必要があった。

(1) 「POST CARD」などの郵便はがき表示をしない。
(2) はる切手を「80円」と限定しない。
(3) 切手をはる位置の目安の枠は、印刷するのであれば、今回の記念切手の最小サイズのものや一般の普通切手をはってもハミ出さないようにする。
(4) 差出人郵便番号枠は印刷しない。
(5) この絵はがきを差し出すときの必要料金や差出人住所氏名の記載位置など郵便利用上の注意事項は、添付の解説書など別紙に記載する。

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2007年1月22日(月)
毎月23日は「ふみの日」ですか?

 郵政省の時代、1970年代後半から毎月23日は「ふみの日」ということになっている。ごろあわせで「ふみ」=手紙=を書くキャンペーンの日ということだ。
 毎年7月(文月)の23日には「ふみの日」の切手が発行され、その前後には各地郵便局で絵てがみ教室や絵てがみ展が開かれてはいるが、ラジオ体操とは違って全国的・組織的な運動が展開されているわけではない。
 言ってしまえば、毎月23日が「ふみの日」ということになっている−−という以上には、特別なことがない。

 日本郵政公社が本当に「ふみの日」というものを大切に考えているのなら、1月23日は「おくれて年賀状を書く日」にすればいい。「年賀状」がヘンなら、「新年のあいさつ状」でもいい。
 1月17日付でも書いたとおり、このサイトでは新年になってから年賀状を書くことをおすすめしている。しかしながら、「年賀状は元日に受け取るもの」「返事は遅くとも松の内(7日まで)に出すもの」という従来の常識に支配されている人が多いと、1月1日以降に差し出す年賀状では「届くのが遅くなる」と感じられるし、新年に自宅を長く留守にする人には返礼の年賀状が出しにくくなる。

 だからこそ郵政公社が「年賀状の返事は1月23日でもOK」とか、「まだ年賀状を出していない人は、ふみの日に」と広告してくれれば、「年賀状を遅く出していいものかどうか、迷っている」という人にとって助けになる。

 年賀状の差し出し時期が12月30日前後に集中するようになった現代では、年末に差し出された年賀状を三が日に配達するという期待にはこたえられない。
「1月1日に年賀状を読む楽しみ」を感じている人は多いだろうが、現実には、本当に新年になってから「あけましておめでとう」と書くほうが人間として正直だといえる。

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2007年1月21日(日)
センター入試「現代社会」への疑問

 大学入試センター試験の内容を新聞でみて、ためしに「現代社会」の第1問にある全8問に答えてみたところ、全問の"正解"が出せた。
 社会人としては一般常識といえる基礎知識を入試で確認する意味はあるだろう。しかし、ふるい落とすための試験とはこんなものなのか、出題者の"悪意"を設問に感じざるをえなかった。

 その第1問は、<次の文章を読み、下の問い(問1〜8)に答えよ。>として、<日本における民主政治と法の支配を、違憲審査権を例に、考えてみたい。>で始まる700字ほどの文章(以下「初めの文章」)をかかげる。そのあと、問1<下線部(a)に関連して…>、問2<下線部(b)に関する記述として…>という問題が続いて、次の出題となる。[注‥ここでの(a)(b)(2)などのカッコつき文字は、原文では丸囲み]

 問3 下線部(c)に関する記述として適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。

 初めの文章で下線部(c)は「国会」とある。初めの文章の全体は読まなくても、「国会に関する記述として適当でないもの」と考えたとき、次の(2)を正解(不適切な記述)として選び出すまでに受験生が迷うことを出題者が期待しているのではないかと感じる。

 (2) 衆参両院の各議員は、国会の会期中は逮捕されず、会期外の期間においても、その所属する議院の許諾がなければ逮捕されない。

 国会会期中は逮捕されないという(2)前段は、原則として正しい。
 会期外の逮捕に議院の許諾が必要という(2)後段は、原則として誤りになる。
 だから、発表された正解も「2」となっている。
 しかし、前段・後段ともに「原則として」であって、前段が逆に誤りに、後段が逆に正しくなる場合がある。そんな"あやふや"な内容の文を選択肢に含めることこそが、出題のテクニックなのだろう。

 日本国憲法第50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

 この議員不逮捕特権は、デッチ上げ事件や"別件"などで野党議員などを不当に逮捕・拘束して政府・与党が不当に政治支配することを防ぐためのものだ。ただし、<法律の定める場合を除いては>という例外が定められている。

 国会法第33条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。

 会期中でも逮捕される場合がある以上は、(2)前段は誤りになるということなのだろう。
 そして(2)後段。会期外ではあっても、逮捕に議院の許諾が必要なときがある。衆議院解散中に、つまり国会会期外に緊急事態に対処するために開かれる参議院の緊急集会(憲法第54条第2項)の場合だ。

 国会法第100条 参議院の緊急集会中、参議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、参議院の許諾がなければ逮捕されない。[次項以降略]

 国会議員の不逮捕特権について、大学に入る者の知識・教養として必要なことは、それがなぜ認められるのかを歴史的背景をふまえて理解しているということだ。そのための問題を、なぜ出さないのか?

 この第1問に自分で答えてみて、わかった。小問の問1から問8までの全部が、最初の文章の内容と関係なしに、単に(a)(b)(c)…(h)の下線のついた語句の部分をみるだけで答えられるようになっていた。
 ならば、「最初の文章を読みましたか?」という出題もして、「読んだ」という答えに点数をあたえることこそが、受験生に対する礼儀というものだろう。

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2007年1月20日(土)
「二千零十年代」ではヘンですか?

 1970年代・1980年代・1990年代ときて、次の10年分は何と呼べばいいのだろうか。
 2000年代でいいのだろうか。2000年から2999年までの1000年間のことだとは思われないだろうか。
 かりに「2000年代」でいいのだとしたら、なんと読めばいいのだろうか。
 ふつうに読めば「にせんねんだい」だろうが、「ななじゅう」「はちじゅう」「きゅうじゅう」ときたら次は「れいじゅう」のはずだ。「2000年代」と書いて「二千零十(にせんれいじゅう)年代」ではいけないだろうか。

 宝くじの抽せん会では、基本的に1ケタごとに当たり番号を読み上げるから、当たり番号の下4けたが「0001」だったら、千の位は「れいせん」、百の位は「れいひゃく」、十の位は「れいじゅう」と読んでいる。

 この宝くじ方式に共感してしまう私としては、2000〜2009年をしばらくは「二千零十年代」と読むことにする。

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2007年1月19日(金)
「民営化」の案にかくれる官僚意識

 年賀状の配達が遅れたという苦情をマスコミは取り上げているが、それ以上には踏み込まないようだ。「郵政民営化」関係の法律が成立し、当面の「民営化」の方法が発表されているというのに、「苦情」のような利用者視点での報道は行われない。

 なので、このコラムでは、「民営化」の概要を少しずつ掲載している。
 1月11日付でお伝えしたとおり、郵便事業(郵貯・簡保を含まない)は「完全民営化」をめざすわけではなく、政府関与の特殊会社化をめざしているので、このサイトとしては基本的に「株式会社化」と表記したい。

 本年10月1日の郵政3事業の株式会社化は、「多様で良質なサービスの提供」(郵政民営化法第2条)を意図しているはずなのに、かえって利用者無視の不便な状況をまねくと私は予想している。
 人口の少ない地域の郵便局の廃止は、株式会社化の時点でスグにはできないだろう。
 それよりも、人口の多い地域を含めた全国各地の集配郵便局が、利用者にとって「より親しみにくくて理解しにくい建物」となることのほうが心配だ。

 郵便事業は、本年10月1日から郵便事業株式会社が運営する。窓口業務は、郵便だけでなく「ゆうちょ」「かんぽ」も含めて郵便局株式会社が運営する。
 両社ともに、持ち株会社である日本郵政株式会社の100%子会社のまま、株式は放出されない。持ち株会社の日本郵政は当面は100%政府出資で、株式は最大で3分の2を超えない範囲で放出されることになっている。

 小規模な無集配郵便局は、郵便局会社の営業所である郵便局として存続する。
 しかし集配郵便局は、窓口部門は郵便局会社の郵便局として存続するが、郵便物の収集・発送・配達の業務を行う部門は郵便事業会社に移行する。
 このことは、「郵政民営化」準備のために2006年1月23日設立済みの日本郵政株式会社が同年7月31日付で発表した「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画の骨格」の「2 郵便事業株式会社」の項にかかげられている。

 いまは同じ日本郵政公社職員として集配局である「○○郵便局」に勤務している人も、株式会社化により、郵便事業会社社員と郵便局会社社員とに明確に分かれる。
 郵政の株式会社化により、いまは「○○郵便局」という地域の集配郵便局は、利用者にとっては、切手を買ったり郵便物を出したりするときは「○○郵便局」、郵便物の配達や発送状況について問い合わせるときには「郵便事業会社○○センター」と、別会社として対応しないといけない。

 留守のときに配達された書留郵便物などを、再配達してもらわずに窓口に受け取りにいこうというとき、「○○郵便局」の窓口に行けば「あれは郵便事業会社さんのほうの扱いです」と言われることになってしまう。
 もしかしたら、そんな「タテ割り」が感じられないようなサービスをめざすのかもしれない。
 しかし、ふがんから郵便局を利用する人に懸念をいだかせるような新会社移行案をつくって平然としていられる「民営化」準備会社は、利用者の気持ちに配慮する能力に欠けていると感じる。

編集中記 もくじ
2007年1月18日(木)
早く出すこと以外にもお願いすべきこと

 TBSラジオ制作のリスナー参加番組「アクセス」で、本日18日のテーマは<「年賀状が元日に届かない!」という苦情が増加。今年の年賀状配達にあなたは満足?それとも不満?>だった。インターネットで寄せられた意見は、番組ホームページに掲載されている。注0118

 番組に電話で登場した郵便局アルバイト経験者の意見に、「達筆のあて名では読めなかった」「ワープロのあて名で、意外に読みにくいものが多かった」というものがあった。「やはり、そうだよな」と感じる。
 年賀状の早めの差し出しを呼びかけていた日本郵政公社も、あて名の書き方を近年は「お願い」していない。
 書家が書くような草書体では、普通の現代人では読めない。あて名ソフトに用意さている書体でも、草書体では読みにくいし、行書体でも小さい印字では文字そのものが見えづらくなる。こういった現場の声を、公社の中枢は確かめていなかったのだろうか。

 郵便番号の印字にはどんな書体がいいのか、郵便番号を手書きするときの数字はどんな形がいいのか、差出人の住所氏名はオモテに書いたほうがいいのかウラに書いたほうがいいのか−−郵便局として扱いやすい方法をきちんと案内してくれたほうが、差し出すほうとしは、「過剰な押しつけ」と嫌がるよりも、「ならば、その方法で」と納得するのではないだろか。

 1970年代前後には、郵便番号の書き方などが、郵便局で配る年賀状案内チラシに図示されていた。
 現代であれば、コンピューターソフトの開発者に対しても、人にも機械にも読みやすい書体、そして使ってほしくない書体を明示して当然だろう。実際、「郵便のルールを認識しないで設計されている」と思われる住所録ソフトを見かける。

注0118 番組トップページから、大きいタイトルの「バトルトーク」→バックナンバー→2007年1月→2007年1月18日(木)の順でご確認ください。

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2007年1月17日(水)
元日配達にこだわりすぎ、利用者も郵政も

 年賀状の配達が遅いという内容の郵政への苦情が例年よりも2割多いと、朝日新聞(東京本社1月15日付)と日本経済新聞(東京本社2月16日付)の記事で読んだ。
 元日配達に間に合わせるための差し出し時期の目安を、日本郵政公社は「12月25日ごろまでに」と案内していた。差し出す側として「どうしても元日に届けたい」と思うなら、その時期をまもる必要があるだろう。遅く出したのなら元日に間に合わなくても仕方ないはずなのに、文句をいう人がいるようだ。

 年賀状の差し出しが最も多い日は、近年は12月31日になっているという。年末年始の休暇が12月29日以降に始まる場合が多いのだから、当然の成り行きだろう。12月25日ごろでは「新年おめでとうございます」などと書く気分になれないのも、自然だといえる。
 ならば、このサイトの別ページでも唱えているように、元日配達にならなくてもいいと考えている人は、本当に新年を迎えてから年賀状を出すようにすればいい。郵便物の差し出しが分散されることになる。

 これまでの常識として、年賀状の差し出し期間は「松の内」の1月7日までとされている。しかし、正月の期間には地方による差もある。小正月の1月15日に差し出しても、旧正月(本年は2月18日とされる)に差し出しても、本人の自由でいいのではないか。
 こういう習慣が定着すれば、年末年始の休暇に家を留守にする人にとっては、家に帰ってからでも返事が書きやすい。

 お年玉くじ付きの年賀はがき・年賀切手は、あらかじめ販売期間と抽せん日を定めて発行することになっている。今回の場合であれば、1月15日を抽せん会とし、それに先立って1月9日が販売最終日となっていた。在庫が残っていても、1月10日以降は販売できない。
 例年、販売終了時期は1月10日前後、抽せん会は1月15日前後となっている。「年賀状の差し出しは松の内に」という前提で設定された日程なのだろう。
 旧正月で差し出す人のことも考えれば、抽せん会を3月初めころにし、年賀はがき・年賀切手の販売期間を2月下旬まで延ばしたほうがいい。

 郵便事業の収益を考えれば、元日だけの1世帯あての年賀状配達数をできるだけ多くすることがコスト減になるだろうが、12月31日に出されるものが多くては対応しきれない。
 ならば、配達日は分散してでも年賀状は出してもらったほうが、ふつうの日よりは配達数が多いだけコスト減にはなり、利益につなげることが可能だろう。

「年賀状は1月の初めのうちに配達されるべきもの」という国民の過度の期待がなくなれば、郵便物の配達休止が法令で認められている1月2日を再び休配日にすることができる。それによるコスト削減を考えてもいい。

編集中記 もくじ
2007年1月16日(火)
花岡町子への手紙、1970年

 1月8日から、NHKの「朝ドラ」が夜にも放送されるようになっている。好きな人は、同じ放送を1日のうちに5回もみることができる。
 放送時間とチャンネルは、朝7時30分から衛星第2、7時45分から衛星ハイビジョン、8時15分から総合、昼0時45分から総合、夜7時30分からが衛星第2。さらに毎週土曜日の朝9時30分から1週6回分の再放送がある。
 朝7時30分からの衛星第2をみながら「あの出演者はだれだろう」と思ったときは、それが終わった瞬間に衛星ハイビジョンに切り換えれば、7時45分からの放送の頭で確かめることができる。
 前回の「純情きらり」では、衛星第2の朝7時30分の放送がハイビジョン画面ではなかったが、「芋たこなんきん」では衛星第2も含めてデジタル放送分はすべてハイビジョン画面になった。

 今週の「芋たこなんきん」は、1970年春の話になった。先週は1968年初めの話だったが、いしだあゆみ(今回のドラマに出演中)の「ブルー・ライト・ヨコハマ」がヒットする1969年は飛ばして、日本万国博覧会や70年安保闘争の時期になった。
 本日16日、主人公・花岡町子への手紙が画面の中に登場する。12月13日付の記事と同様に、切手を確かめてみる。こんどは封筒があまり大きくは写らず、白い封筒に濃い青の切手がはってあることぐらいしか見えなかった。12月13日付で図を示した1967年7月発行の15円切手が当たりまえに使われていた時代なので、濃い青の切手で問題はない。
 ただ、封筒に赤い郵便番号枠があるかどうか。朝の放送でははっきりとは分からなかったので、夜7時30分からの放送もみた。封筒の大きさは、B5判の便箋を4つ折りで入れる長形4号とみえる。しかし、郵便番号枠はよくみえない。
 郵便番号制は1968年7月の実施で、当時の郵便番号枠は大型枠5ケタ+小型枠2ケタだった。郵便番号制の実施から2年もたっていない時期だが、当時は既に和風封筒にごく普通に郵便番号枠が印刷されていた。ただ、いまの7けたの郵便番号枠にくらべて当時の5ケタ枠は線が細い。それが印刷されている封筒でも、テレビの写し方によっては見えづらいかもしれない。
 もういちど土曜日に確かめる方法はあるが。

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2007年1月15日(月)
「賞品」としては見劣りがする

 本日15日にパソコンの新製品が各社から発表された。その内容をみてしまうと、お年玉つき年賀はがきの1等賞品のひとつであるノートパソコン(昨1月14日付)は、「1世代前の機種」という印象をもたれ、金額が安いという以上に「賞品」としての "ありがたさ" を感じてもらえないキケンがある。

 お年玉賞品として発表されている東芝製パソコンは、画面が15.4型ワイドで、テレビは地上アナログ波が受信できることになっている。
 このパソコンと同じ Qosmio シリーズの本日発表の新製品から、実売価格25万円以下でかつ出来るだけ25万円に近いものを探してみると、F30 / 85A という機種が、ある有名大型店での販売価が22万9800円となっている。画面は15.4型ワイドで賞品機種と同じだが、テレビは地上アナログと地上デジタルの両方が受信できる。CPUCereron M4401.86GHz(賞品機種はM4301.73GHz)、メモリーが標準で1GB(同512MB)、ハードディスクが160GB(同100GB)と差がある。
この機種を含めて Qosmio シリーズの新製品・全6機種が発表されており、テレビ受信機能をみると、そのうち5機種は地上アナログと地上デジタルの両方、1機種だけが地上デジタルだけ(地上アナログ不可)となっている。

 賞品のパソコンを4年間使っても、まだ地上アナログ放送は終わっていない(終了予定時期は2011年7月24日)。しかし、同一シリーズの新製品の全部が地上デジタル放送の受信ができるようになっていると、それが受信できないことが「1世代前」という印象をもたれる要因となる。
 そんな「賞品」を新製品の発売中に郵政から受け取るわけだから、へたをするとメーカーの在庫処理だと誤解されるだろう。
「どうせタダの品物。郵政の賞品なのだから、大したものがもらえるはずがない」と思われていいとでも、考えているのだろうか?

 同じく本日発表になった富士通のノートパソコンから、同じ価格帯でテレビ受信ができるものを探してみると、FMV-BIBLO NX70U/Dという機種がメーカー直系の通販サイトの販売価が24万4800円となっている。製品説明をみると、地上アナログと地上デジタルの両方が受信でき、CPUM4301.73GHz、メモリーが標準で1GB、ハードディスクが120GBとなっている。

 賞品の上限額25万円があれば、ノートパソコンとして新型の上位機種が提供できるわけで、いまノートパソコンがほしいと思っている人がそれなりにナットクできる「賞品」となるはずだ。

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2007年1月14日(日)
お年玉賞品の上限は額面の5000倍

 年賀はがきと年賀切手のお年玉賞品の一覧をみて、「決められた限度額にくらべて安くないだろうか」と感じる。
 賞品1点の限度額は切手・はがきの額面の5000倍、1回あたりの賞品総額の上限は切手・はがきの発行総額の5%と、「お年玉付郵便葉書等に関する法律」によって定められている[注0114]。(切手・はがきの額面は、郵便料金として通用する金額をさす。寄付金の3円や絵入り年賀はがき印刷経費の2円は含まない)
 つまり、お年玉つきの50円の切手・はがきなら25万円、お年玉つきの80円の切手なら40万円までの賞品が出せる。今回の2007年のお年玉つき年賀切手・年賀はがきの発行総額は1913億0435万円となるから、その5%の95億6521万7500円が賞品総額の上限となる。

2007年賀切手53円2007年賀切手83円年賀切手2007クジ赤2007年賀クジ青
今回お年玉つき年賀切手全4種‥タテ長2枚は寄付金つき50円・80円、
小型2枚は写真つき50円(切手本体、番号部分が地色違い)

 今回の1等賞品は、用意されている5点の中から1点を選ぶことになっている。
 その1点「デジタル一眼レフカメラ+プリンタセット」は、製品名がソニーα100ズームレンズキットとエプソンPM-A820と発表されており、パソコンなどを扱う有名大型店の販売額を調べると2点合計で14万7780円となる(必要な付属品を除く消費税込み価格)。
 同じ1等賞品のうち「ノートパソコン」は、型式名は発表されていないものの、メーカー名と写真と機能概略は発表されており、東芝「地上アナログコスミオ」の「F30 / 770LS」を少しだけ高性能にしたお年玉オリジナル機種とみられる。「F30 / 770LS」について前出大型店の販売価格を調べると15万9800円(消費税込み)だった。
 定価を基準にすれば、50円の切手・はがきの賞品の上限である25万円に近づくかとも思ったが、以上のカメラ・プリンター・パソコンともに、オープン価格となっている。
 そして、80円切手について単独で当たりを設定すれば40万円までの賞品が出せるのに、当たり番号を50円の切手・はがきと共通に設定すると、50円切手と同じ25万円を限度にせざるをえなくなる。

 あてにはしていないが、当たるのであれば上をねらいたい。限度額いっぱいの品物が用意しにくいというのなら、金券ないし現金で用意する方法もある。これまでに例はないが、法律では「賞金」も認めている。法定限度額は賞品の場合と同じなので、50円の切手・はがきなら1等賞金25万円、80円の切手なら1等賞金40万円とすることが可能だ。
 お年玉付郵便葉書等に関する法律は、郵政が株式会社になっても存続することが決まっており、運営主体を郵政公社から新会社にするように既に改正手続きが済んでいる。賞品・賞金の限度額などの実質的な内容は、変更されない。

注0114 お年玉付郵便葉書等に関する法律 (現行規定抜粋)
 第1条 日本郵政公社(以下「公社」という。)は、年始その他特別の時季の通信に併せて、くじ引によりお年玉等として金品を贈るくじ引番号付きの郵便葉書又は郵便切手(以下「お年玉付郵便葉書等」という。)を発行することができる。
 前項の金品の単価は、同項の郵便葉書の料額印面又は同項の郵便切手に表された金額の5千倍に相当する額を超えてはならず、その総価額は、お年玉付郵便葉書等の発行総額の百分の5に相当する額を超えてはならない。


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2007年1月13日(土)
パトカーと救急車が同じ車庫に

車庫

 パトカーと救急車とが同じ車庫で待機することがあるのだろうか。
 タクシーも奥に並んでいる。右のパトカーには赤色灯がついていない。左のパトカーは赤色灯をかくしている。緊急車両の出入り口であるのに、電柱や樹木という障害物がある。

 ヘンな車庫だと思った。調べてみると、テレビや映画の撮影に使う車両を貸し出す会社の車庫だということだ。写真ではかくれているが、奥の救急車に「撮影用車両」の表示があった。

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2007年1月12日(金)
切手を使えなくする方策

 10月1日に郵政事業が株式会社化されても当面は、郵便窓口で利用できるサービスやその料金は大きく変わらない予定になっている。しかし、郵便物そのものについて定める法制度に、大きく変わる部分がある。小包郵便物が「郵便物」(郵便法の規定対象)から除外されることだ。
 郵便局は引き続き「小包」を扱うが、郵便物としてではなく、宅配便などと同じ貨物として扱われるようになる。郵便の枠から外れる小包の取り扱い方法の変更内容が、まだ発表されていない。次のような疑問に、新郵政はどんな答えを出すだろうか。

 (1) 書留や速達などの特殊取扱に相当するオプションが、(郵便ではない)小包のために設けられるか?
 (2) 小包の一種であるエクスパック500・ポスパケット(簡易小包)・冊子小包の差し出しに、郵便物のための差し出し箱であるポストが使えるのか?
 (3) 小包の料金の支払いに、郵便切手が使えるのか?

 (1)(2)(3)ともに、新制度では「ダメ」になってもおかしくない。
 たとえば(3)。株式会社化にあたって改正される郵便法に次の規定がある。

 郵便法(改正後)第28条(料金支払の方法及び時期) 郵便に関する料金は、この法律若しくはこの法律に基づく総務省令又は郵便約款に別段の定めのある場合を除いて、郵便切手で前払をしなければならない。[第2項略]

 小包の料金は「郵便に関する料金」ではなくなるので、切手が使えなくなったとしても、まったくおかしくない。
 改正前の現在でも、郵便物(小包を含む)の種類によっては、料金支払いに切手が使えないように総務省や郵政公社が定めたとしても問題はない。上記の第28条(改正後)は、現行規定注0112Aの字句修正をしただけのもので、現在も同じ趣旨の定めがある。

 ふつうにポストから差し出す郵便物は、切手をはる方法をとらないと料金が払いにくい。しかし、大口割引の郵便物であれば、切手での支払いを認めないことを条件に受け付けることにしても、問題は生じない。
 いま、1通1通には切手をはらない料金別納郵便物の料金は、その合計額の切手または現金で支払うことになっている。これが株式会社化の前、2007年7月1日からは、別納郵便物のうち料金割引率の高い「広告郵便物」と「区分郵便物」について、切手での支払いが認められなくなる(日本郵政公社1月11日発表)。

 現時点では、1カ月に差し出した郵便物の料金合計額を後払いする「料金後納郵便」の料金は、現金で支払うことが義務づけられている。
 いま郵便物の中でも利用が増えている冊子小包は、料金後納郵便にすることを条件に、1カ月分の差し出し数が多い場合に料金割引率を高くする方法をとっている。切手での料金支払いを避けるようにできた制度だった。

 郵便事業が株式会社化される2007年10月1日以後も、日本郵政公社以前の切手は有効とされる注0112B。その切手が大口で使われては、新郵政として実質収入にならない。
 1960年代・1970年代の切手ブームのときに集められた10円・15円・20円の記念切手のシートよりも、ブームでもないのに大量発行された1980年代の60円の記念切手シートが放出されるほうが、新郵政には重荷になる可能性がある。

注0112A 改正第28条は、次の現行郵便法第32条を修正したもの。(青色部分が変更される)
現行郵便法
第32条(料金納付の方法及び時期)郵便に関する料金は、この法律若しくはこの法律に基づく総務省令又は郵便約款に別段の定めのある場合を除いて、郵便切手でこれを前納しなければならない。[第2項略]
注0112B 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第60条第4項で規定。詳細は「切手、22額面からの選択」のページを参照。

8号ポスト
差し入れ口の横幅が19cm、A4のエクスパックが出せない従来型ポストも多く残る。

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2007年1月11日(木)
「民営化」という言葉の悪用

 2007年10月1日に、郵政が「民営化」されるという。いったい「民営化」とは何なのか?

 旧国際電信電話(KDD)や旧日本航空のときは、それぞれ政府持ち株が完全に放出済みになった時点で「民営化」といった。両社ともそれまでは「国営」または「半官半民」とよばれる「特殊会社」だった。

 旧日本国有鉄道のときは、旅客鉄道各社や貨物鉄道会社の株式会社になった時点で「民営化」とよばれた。その「民営化」時点では、株式の総数を政府機関(当時は国鉄清算事業団)が保有していた。
 旅客鉄道会社のうち東日本・東海・西日本の3社は、政府機関持ち株の総数が既に放出されている。その売却完了時点では「完全民営化」とよばれた。旧国際電電・旧日航のときには単に「民営化」だったはずだ。

 旧日本電信電話公社の場合は、日本電信電話株式会社(NTT)に改組された時点で「民営化」とよばれたまま、「完全民営化」はしていない。
 というのは、もともと完全民営化を予定していないためだ。
 政府が常に株式の3分の1以上を保有することと、役員選任や事業計画決定などに総務大臣の認可を必要とすること、業務を総務大臣が監督することが、法律で定められている。そのため、株主総会での重要事項の決定に政府が実質的に拒否権をもち、経営に政府が関与できる。
 このような形態の会社は、「特殊会社」とよばれ、「民間」の会社とは異なるものとして認識されるのが一般的だ。

 郵政の「民営化」の場合は、2007年10月1日時点では、「株式会社化」されるにすぎない。「郵政民営化法」という名の法律が定められているが、その内容をよく読めば、今回の株式会社化だけをさして「民営化」といっているわけではなく、そのあとの株式放出などによる経営方法の変更の道筋をさして「民営化」といっていることが分かる。
 2007年10月からの郵政事業は、日本郵政株式会社という持ち株会社(2006年1月設立済み)のもとに、郵便事業株式会社・郵便局株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険に分割される。
 このうち「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」は、2017年9月末までの10年間で「完全民営化」するように法律が定めている。
 しかし、持ち株会社の日本郵政は、「完全民営化」はしない"NTT方式"をとることを法律が定めている。
 郵便事業会社と郵便局会社は、日本郵政の100%出資の完全子会社のままにする。持ち株会社の日本郵政は、3分の1を超える株式を政府が保有することで完全に拒否権をにぎる。あわせて、持ち株会社の役員選任と、子会社を含めての事業計画決定などに総務大臣の認可を必要とし、郵便関係の法律に基づいて各社の業務は総務大臣が監督する。

 完全民営化を目ざさない理由は、当然、それが公共事業であるためだ。万国郵便連合(UPU)の加盟各国とは郵便の取扱方法についての条約も締結しているため、それを誠実に実行するためには政府として郵便事業経営に関与する責任が生じる。

「民間にできることは民間で」とは言ってみても、公共事業の「民営化」には限界がある。本当に民営化するのなら、会社名に「郵」と付けるわけがない。
 2007年10月時点での組織変更は、あくまでも「特殊会社化」あるいは「株式会社化」だ。これを "ワンフレーズ" で不必要に「わかりやすい」と思わせる言葉こそが、「民営化」だろう。

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2007年1月8日(月・祝)
「成人の日の記念行事」か、「成人式」か

 私が20歳の時期、地元の市は「成人の日」の行事の対象者への案内状は発送しないことに決めており、該当者で参加希望の人は申し出てほしいと広報紙で呼びかけていた。
 誕生日は366日に分散している。既に数カ月前に私自身は20歳になっている。そうであるのに1年分ひとまとめに「本日から皆さんは大人の仲間入りです」など告知される行事は、大人の人権を無視している。−−そのように考えて私は出席しなかった。いまだに考え方が変わっていない。

 その成人の日の記念行事をなぜ「成人式」とよぶのか、言葉づかいに厳しいはずのマスコミがなぜ「成人式」を使用制限していないのか、理解できない。
 卒業式であれば、その式のときに一斉に、資格をもった人が卒業する。入学式・授与式・結婚式などといった「式」というものは、その対象となる人が一斉に何かを行う(何かを得る)行事であるはずだ。
 成人の日は、行事参加者が一斉に成人するわけではない。「成人式」とよぶことが不適切であるということは、自治体も気がついているのだろう。行事の名は「成人の日のつどい」「成人の日を祝う会」というように付いている場合が多い。「成人の日のつどい(成人式)」のように表記している自治体もあるが、インターネットで行事案内を探す人のためのキーワードとして「成人式」を加えていることが分かる。

 そもそも、成人の日に「本日、皆さんは大人の仲間入りをしました」と認証するような行事を開くことを決めた法令はない。
 成人の日とは、「おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」と定められている(国民の祝日に関する法律第2条)。「本日から大人です」と告知する成人式をこの日に行うことを法は求めていない。
 どうしても成人式を行いたいのなら、自治体は成人式を毎日開き、その日ごとに成年に達した人をよぶのがスジだろう。
 もちろん、成人の日の記念行事を催すこと自体は法の趣旨に沿っている。だったら、「建国記念の日」や「憲法記念日」などの祝日にも何かを行わないといけない。

 1986年4月2日生まれの人であれば、昨2006年4月1日の終了時点で20歳に達している。1987年4月1日生まれの人であれば、2007年3月31日の終了時点で20歳になる。本日2007年1月8日の昼間に成人の日の行事があったとすると、出席している「新成人」のうち1987年1月9日から4月1日までに生まれた人はまだ成年に達していない。その未成年者に対して、主催者が「大人としての自覚」を求めていいのだろうか。[注0107A]
 一方で、成人しているのに、成人の日の行事の対象外になっている人がいる。
 満20歳に達していなくても、結婚したとき(婚姻届を出した場合)には成人として扱われる[注0107B]。ふつう未成年者に対しては親権によって財産管理などが行われるため、結婚した人は成人として扱わないと社会・経済活動がうまく動かなくなるためだ。
 成人の日の行事の参加者を「昭和61年4月2日から昭和62年4月1日までの出生者」(前出の市の今回の案内から)と限っているとしたら、やはり法の趣旨に反している。

注0108A 年齢計算ニ関スル法律
年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス [以下略]
[同条の要旨‥年の初めから起算しないときの期間(年数)は、その計算対象となる最後の年での起算日応当日(同月同日)の前日に満了する。応当日がないときは、その月の末日に満了する]
注0108B 民法
第4条(成年)年齢二十歳をもって、成年とする。
第753条(婚姻による成年擬制) 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。


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2007年1月7日(日)
「南房総」という地名の違和感

 市町村合併によって出来た新しい市の名前には、その地域の人には申し訳ないが、「ヘンな地名」「きちんと考えて付けたのか」と思うものが多い。
 このごろテレビ・ラジオなどで聞くたびに「ヘンだ」と気になる地名に、「南房総市」というのがある。

 南房総市は、千葉県安房(あわ)郡の7町村が合併して2006年3月20日に発足した。房総半島の南端に位置する。
 それまでに出来た南アルプス市(山梨県)や西東京市(東京都)などの名に人々が慣れてしまったのか、南房総市という新市名はさほど問題にはなっていなかったと思う。
 房総半島の南部にある以上は「南房総」でおかしくないし、すでに「南房総国定公園」(1958年指定)という自然公園だってある−−という意見は多いだろう。

 なぜ、「ヘン」なのか。
 旧・安房国(あわのくに)の地域に出来た市であるのに、「南房市」となぜ「総」を入れるのか? 

 房総とは、安房上総(かずさ)・下総(しもうさ)三国をあわせての呼称だ。安房国の地域をわざわざ「房総」と名づけたら、戦国時代であれば上総国との戦(いくさ)になりかねない。上総国には下総国の援軍があるだろう。
 そもそも「南房総国定公園」という名前がおかしい。この国定公園は、安房国と上総国とにまたがっている。だから「房総国定公園」という名でも、「安」が含まれている以上は房総半島の南部を含むことがわかる。「房総国定公園」では広すぎると感じるなら、「南房総半島国定公園」あるいは「房総半島南部国定公園」とすればいい。

 かつて安房・上総・下総三国を示した「房総」という言葉が、房総半島という言葉に引きずられて、半島全体を示す「1語」の地名として人々に認識されるようになったのだろう。実際のところ、いま「内房(うちぼう)」「外房(そとぼう)」というとき、安房国(房総半島南部)の海岸地域ではなく、それより北の上総国の海岸地域をさして、西側を内房、東側を外房と呼んでいることが多い。だからこそ「南房総市」の名が不自然だとは感じないのだろう。

 南房総市の地域の町村合併にあたって私が責任者だったら、「南房総」という名そのものがもつ "非論理性" を住民にしっかりと説明し、「安房市」という名を採用した。

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2007年1月5日(金)
(たる)ごしに見るか、電線ごしにみるか

富士山20070105

 新年に入って初めて、富士山がはっきりと見えた。山頂のほぼ東およそ75kmの地点から見ている。この75kmがその前後とともに晴れわたり、湿度が低くないと、しっかりとは見えない。
 あいわからずの鉄塔・電線ごしだが、見えた瞬間に撮影しておかないと、すぐに天候が変わる。この写真は5日朝10時ちょうどのものだが、その1分後に撮った写真では山頂への日当たりがやや弱くなり、11時までには西側の空が曇って山頂が見えなくなってしまった。


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2007年1月4日(木)
年始でも遅れない郵便物、年始だから遅れる郵便物

機械日付印20070101
1月1日付で「年賀」とある消印(左)は前年12月に出された年賀特別郵便、
1月1日付で「8−12」のように時間帯のある消印(右)は元日に集められた郵便物。

 年賀状や暑中見舞い状など郵便物をまとめて差し出すときには、同じ形の郵便物を同時に自分あてにも差し出すことにしている。その郵便物が自分に届けば、ポストの集め忘れなどのミスがなかったと推定できる。その消印の日時から、相手方への到着時期を予想することもできる。
 年賀状の時期の郵便物の場合、毎年わかることは、2つ口ポストの「年賀郵便」の口からお年玉つき年賀はがきの年賀状を出すよりも、年賀とは表示しないで切手をはった私製はがきを「一般の郵便」として出したほうが早く届くということだ。ほかの人からも、同様の話をきく。
 今回、1月1日・8−12時の消印の私製はがきは、1月2日に配達された。元日の朝7時台の最初の取り集め便で運ばれるように、前日12月31日の深夜に「一般の郵便」の口から差し出したものだ。
 翌1月2日消印の私製はがきは、時間帯表示が8−12時のものも18−24時のものも、1月3日に配達された。
 しかし、1月1日・8−12時の消印となった私製はがきと同じく12月31日深夜に「年賀郵便」の口から差し出したお年玉つき年賀はがきの配達は、1月4日になった。

 ポストの「年賀郵便」に差し出したお年玉つき年賀はがきの年賀状は、基本的に消印を省略する。だから、「年賀郵便」として分けて取り集める意味もあるのだろう。
 ところが、この時期は「一般の郵便」が少ない。そのために、消印の作業が不要になるとはいっても、通数の多い年賀状の処理作業のほうに時間がかかってしまうことになる。
 消印がないだけに、配達が遅くなったとしても、いつ差し出したものなのかは受取人には分からない。

 ポストの「年賀郵便」のほうが配達が遅くなるということが多くの人に分かってしまうと、ポストの口を「年賀郵便」と「一般の郵便」とに分ける意味がなくなる。
 このコラムの12月28日付で紹介したとおり、お年玉つき年賀はがきで差し出された年賀状は、ふつうの手紙・はがきなど他の種類の郵便物といっしょにポストの中に入っていたとしても、郵便局の機械で自動的に選び出すことができる。また、ポストに年賀郵便専用の口をつくらなくても、ポストに年賀状は束にして出すことにすれば、他の郵便物と区別しやすい。

 2つ口のポストを「年賀郵便」と「一般の郵便」とに区別しているのを見て、いつも感じる。
「作業効率化のための役割はなく、いまは年賀郵便の受付期間ですよという宣伝の意味でしかないのではないだろうか」

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2007年1月2日(火)
電線のむこうにみえる富士の山

富士山20070102

 郵便利用法のページで年賀状を元日に差し出すことを提案しているが、私個人としては、元日に撮った写真を年賀状に印刷して当日中に差し出そうと考えた。
 昨年末、「天候さえ良ければ、富士山の写真が撮れるはずだ」と、下見のために近所を歩いてみた。

 カラッとした晴れではなかったため、富士山の姿は少々かすんで見える。レンズでのぞいてみると、かすんでいること以上に、手前に障害物が多いことに気づく。
 まず、送電線。それなりに高い場所に行っても、すぐ2kmほど先の高台の送電線が写真に入りこむ(写真上)。
 場所によっては、すぐ近くの電線が絵をこわす。遠くの送電線だけでなく、頭上に電気・電話・ケーブルテレビの線がからんでいる(写真下)。この近辺にビルを建てれば、電線にじゃまされない富士山の写真か撮れるのだろうが、こんどはそのビルが障害物と嫌われるのだろう。

電線と富士山

 迎えて2007年元日、結局は別の写真を撮って年賀状をつくった。当日中に差し出すことはできたが、1月1日付の消印が押されるように差し出すことは難しい。

 元日の朝、この土地から富士山は見えた。しかし、カラッとした晴れではなく、だんだんと雲が厚くなり、午前10時過ぎには見えなくなっていた。

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2006年12月31日(日)
再放送への感じ方

 関西テレビなどが制作したドラマ「結婚できない男」全12回を、12月下旬のフジテレビ(関東地区)の再放送で見た。じつは7月から9月の本放送のときも見ている。思い出してみると、フジテレビで放送されるドラマをみるのは、「101回目のプロボーズ」以来だ。
 同じドラマを複数回みると、初めは分からなかったことが見えてくることがある。ドラマの主人公は40歳の建築家・桑野信介で、この男をさして「結婚できない男」といっているようだが、一方で、30代半ばとみえる医師・早坂夏美もほとんど主役となっている。
 番組タイトルは、「結婚できない男と女」でも「結婚できない女」でも、内容に適している。でも、そのタイトルでは視聴者から反感をかうだろう。

 年末にNHKで放送された「宮廷女官チャングムの誓い」総集編も、全5部をみた。
 本編の全54話分をまとめた割には、総集編はそんなに急いでいるとは感じない。ストーリー展開に大きく関係するシーンは、できるだけカットしないようにしたようだ。もともと本編1話の中での話の展開は大きくないわけで、総集編ではカットできる場面はそれなりに多くなるだろう。
 本編の最後の場面も、総集編ではカットされた。
 総集編での最後は、チャングムの家族3人が海辺を歩いている場面。主人公である医女チャングムに、夫のチョンホは「人の体に刃物をあてることだけは、やめろ。約束してほしい」と言い、チャングムは「約束できません」と笑いながら答える。
 本編をみたとき、「ここで終わりだ」と思った場面だった。
 しかし本編では、このあと、出産をひかえて苦しむ女性に出会い、いまでいう帝王切開の方法でチャングムが出産を助けるという場面が続く。日本のドラマに慣れてきた自分としては、蛇足に感じた場面だった。そんな場面をつくらなくても、そのような事件がおこりそうな雰囲気をもたせてドラマを終わりにすればいい。同じことを、総集編の制作者も、感じていたのではないだろうか。
 好みの問題だと言われればそれまでだろうが、描き方が「結婚できない男」とは好対照だという印象がのこった。

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2006年12月28日(木)
年賀はがきが赤い色で印刷されるワケ

 NHKの連続ドラマ「芋たこなんきん」の時代がいつなのか、このコラムの12月16日付(追記)で1967年10月〜12月と予想していたところ、2006年12月下旬放送分の舞台が1967年12月であるということをナレーションで明らかにしていた。
【注:芋=いも / 1966年=昭和41年、1967年=昭和42年、1968年=昭和43年】

 人気小説家となった主人公・花岡町子あてのファンレターとして届いた7円はがきは、このコラムの12月13日付・写真Aの夢殿の図で、1966年7月1日発売のものだった。翌1967年8月には、飛天の図の7円はがきの発売が始まっている。1967年12月であれば、まだ夢殿のはがきでも、おかしくない時期だろう。
 さらに1968年6月1日には、翌月からの郵便番号制導入にそなえて、飛天の図のまま5ケタ郵便番号枠が上部に加えられた7円はがきが発売される。翌1969年10月1日からは、差出人の郵便番号を記入する赤枠が表面左下に加えられた7円はがきが発売される。
 はがき料金が7円だった5年半ぐらいの間(1966年7月1日〜1972年1月末日)に、7円普通はがきは4種類も発売された。ドラマの画面に再び7円はがきが登場することがあるとしたら、いつの時期のものになるのか、楽しみに待ちたい。

はがきの印刷色
飛天の7円はがき(1967年発売)、現行の50円はがき、同インクジェット紙、2007年の年賀はがき
‥それぞれ、料額印面(切手部分)の上辺と下辺とで平行棒ができている。


 1967年夏に7円はがきをなぜ変更したかといえば、郵便局の作業の機械化のためだった。ポストから集めた郵便物は、取りそろえ(一定方向にそろえて束にまとめる)をして日付印を押し、そのあと、あて先別に区分される。あて先区分のための郵便番号は1968年7月に導入されたわけだが、その1年前から、取りそろえと押印を一体化した機械化が始まった。
 このときに導入されたシステムでは、定形サイズの封筒・はがき1通1通の表面の切手部分がどこにあるのかを機械検知し、これによって郵便物の向きをそろえて消印する。
 切手部分をどのように機械が認識するかというと、印面の上下に印刷されている平行棒を読み取るという方法をとる。
 切手・はがきの印面は天地(上下)幅を22.5mmにし、その上辺・下辺ともに、印面内側に向かって天地幅0.5mm以上を、特定の1色でぬりつぶしたデザインにする。これによって「平行棒」かできる。これを機械が認識する。

 平行棒の色が青・緑系統である場合は、普通便の郵便物であると機械が認識し、そのまま消印する。平行棒の色が赤・オレンジ系統の切手類を含む場合は、普通便ではないと判断し、消印をせずに普通便とは別に集積することができる。
 この平行棒検知の方式は、切手の大きさや絵柄に制約が生じる。そのため現在では、平行棒が認識できないときは紫外線照射反応で検知する方式に改善されている。それでも日本郵政公社発行のはがき(旧来の「官製はがき」)は、平行棒で検知できるように料額印面(切手部分)がデザインされている。

 お年玉つき年賀はがきは、毎年毎年、料額印面が必ず赤で印刷されている。普通の郵便物といっしょにポストに差し出されても、郵便局の機械で自動的に年賀特別郵便を区別することを意図したものだ。

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2006年12月27日(水)
休日についての説明が足りない手帳

 2007年版の手帳でカレンダーを調べたところ、国民の祝日(以下「祝日」)やその他の休日についての説明は、不十分なものが大半だった。
 多くの種類の手帳を出版している3社の製品をみると、2007年からの祝日の変更(4月29日が「昭和の日」、5月4日が「みどりの日」) については各社ともにカレンダーに注記がある。しかし、注記が必要な事柄はこれだけではない。このコラムの12月22日付の内容を注記として示さなければ、手帳の利用者に対する説明として適切さを欠いたものとなる。

 A社の手帳を例にとる。
 2008年以降の「春分の日」と「秋分の日」の日付は、予想であるということは書いていない。そのため、掲載された日付で確定しているという印象を与える。
 振替休日が火曜日以降になる場合があるということは、説明がない。2008年5月6日の火曜日は、何もなかったかのように赤色で印刷されているだけとなっている。
 今後の法律改正によって祝日が変わる場合がありうるということは、書いてある。
 もし2008年以降の春分日や秋分日が現時点での予想と変わったとしたら、法改正を理由にするつもりだろうか。
 同社のWebサイトも見た。火曜日以降に振替休日かくる場合があることについては説明があった。しかし、2008年以降の「春分の日」「秋分の日」の日付が予想であり、それがいつ確定するかということは書いていない。

 手帳やカレンダーは、国立天文台が毎年2月1日に翌年の暦要項(れきようこう)を公示することによって春分日・秋分日が確定した時点で、製造を始める。
 だから、手帳に掲載されている電話番号・郵便料金・鉄道路線などのデータは、同様に「2月現在」と明記されている場合が多い。
 そうであるのに、手帳に掲載されるカレンダーには「2月現在」と明記されない。"製造物責任"が問われる可能性がないと思って、注記の必要を編集・制作者が感じていないのだろうか。

「このカレンダーは2006年2月1日現在で確定している制度に基づくものです。2008年以降の春分日・秋分日は予想に基づくもので、それぞれ前年2月に確定します。法改正により今後の休日は変更になる場合があるので、確定した春分日・秋分日とあわせて、当社ホームページでご案内いたします」
 このような注記があれば、その心づもりで利用するわけで、それで問題はまったくないはずだ。

 2007年1月1日施行の「国民の祝日に関する法律」の一部改正法は、2005年5月20日に公布された。すぐに施行されなかったのは、法改正を国会で審議していた時点で既に翌2006年の手帳やカレンダーが製造されていたことに配慮したためだ。
 その一部改正法の公布から半年以上たって発売された携帯電話機を、いま持っている。内蔵カレンダーでは、発売時点で確定していない2007年以降の「春分の日」「秋分の日」は記されていた。しかし、2008年と2009年の5月の連休で5月6日の火曜日または水曜日は、平日のままになっていた。

編集中記 もくじ
2006年12月22日(金)
火曜・水曜でも振替休日に

 店の休業日を「祝祭日」あるいは「祭日」「祭」と記した広告を見ることがある。国民の祝日に関する法律(1948年施行)が「国民の祝日」を休日と定めているのだから、私が作る広告では「祝日」または「祝」と書く。
 2007年1月1日、国民の祝日に関する法律(以下「祝日法」)の一部改正法が施行される。この改正により、すでに2007年のカレンダーに印刷されているとおり、国民の祝日(以下「祝日」)ではなかった5月4日が「みどりの日」として祝日に指定され、昭和の「天皇誕生日」から「みどりの日」に変わった4月29日は「昭和の日」という祝日に再変更になる。
 あわせて、祝日に関係して設けられる休日が次の2点で変更されている。

(1) 祝日と日曜日が重なったとき
 日曜日が祝日のときは、これまでは翌日の月曜日が休日になった(いわゆる振替休日)。これが2007年からは、祝日の日曜日の後の最初の"祝日以外の日"が休日になる。ふつうは月曜日が振替休日になるが、5月上旬の連休には火曜日や水曜日が振替休日になる場合がある。
 2007年は当てはまらないが、2008年は5月4日「みどりの日」が日曜日であるために翌5日「こどもの日」のあと火曜日6日が休日になる。2009年は5月3日「憲法記念日」が日曜日であるために4日・5日の連続祝日のあと水曜日6日が休日になる。
 2007年用の手帳に掲載されている翌2008年のカレンダーで、5月6日が休日と示されている。が、それについて説明が書いてあるだろうか?

(2) 祝日間隔が中1日のとき
 5月4日を祝日や休日にすると直接に表現した規定は、以前はなかった。
 これまでは、前日も翌日も祝日である日は、その日が日曜日でも振替休日でもなければ休日にすると規定していた。5月4日が火曜日から土曜日であっても必ず休日になるように仕組まれた規定だ。
 その5月4日も祝日になったため、規定が以前のままだと、5月4日は"祝日"であると同時に"祝日間の休日"にもなってしまう。そこで改正法は、前日も翌日も祝日である日は、その日が祝日でない場合には休日にするということになった。

 5月4日が祝日になるのであれば、中1日の規定そのものが不要になるのではないか? そう思ったが、よく考えてみれば、9月に「敬老の日」と「秋分の日」が中1日で並ぶ可能性がある。
 祝日法で「敬老の日」は「九月の第三月曜日」であるため、いちばん遅い場合で9月21日になる。2009年には9月21日(月)が「敬老の日」となる。翌々日の9月23日(水)が「秋分の日」となれば、はさまれた9月22日(火)が休日になる。その結果、2009年9月20日(日)〜23日(水)の4連休ができる。
 とはいっても、2009年の「秋分の日」が何月何日になるか、まだ決まっていない。
 祝日法は、「春分の日」と「秋分の日」は月日を示さずに、それぞれ「春分日」「秋分日」と指定している。その春分日・秋分日の月日は、毎年2月1日の「官報」で国立天文台が翌年の暦要項(れきようこう)を公表することによって確定する。
 国立天文台では、地球の運行状態が現在と変わらないと仮定した場合の春分日・秋分日を計算し、2030年分までの予想は発表している。この予想によると2009年は9月23日(水)が秋分日になる。そのとおりなら、4連休が実現する。
 しかし、地球の運行が変われば、予想どおりにならない可能性がある。2008年2月1日付の「官報」が出るまでは、2009年の「秋分の日」は確定しない。
 以上、祝日に関する法令と暦要項の公表方法に今後の変更がないという前提で想定した。

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