東京電力福島第一原子力発電所では、ことし原子炉の冷却を続けるとともに、最長40年で作業終了を目指す「廃炉」に向けて準備するという二重の課題を、いかに進められるかが問われる1年となります。
政府は、先月16日、福島第一原発の事故の収束に向けた工程表について、ステップ2の達成を宣言し、政府と東京電力は最長40年間かけて1号機から3号機で原子炉から溶け落ちた核燃料を取り出したうえで、原子炉や建物を解体するという新たな工程表を公表しました。このなかで、ことしは4号機の使用済み燃料プールで来年までに燃料を取り出し始めるため、爆発した原子炉建屋のがれきの撤去を進め、廃炉に向けた準備として、原子炉建屋内の除染や格納容器の修理に向けた研究開発などに取り組むことになります。また、福島第一原発では、今も熱を出し続ける核燃料を冷却するために原子炉の注水や汚染水の処理のための設備の合わせて4キロある配管を半分に短くしたり、汚染水から放射性ストロンチウムなどを取り除く処理設備を新たに設置したりする計画で、ことしは原子炉冷却と廃炉に向けた準備という二重の課題をいかに進められるかが問われる1年となります。東京工業大学の二ノ方壽教授は、(にのかた・ひさし)「配管を流れる汚染水は常に漏えいのリスクがある。リスクを小さくするために、建物への地下水の流入を止めるとともに、汚染水の浄化設備をもっとコンパクトにしていかなければならない」と話しています。