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【福井】JAXA採用で1月末に実施 県立大のタンパク質結晶化
県立大は27日、カニの殻などに含まれる物質「キチン」を分解するタンパク質を結晶化させる試みが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙実験募集枠に採用されたと発表した。2012年1月末から国際宇宙ステーション「きぼう」で実験。キチンを分解した物質には、免疫増強や美肌効果があるとされる。大学は「結晶構造を解析し、分解物質の量産にこぎ着けられれば、免疫増強や関節症の改善など、健康機能性食品の開発につながるかもしれない」と期待する。 キチンを分解した物質で、注目されているのはアセチルグルコサミンと、その結合体のオリゴ糖。ただ、キチンは濃塩酸を使ってようやく分解できるほど加工処理が難しく、大学によると「コスト、環境的にも負荷が大きい」という。 県立大生物資源学部の木元久准教授らのグループは7月、あわら市にある畑の土壌細菌から、キチンを分解する強力なタンパク質(分解酵素)を発見。オリゴ糖などの大量生産に向け、このタンパク質を結晶化させ、構造解析することが期待された。だが、重力のある地上での実験では、タンパク質溶液の濃度が不安定となり、質の高い結晶化は難しかった。 そこで無重力空間を利用できるJAXAの実験枠に応募。今月に採用が決まり、このタンパク質溶液を入れた結晶生成装置がロケットに積まれ、カザフスタンのロシア・バイコヌール宇宙基地から「きぼう」に向け、1月26日に打ち上げられる。 ステーションのスタッフが「きぼう」の日本実験棟内に持ち込んで、蒸発による自然結晶化を待つ。結晶は3月16日に回収される予定。その後、県立大で解析し、8月ごろには結果が分かるという。 (吉野淳一) PR情報
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