放射性物質を取り除く除染についての特別措置法が1日に施行され、8つの県の102の市町村が国の費用負担を受けて、今後、本格的な除染を行うことになりますが、全体の90%が作業に伴って出る土などの保管場所をどう確保するが難しいと考えるなど、多くの自治体がさまざまな課題や懸念を抱えていることが分かりました。
1日施行された特別措置法では、1時間の放射線量が0.23マイクロシーベルト以上の地域について、自治体が国の費用負担で除染を行うことになっていて、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の8つの県の102の市町村が指定を受けています。NHKが各自治体に取材したところ、56%に当たる57の市町村が、除染計画の策定などを行う「放射線対策室」や「原発事故対策室」といった専門の部署をすでに発足させたか発足させることを決めるなど準備を進めていました。一方、今後の課題や懸念材料を尋ねると、およそ90%の92の市町村が除染で出る土などの保管場所をどう確保するかが難しいと考えていることが分かりました。また、47%の自治体は除染をしても住民が安心できる程度まで放射線量が下げられるかどうかを課題に挙げたほか、40%の自治体は放射線量によって国の費用負担を受けられる地域と受けられない地域が出ることで住民に不公平感が広がることを懸念しています。さらに観光地を中心に34%の自治体が除染の対象地域に指定されたことの風評被害を懸念していました。原発事故から10か月近くがたち、本格的な除染を行う仕組みは整ったものの、多くの自治体がさまざまな課題や懸念を抱えていることが浮き彫りになっており、国がどこまで支援できるかが問われることになります。