沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題で、政府は、環境影響評価書を沖縄県庁に運び込みましたが、地元は一段と反発を強めています。政府内では、ことし移設に向けた手続きが進まなければ、普天間基地の固定化が現実のものとなりかねないという懸念もありますが、沖縄側との隔たりは大きく、解決に向けた道筋は見通せない状況です。
日米合意に基づく普天間基地の名護市への移設計画を巡り、政府は、市民団体などによる抗議行動を避けるため、先月28日、午前4時すぎという異例の時間に環境影響評価書を沖縄県庁に運び込みました。沖縄県は、評価書の受理を正式に確認するのは、今月4日以降になるとしています。日本政府が評価書の提出を急いだ背景には、アメリカ議会が普天間基地の移設の実現が不透明なことを理由に、沖縄の海兵隊のグアムへの移転に関する予算を凍結しており、移設に向けた手続きが進んでいることを示す必要があったからです。ただ、ことし、さらに明確な進展がなければ、アメリカ軍の沖縄に関わる再編計画全体が白紙になり、普天間基地の固定化が現実のものとなりかねないという懸念もあり、政府は環境影響評価の手続きが完了しだい、移設に必要な名護市沿岸部の埋め立て許可を仲井真知事に申請したい考えです。しかし、沖縄側の反発は一段と強まっており、市民団体側は依然として評価書の受理に反対しているほか、仲井真知事は普天間基地の県外移設を求める考えに変わりはないとしています。政府は、ことしが正念場になるとして、沖縄県側に働きかけを強めることにしていますが、沖縄側との隔たりは大きく、解決に向けた道筋は見通せない状況です。