福岡市は、首都圏で大規模災害が起きた際に行政機能や経済活動をバックアップしていく補完拠点都市を目指す方針を固めた。12年度予算案に有識者会議設置費など、数百万円規模の調査検討費を盛り込む。東日本大震災を受け、国土交通省は補完拠点都市選定に向けた検討を始めており、福岡市は首都機能分散の受け皿として、国に本格的に働きかけていく。【門田陽介、徳野仁子】
福岡市の高島宗一郎市長は11年末の12月議会で「首都機能や経済機能を含めたバックアップにふさわしい都市・福岡市の優位性のアピールに取り組みたい」と発言。市幹部は関係する中央省庁などを回り、交通網や港湾機能、アジアに近く大津波の危険性が少ない地理的優位性などについての説明を始めている。有識者会議には、地元経済界のほか、防災や国土政策、情報通信の専門家らの参加も呼びかけ、福岡市が受け入れ可能な機能などを検討する計画だ。
市は、首都機能の一部をバックアップすることで首都圏からの企業誘致をしていく構想も練っている。市幹部の一人は「4月にも議論を始め、補完拠点都市候補として本格的に手を挙げたい」と語った。
国交省は11年12月に「東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会」を既に2度開催。外交、防衛、警察、金融など補完する機能の種類・範囲や、バックアップ先の条件などを協議し、12年3月までに意見をまとめていく。
検討会はバックアップ先となる具体的な地域選定まではしないが、震災後に国が設置した有識者による「防災国土づくり委員会」は、「東京圏と同時被災する可能性の低い地域との分担が重要」「日本全体を太平洋側・日本海側に区分し、それぞれ有事に機能を分担する体制の構築」などを提言している。
首都機能バックアップを巡っては、大阪府の橋下徹知事(当時)が、東京の都市機能を補完する「副首都」を目指す考えを明らかにしているほか、群馬県も首都機能の誘致を目指している。
毎日新聞 2012年1月1日 9時19分(最終更新 1月1日 20時41分)