「おはようテリー。朝ご飯できてるわよ」
目の前で微笑むのは僕の姉であるミレーユ。
そしておそらくDQ6の仲間キャラクターであるミレーユだ。
僕には前世の記憶がある。
死因はもう覚えていないけどDQ6というゲームの記憶は良く覚えている。
なぜなら小学生のなったばかりの当時、初めて親に買って貰ったゲームだからだ。
「うん。すぐ行くよ姉さん」
そう子供らしく返事を返すが、最近は気が気でない。
今後ゲーム通りに事が進むのなら、ミレーユは奴隷として売り飛ばされてしまうのだ。
ゲーム内のテリーは凄腕の剣士だった。
それはミレーユを守れなかった自分を恥じ、同じ過ちを犯さない様鍛えた結果だと思っている。
「どうしたの? 難しい顔をしながらゴハンを食べているけど」
「何でもないよ。心配かけてごめんね姉さん」
良かったと安堵したミレーユは天使の様な笑顔を浮かべている。
結果的に助かるとはいえこの人を危険な目に遭わせたくない。
そこで、ミレーユを助けるため僕は策を練った。
また前世の話に戻るが、小学生時分育成型RPGとしてポケ○ンの次に流行ったゲームがあった。
それはテリーのワンダーランド、略してテリワンである。
幼少期のテリーが異世界のタイジュという国に行き、モンスターマスターを目指すゲーム。
最終的には敵国のマルタの国代表として出てくるミレーユを倒すとエンディングを迎えられる。
僕のミレーユを守る策は、その際の仲間モンスターをこちらの世界に連れ帰るという単純なものだ。
「僕は最強のモンスターマスターになる!」
「あらあら。魔物まで味方につけるとは優しいテリーらしい夢ね」
どうやら気合いが入りすぎて口に出ていたらしい。
その為にも、今から長旅に対応できる様日々鍛錬しようと誓ったテリー(7歳)だった。