2回、ホルヘ・ソリス(右)のボディーにパンチを浴びせる内山
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◇WBA世界スーパーフェザー級王座統一戦(31日・横浜文化体育館)
これが世界王者だ−。内山高志(32)=ワタナベ=がWBA世界スーパーフェザー級王座を統一。正規王者の内山は、暫定王者ホルヘ・ソリス(32)=メキシコ=を相手に、11回KO勝ち。たっぷり魅せて、豪快に仕留めた。「KOダイナマイト」ぶりをいかんなく発揮し、4度目の防衛に成功。これで長谷川穂積に並ぶ国内歴代2位タイの世界戦5連続KOとなった。WBA世界フェザー級は細野悟(28)=大橋=が王者セレスティノ・カバジェロ(35)=パナマ=の牙城を崩せず、大差の判定負けで王座奪取はならなかった。
大みそかの午後11時14分。“ダイナマイト”が爆発した。11回19秒。飛び込んでの左フック一発。狙って仕留めた。戦慄(せんりつ)の失神TKO。内山は「どうだ」とばかりに周りを見渡した。これで王座奪取から世界戦5連続KO。「ベルトが二つあるのは嫌だ」。その言葉通り、王座を統一。最高の形で2011年を締めくくった。
「この左だけで倒そうとしたパンチ。右が使えない間、半年やってきてきょうの左が生きた」
世界的知名度のある暫定王者ソリスを完膚なきまでにたたきのめした。真の王者であることを証明した。
前戦からの11カ月でモデルチェンジを遂げていた。11年1月の三浦隆司戦で利き手の右拳を負傷。治療の間、約300ラウンドのスパーリングで徹底的に左を磨いた。これまで決して左が弱点だったわけではない。三浦には左手一本でTKO勝ち。試合後「続けていたら死んでいた」と言わしめた左だ。より速く、より強く、より緻密に−。ソリスが得意とする左ジャブの突き合いでも内山が主導権を握り、最後も左でねじ伏せた。
これまで大みそかは自宅で過ごしてきた。テレビをつけると格闘技が放送されている。プロになる前から「大みそかにボクシングを中継してほしい」と思っていた男が、リング上で勝ち名乗りをあげた。
「ソリスは世界的に強いし、試される試合だった。これで1年いい締めくくりになりました」
具志堅用高氏の持つ世界戦連続KOにあと「1」と迫った。進化した左、最強の右。今の王者に死角はない。2012年は間違いなく内山の年になる。 (森合正範)
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