(新春競馬暴論)競馬が生き残る道は「共存」?いや「一体化」だ(2012.1.1)

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競馬関連サイトなのだから
新年ぐらいは明るい競馬の話を書きたい。
残念ながらだがそうならないのが
2011年の競馬だったような気がする。
そんな暗い話になってしまう点、
そして長文となる点を冒頭でお詫びしたい。

きっかけは東日本大震災だったのかもしれない。
だがその被災地支援・震災復興に向けた取り組みの過程で見えた
日本の競馬において力を持っている人達が考える
「残すべきもの」「切り捨てるべきもの」の区分けというものが
存在することがはっきりしてきた感がある。
「心をひとつに」「絆」といったキーワードと共に行われた
被災地でもある岩手競馬の支援体制だが、
10月10日(月・祝)に東京競馬場で実施するという、
震災前には想像も出来ない形で行われた
マイルチャンピオンシップ南部杯は、
その象徴とも言える出来事だった。
だがこうして「岩手競馬を存続させなけれなばならない」
という雰囲気が高まる一方で、
荒尾競馬が廃止になるという別の流れを
誰も食い止めることが出来なかった。
守るべきは「岩手競馬」だけだったのか?
「荒尾競馬」は「心をひとつに」「絆」の対象ではなかったのか?
この疑問に明確に答えることが出来る人はいない。
「岩手競馬」は「残すべきもの」で、
「荒尾競馬」は「切り捨てるべきもの」
という判断を下した権力が存在していた結果なのだろう。

中央競馬においても
「残すべきもの」「切り捨てるべきもの」の判断が下されたことは
今年2012年の開催日程を見ても明らかだろう。
ローカル開催の日数が減少している。
私は2010年7月に日記でこんな話を紹介した。


ここ数年のうちに議論になると思われます(競馬Webサイト管理人の活動日記) 


この中で取り上げた
タクシーの運転手さんが教えてくれた話は
「あり得ない話」ではなかったようだ。

「春の福島競馬開催の時にJRAの職員の人を
乗せたのですよ。
その人に言わせると、
福島競馬が現状のままの売上、来場者数が続くようだと、
10年後には無くなってるかもしれないらしいですよ。」


JRAも「規模縮小」がテーマとなりつつある。
かつて私は地方競馬の存廃問題について語る時、
「中央競馬」「地方競馬」の区分けを意識した発言をしていたが、
もうこの区分けをすること自体がナンセンスになりつつあるようだ。
現実の競馬も年末にオープンした
川崎競馬場内のJRA場外発売所のように、
「中央・地方の共存」といった方向に向かいつつある。

だが私はあえて言いたい。
今、求められているのは「共存」なのだろうか?
私は「共存」ではなく、「一体化」だと考える。
つまり中央競馬も地方競馬も
同じ組織による運営とすべき時期に来ているのではないだろうか?
その組織はJRAになるべきなのか、
あるいは組織を再編して新たな主催者団体を立ち上げるべきなのか、
どちらが正しいのかはわからない。
だが美浦の人馬も、栗東の人馬も、
岩手や大井、高知など現在の地方競馬の人馬も、
日本中のどの競馬場のレースにも出走出来るようになる。
ファンはどの競馬場・場外発売所にいても
日本中のどの競馬場のレースでも馬券を買うことが出来るようになる。
そして競馬場の運営に関わる地方自治体はその競馬場だけではなく、
日本ダービーや有馬記念を含めた全ての競馬における収益について、
一定の割合に相当する分を受け取ることができる。
あり得ない「夢物語」に過ぎないと思われる話のような印象があるかもしれないが、
「競馬」という文化が残すためには
この道しかないように私には思える。

「一体化」することにより、
その効率化の観点から
競馬の世界を離れなければならなくなる人も出てくるだろう。
だがよく考えて欲しい。
例えば一人の騎手が引退を余儀なくされる理由として、

A:所属していた競馬場がなるなるから

B:勝ち星・騎乗馬が減ったから

のどちらがあるべき姿だろうか?
Bは競馬が本来持っている「勝負の世界の厳しさ」によって
淘汰されるケースである。
撤退を余儀なくされる者は気の毒だが、
「実力のある者が残る」という点においては
当然の事のように思える。
ところがAはその人の実力とは無関係に切り捨てられる可能性があり、
日本の競馬界における財産とも呼べる人材をも失う危険性がある。

競馬場によっては
自治体運営の頃よりも開催日数が大幅に減少するところも出てくるだろう。
高知競馬場などは現状の10分1になってしまうかもしれない。
だがその競馬場だけではなく、
日本中の全ての競馬場における収益の合計額からの一定割合を
手にすることが可能となるのだ。
「単年度で赤字運営の場合は廃止」といった議論から
解放される可能性もある。
「一体化」によって賞金水準も全国統一となることによって、
競争を勝ち抜いた厩舎関係者の中には
現状よりも収入が上がる者も出てくるのではないだろうか?

数字上の厳密なシュミレーションをしている訳ではないが、
今行われている「競馬場単位での切り捨て」による規模縮小よりも、
「一体化」による規模縮小の方が
「あるべき日本競馬の姿」に近づいているように私には思える。

正月休みの間に普段は足を運ぶことが出来ない地方競馬場で
レースを楽しんでいる人もいるだろう。
5日(木)の中山金杯・京都金杯までは
「競馬はお休み」という人もいるだろう。
是非ともこの正月休みの間に
「あるべき競馬の姿」を考えてみてはいかがだろうか?

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(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
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現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

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